小さなニュース 第14回

市長への提言の回答「がんばりましょう」

市は、2016年6月分の提言を公表しました。提言のいくつかは満額回答のような「市の考え方」もあって、改善されることへの喜びを感じた市民もいらっしゃるかもしれません。しかし、いくつかの回答には問題がありましたので、表に抜き出しました。前回と同様に、筆者で勝手に「提言番号」をつけました。

表1.市長への提言と市の考え方(平成28年6月)
提言番号件名と要旨市の考え方筆者の指摘
2

職員の採用について

非常勤職員の採用試験を受けましたが、継続して勤務される方が優先され、新規では採用されにくいように思います。更新者なしの公募はできないものでしょうか。

職員の採用につきましては、より優秀な人材を採用するため、年齢や資格等の応募要件を満たす場合、経験のある方も新たに応募される方も同じ試験を受験いただいており、その結果に基づき合格者を決定しております。

よく読むと回答を逃げている節がある。

「同じ試験を受験」させているからといって、必ずしも「新規」と「継続」で公平性を担保できていることにはならず、ハンデをつけることも可能な表現をしている。

ハンデの有無には言及していない。

「新規」の人に限定した「公募」の検討には回答していない。

3

再任用職員のあり方について

再任用職員の業務内容と給与のバランスがとれていないように思います。再任用職員を時給制の非常勤職員としてはいかがでしょうか。

再任用制度につきましては、職員の定年後のモチベーション維持等には課題もあることから、今後も職務内容や責任の軽重、勤務の強度等の条件に応じた制度構築に努めてまいります。

調べてみたところ、職員の再任用に関する条例というのが確かに存在する。

「再任用制度」を知っているとか、「業務内容」に触れているあたりからすると、提言者は市の職員ではないか。もし、そうであるならば、いかがなものか。「市長への提言」を利用せず、中で提案すべき。

18

ひらかた病院のコンシェルジュの業務について

病院の駐車場でボランティアが車椅子を押して患者さんを案内しているにも関わらず、コンシェルジュはそのような案内をしていません。コンシェルジュの役割を教えてください。

市立ひらかた病院では、病院職員・ボランティア・コンシェルジュで役割分担を行い、互いに連携しながら患者様への対応を行っております。

その中で、車椅子で来院される方に対しては、常に病院前のロータリーでお迎えする体制を確保するため、ロータリーから院内までの移動はコンシェルジュが担当し、院内に入ってからの案内はボランティアが優先して行うようにしております。

車椅子で来院する人について、職員、ボランティア、コンシェルジュのそれぞれがどういう分担をしているかを説明しているだけ。

提言者がコンシェルジュの役割を問うたのは、疑問のきっかけが「車椅子で来院する人へのコンシェルジュの対応」であって、コンシェルジュとは、どんな目的で配置しているのかを知りたかったのではないか。

19

庁内での喫煙について

別館に入る際に、喫煙スペースから煙や匂いが入口側に流れてきて不快です。来庁者の健康への影響を配慮し、昼食の時間を除く、午前8時~午後5時30分の時間を禁煙にしてください。

本市では、平成18年4月から、市役所本庁舎をはじめ市の施設については建物内の全面禁煙を実施していますが、同時に、市役所本庁舎では来庁される市民の方に対して、市役所別館南玄関横に喫煙スペースを設置し分煙対策を実施しているため、喫煙スペースを早々に撤去することは困難であるというのが現状です。

今後、喫煙者と非喫煙者がお互いの立場を理解できるように、さらに分煙対策を検討してまいります。

「分煙」という考え方を採用した経緯の説明と思われるが伝わりにくい。

分煙対策が不十分だから苦情が出たと、市が認識しているとは受け止めづらい。

例えば「本市は分煙の考え方を採用し、平成18年4月から喫煙所を設置するとともに建物内を全面禁煙とした。分煙対策の改善を検討する。」とすれば理解しやすい。

20

地域包括支援センターの運営体制について

仕事帰りなどに地域包括支援センターに相談に行きたいと思っても、平日の9時~17時頃までしか開いていないので利用しづらいのが現状です。また、緊急時も対応いただけるよう連絡先を明示するなど柔軟な対応をお願いします。

