小さなニュース 第18回

前回は予定していた内容を変更して政務活動費に関するアンケート結果を取り上げました。今回はその予定していた内容を含めました。

中司宏元枚方市長への返納命令を一部取り消す判決

中司宏元枚方市長(現大阪府議会議員)が枚方市を相手取り、自身に命ぜられた退職金の返納命令を取り消すよう大阪地方裁判所に訴えていました。その判決が2016年11月2日に言い渡されました。

大阪地裁判決

大阪府枚方市発注の清掃工場建設を巡る談合事件で有罪が確定した元市長の中司宏府議(60)が、2~3期目の市長退職手当の返納を命じた市の決定は不当だとして、市に返納命令の取り消しを求めた訴訟で、大阪地裁は2日、2期目の退職手当(約2200万円)について返納命令の取り消しを命じる判決を言い渡した。内藤裕之裁判長は「2期目に犯罪行為は認められない」と述べた。

中司氏は4期目の任期中に逮捕、起訴され、2013年に最高裁で懲役1年6月、執行猶予3年の有罪判決が確定した。市は条例に基づき、業者らとの事前会合が行われた1999年(2期目)と談合が行われた05年(3期目)を犯罪に関与した時期と認定し、2~3期目の退職手当の返納を命じた。

内藤裁判長は刑事裁判の判決内容などに触れ、「少なくとも2期目に共犯者らとの共謀が成立していたとは認定されていない」と指摘。事前会合は市条例が規定した返納命令の要件に該当しないと結論付けた。【向畑泰司】

元枚方市長訴訟:2期目の退職手当、返納命令を取り消し - 毎日新聞(2016年11月2日)

枚方市は次のコメントを発表しました。

中司元市長にかかる退職手当返納命令取消請求事件について、顧問弁護士と協議した結果、判決を覆せるような新たな証拠が出てくる可能性がないことを考慮し、また、これ以上訴訟を続けることは行政事務の負担も大きいことから、控訴はしないことと判断いたしました。

退職手当返納命令取消請求事件について,枚方市(2016年11月18日)

枚方市が上訴(控訴)しない理由の一つとして「面倒臭いから」ってどうよ。

議会は、この裁判の当事者である伏見市長に質問をしていました。会議録と録画映像の公開が前後するため、筆者は先に平成27年度9月定例議会の一般質問で大塚議員が質問した内容を記事にしていました。

漆原委員(議員)が退職金の返納についての考えを質問すると、伏見市長は「係争中につきノーコメント」と答えています。

◯漆原周義委員 中司元市長に返納を求められています退職手当の額については、2期目分、3期目分でそれぞれ2,600万円余り、合計5,200万円余りと聞いておりますが、この額には間違いがないんでしょうか。また、この返納の決定は、前市長の竹内市長が決定されたということでよろしいんでしょうか。

◯コンプライアンス推進課長 中司元市長に対する2期目分、3期目分の退職手当の額につきましては、それぞれ2,592万円で、2期分の合計額は5,184万円となります。また、この退職手当の返納命令については、前市長が決定されたものです。

◯漆原周義委員 それではお伺いしますけれども、中司元市長の退職手当返納命令取り消し請求事件に係る訴訟については、現在どのような状況になっているんでしょうか。

◯コンプライアンス推進課長 中司元市長の退職手当返納命令取り消し請求事件に係る訴訟が継続しております大阪地方裁判所においては、平成26年10月1日に第1回の口頭弁論期日があり、その後、1回の口頭弁論期日、6回の弁論準備期日が設けられており、合計8回の裁判期日がありました。次回の期日は、12月24日に弁論準備期日が設定されています。

◯漆原周義委員 先ほどの答弁の中でも、前市長が退職手当の返納について決定されたと、こういうことでございます。それで、現在、訴訟が継続中だと。すなわち、この退職手当返納命令についてはまだ取り消されていない状況。すなわち、現市長においても取り消していないということは、返納されるべきものだという認識を持っていると私は考えますが、それに相違ございませんか、市長。