地域包括支援センターの開所日・開所時間については、市役所と同様、月曜日から金曜日の午前9時から午後5時30分となっています。相談の受付については、来所での相談だけではなく、電話での相談にも対応しています。閉所後や土・日については、留守番電話等に伝言を残していただければ、後日地域包括支援センターから連絡を行います。

緊急時の対応については、まずは110番、119番へ通報をしていただきたいと考えております。

対応の可否を明記しておらず、困惑するだろう。

仮に開所していないときであっても対応できるなら「希望する時間帯の指定」などに言及すべき。

留守番電話に相談したい旨のメッセージを残すことはできるが、「後日」としている折り返しの電話が平日の日中に掛かってくる(ので意味がない)とか、「仕事帰りなど」の都合には対応しないと理解するのが自然。

22

非課税証明書の発行について

課税証明書の交付申請のため窓口に行きましたが、システムが変更になり、課税証明書は発行されなかったのですが何故ですか。また、家族でも証明書の交付申請はできますか。

昨年度までは、課税証明書の中に課税額0円や非課税という文言を含み、非課税であることを示していました。

今年度からは、非課税の方には非課税証明書という名称の書類を発行しているため課税証明書は交付しませんでした。

また、同居のご家族以外が交付申請される場合には、委任状及び本人確認書類等があれば交付できます。

市民にとって分かりやすい表現をしようという工夫がない。

「同居の家族は(証明書を)交付できる。そうでない場合は、…。」と記述できるはず。

市長は、寄せられた提言を読んでいるとは思いますが、どんな回答(=市の考え方)をするかまで把握しているのでしょうか。議会で、ちぐはぐな答弁をしている様子からすると、市長は回答を予定している文章に目を通していたとしても、上記の筆者の指摘にあるような疑問を持たず、この内容で問題ないと判断しているかもしれません。

枚方寝屋川消防組合+交野市消防本部?

「研究会」の立ち上げ

公式な情報はありませんが、木村議員[1]、松岡議員[2]によれば、2016年7月7日に枚方寝屋川消防組合議会の全員協議会が開催され、枚方市、寝屋川市、交野市で共同運営について「研究会」を立ち上げたいという話が消防組合から出たそうです。その理由として、救急隊員の人数が足りないなか、増加する救急出動への対策として広域化を挙げているらしい。

すでに指令センターは共同運営

2015年7月6日から枚方寝屋川消防組合の指令センターは「枚方寝屋川消防組合・交野市消防指令センター」として、事務委託というスタイルで交野市から発信される119番通報を受信しています。消防組合は、昔から近隣の市町村などと、たくさんの協定を結んでいて、いつも管内(枚方市、寝屋川市)だけで活動(出動)しているわけではありません。

派遣議員の反応

これについて、木村議員は「広域化には管轄人口30万人以上」とする国(総務省消防庁)が提示した目標に触れています。国の資料[3]を確認すると、木村議員は少し誤解しているようで「人口が40万人の枚方市なら単独でも良い」との見解を示しています。実は「人口30万人以上」は、単独の消防組織の基準を示したものではなく、広域化の管轄人口の目標として示しているものなので、木村議員は消防組合の説明をきちんと聞いていなかったかもしれません。

松岡議員は、梅村さえこ衆議院議員が2016年4月5日に開催された国会の総務委員会において、2003~2015年度の消防白書のデータを用いて、広域化による影響として消防車の現場到着の遅れを指摘したことを、紹介しているものと思われます。現職の市議会議員なら、ちゃんと出典を示してから物を言えよ…。

さて、この会議録をよく読むと、梅村さえこ衆議院議員が示したことについて、答弁をした消防庁次長は、都市部での不燃化、スプリンクラーなどの整備による火災件数の減少があって、「梅村さえこ衆議院議員が示す到着の遅れ」は必ずしも広域化そのものによる影響とは言い切れないと説明しています。よく読めば、消防庁次長の説明は納得できるものです。