◯伏見 隆市長 私自身、私なりにこの訴訟事案も含めまして、市が係争している事案につきましては検証していきたいと考えておりますけれども、現在、訴訟が継続している事案につきましては、その進捗状況を見守っていくことが基本と考えております。

◯漆原周義委員 これから検証していくということですが、現段階においては、まだ取り消しの命令に至っていないということなので、返納されるべきものであるという状況であると受けとめておきます。…

平成27年決算特別委員会,枚方市議会(2015年11月4日)

さらに漆原議員は係争中の元市長と私的に接触すべきでないと、伏見市長にけんせいもしていました(既報)。

今更ですが、この漆原議員の牽制は変だなと思っています。市を相手に訴訟というなら「私的に接触をしてもよいが、市長として面会すべきでない」でしょう。市民の誤解を避けるために逆の対応を奨める論理はまったく理解不能です。それに元市長は2015年4月に執行された大阪府議会議員選挙で当選し、この一般質問が行われた2016年6月20日現在で大阪府議会議員、つまり「公職の身」です。そして市長が「公職の身」としての府議会議員と面会できなければ、市民・府民の負託にこたえることができません。

もう日本共産党議員団は消防の“広域化反対”にほぼ決まる

2016年11月4日、枚方寝屋川消防組合議会の全員協議会が開催されました。松岡議員のブログです。

昨日の消防組合議会協議会の案件の一つに広域化問題がありました。…(略)…「未だ研究会でまとめられていない」として再び中間報告となりました。資料のはじめから、全国消防本部の広域化の現状として示されていますが、…(略)… 枚方寝屋川消防組合は…(略)…交野市を含めると70万規模となり、21番目で2.7%という希少規模な消防本部になるのです。(今でも少ないのに十分国の進める規模もクリアしている現状で、これ以上の人口規模を増やして市民の安全は守れるのか?その必要性は本当に疑問です!と協議会でも意見をしました。…(略)…国会質疑では「消防白書によれば、広域化によって現場到着時間が伸びている」と指摘がされていました。…(略)…協議会で答弁を頂けなかったのは現行の目標人数と実際の職員数に充足率はわかっているので交野を含めることでこの整備指針に基づく、目標数と、実際の職員数と充足率はどうなるのかを尋ねましたが、私の説明が悪かったのかどうか?充足率は変わらないというような全体的な、答弁がされました。…(略)…どうやら、資料を見る限り「枚方にはデメリットは、ほぼない!」というようなことになっています…(略)…議員団では基本的に広域化には反対の方向ですが、…(略)…大災害がおきれば、災害直後は設備も必要ですが、とにかく求められるのはマンパワー。…(略)…

安全は守れるの?70万人管轄人口は、わずか2.7%です。,松岡ちひろの明日があるさ(2016年11月5日)

おかしな点を箇条書きにしました。

定例記者会見の方法が変わるかも

広報アドバイザーとのミーティングで、定例記者意見の方法について議論されていました。今後、週1回ペースで開催されるようになるかもしれません。ただし、ここでの議論の内容は当初、公表するつもりのなかったものを議員の声を反映して公開しているものなので、記載内容の実現可能性は低めです。

定例記者会見の方法について

大阪府では毎週開催し、3~4案件を発表し、その後、質疑応答の時間がある。報道提供自体は1日に20~30あり、大阪府庁が、積極的に情報開示をするように変化した時期でもあった。

枚方市広報アドバイザーが従事した職務の遂行に係る情報,枚方市(2016年9月27日)

この広報アドバイザーから提言を受ける頻度が月1回と決まっていることは、重点施策・事業の進捗状況を取り上げた際に初めて知りました。

4月に設置した広報アドバイザーと毎月ミーティングを行い、…(略)…

平成28年度 部の運営方針 重点施策・事業の進捗状況,枚方市(2016年10月)

「会議」と「ミーティング」が同一のものを指すのかわかりませんが、2016年4月21日のプレスリリースには「必要に応じて」としか記載がありません。

…(略)…必要に応じて会議を開き、専門的な観点から助言・提言を行う。…(略)…

市政運営に外部の人材を活用-広報アドバイザーを設置 人事給与の評価員も,枚方市(2016年4月21日)

伏見市長が就任当初から週1回の頻度で記者会見を開催していれば、枚方市政への関心が現状とは違っていたかもしれません。市長は何を聞かれているか、何を答えればよいのわからない人なのに、会見の開催頻度を上げて魅力を高められるかは疑問があります。

探しにくい「犬猫飼い主探し掲示板」「動物(犬猫)の譲渡」掲示板

枚方市は市民や議員の声を受けて、犬や猫の譲渡を目的とした掲示板を開設しました。枚方市のスタンスは「重要事項」として説明されている文章を読めば理解できます。

※重要事項※

枚方市は情報交換の場を提供するのみで、実際の譲渡に関しては一切関与しません。譲渡に際してのトラブル(譲渡前・譲渡後共)は当事者同士で解決してください。

動物の譲渡について - 枚方市ホームページ(2016年11月8日)

問題点は3つありましたが、うち2つは修正されました

  1. 越えられない一線があるのはよくわかりますが、社会情勢を鑑みてホームページにバナーくらい設置してはいかがでしょう。ググれば見つかるからという類のものではありません。
  2. 当初は、掲示板の正式名称がわかりませんでした。殺風景でも統一された名称がなければ広まりにくい。役所の広報力が貧弱という位置に立って考えてもらいたいところです願っていました【追記】2016年12月16日に「犬猫飼い主探し掲示板」で統一したようです。
  3. 当初は、掲示板の説明をしているページ[1]と、犬と猫の情報を掲載しているページ[2]はリンクも内容も異なるのにタイトルが同じです。お〜い!広報アドバイザー!した。【追記】2016年12月16日に犬猫の写真などを掲載したベージを「犬猫飼い主探し掲示板」、重要事項や手続きなどを説明したページを「犬猫飼い主探し掲示板について」に改題したようです。

[1] 枚方市の免責事項を掲載している「犬猫飼い主探し掲示板 - 枚方市ホームページ動物の譲渡について - 枚方市ホームページ」。

[2] 動物の特徴や写真を掲載している「犬猫飼い主探し掲示板について - 枚方市ホームページ動物の譲渡について - 枚方市ホームページ」。

美術館の覚書が形式上、円満に解約

美術館建設の話はなかったことになる見込みです。今後の議会の議決によって、正式に決まると説明されています。

(略)

しかしながら、同公園内での美術館建物の建設が困難な状況にあることから、この度、市と寄附者において、現時点で香里[3]丘中央公園以外の場所での解決策がないことを確認し、平成28年11月20日付けで覚書を合意により解約しました。

(略)
美術館協議に関する寄附者との合意について,枚方市(2016年11月21日)

この文書に伏見市長のコメントが添えられています。文章は市長本人の考えが反映されているとは思いますが、作文は事務方によって行われたような気配を感じます。

寄附者から申出をいただきました美術館建物の寄附につきましては、当初予定していた香里ケ丘中央公園内での建設が困難となりましたことから、一旦白紙に戻していただきたいとお願いし、寄附者との話し合いを進めてまいりました。

他の場所での建設など、寄附申出の趣旨を生かすための検討を重ねてきましたが、結果として、枚方市において美術館建物の寄附をお受けすることができなかったことにつきましては、まことに心苦しく、寄附者及び美術館整備を願う市民に対しまして、申し訳なく感じております。

美術館協議に関する寄附者との合意について,枚方市(2016年11月21日)

ここに寄付者のコメントも掲載されていても良いのですが、ありません。このことから、覚書の解約は形式上、円満に行われたのではないかと筆者は感じています。まだ、市のホームページのトピックスで大々的に美術館の整備状況を知らせるページ[4]は更新されていません。

現時点でこの解約についてマスメディアが伝えている様子はありませんが、議会の議決をもって伝えるものとみられます。筆者も温めたままの軽いまとめを議決後に掲載する予定です。

[3] 原文ママ。正しくは「香里丘」。

[4] 美術館について - 枚方市ホームページ(2016年8月16日)

inserted by FC2 system