松岡議員はそういう点を理解せず、または無視して「なんでも」「統廃合や民営化」とぼやいています。それに広域化の話にもかかわらず、タイトルに「統合」と表記しているのは言葉の意味が理解できていない証拠です。明らかに勉強不足ですね。このように言っていること、書いていることを鵜呑みにせず、面倒がらずに一つひとつ丹念に確認すると、たいてい基本的な認識を間違えているというのが日本共産党議員団の特徴です。読者の皆さんも、見聞きした際は鵜呑みすることなく、あとで十分な事実確認をお忘れなく。

交野町(交野市)脱退の歴史

消防組合の歴史を紐解くと、過去に枚方市、寝屋川市、交野市で消防組合を組織していた記録が残されています[4][5]。1948(昭和23)年3月に枚方市、寝屋川町(現在の寝屋川市)、交野町(現在の交野市)、津田町(枚方市に編入合併)で構成される「枚方市外3ヶ町消防組合」ができた後、1949(昭和24)年4月に交野町は消防組合から脱退しています。これに合わせて名称を「枚方市外2ヶ町消防組合」に変更し、その後「枚方寝屋川消防組合」に改称しています。

その「枚方寝屋川消防組合」に名前が変わったタイミングが判然としません。組合のホームページでは1949(昭和24)年9月とされていますが、組合の消防長が消防庁に寄稿[6]した文章では、1951(昭和26)年の寝屋川市制が始まった時期に名前を改めたとしていて、つじつまが合いません。津田町が枚方市に編入合併されたのは1955(昭和30)年ですから、最も早く「枚方市と2つの町」と言えなくなるのは寝屋川市制が施行された時だと思われます。

救急業務は1961(昭和36)年4月から開始していることから、交野町は消防業務のみの時代に脱退しています。当時、どのような理由で脱退したのかまでは分かりませんでしたが、歴史的な背景から考えた場合、交野市との救急業務の広域化は難しくても、消防業務のそれは、簡単に進まないかもしれません。

[1] 消防の訓練・全員協議会・指令センター視察②,木村亮太(2016年7月16日)

[2] 消防組合は、統合?,松岡ちひろ(2016年7月24日)

[3] 市町村消防の広域化 ー強くなる地域の消防力ー,総務省消防庁消防広域化推進本部(2009年3月)

[4] 消防組合の歴史 | 枚方寝屋川消防組合

[5] 消防の動き357号,総務省消防庁(2000年11月)

[6] 消防の動き平成18年12月号,総務省消防庁(2006年12月)

堀井議員が市長に熊本地震の被災地視察を要望していた

通告の要旨から読み取れなかったのでノー・マークでしたが、議会報によれば堀井議員は平成28年6月定例月議会の一般質問で市長に被災地を視察するよう要望していました。空気が読めないとは困ったものです。

そんなことをしたら、熊本や大分ほかの皆さんの邪魔になってしまうし、迷惑をかけてしまいます。復興を遅らせる原因にもなるし、枚方市はもとより大阪や関西の名誉まで傷つけるでしょう。継続的な人的支援、物資や資金の援助などに徹してほしい。

回答が間に合わずと釈明

漆原議員が一般質問で通告していたくらいなので、重要視しているかと思いきや、市の内外に不名誉な結果を伝えられる結果でした。こんな調子で、枚方市が「選ばれるまち」を目指しているだなんて、しょうせんばん

毎日新聞は、政令指定都市や東京23区など計156市区町村を対象に、認可保育所などの待機児童数に関して調査した。回答のあった152市区町村の4月1日時点の待機児童数は前年より833人(5%)少ない計1万7661人で、減少傾向にある。ただし、保育所などに入れなくても待機児童に数えない「隠れ待機児童」は5万801人に上り、前年より5903人(13%)増加。保育環境が改善したとは言えない。

昨年4月1日時点で待機児童が50人以上いた市区町村と政令市、中核市、東京23区を対象に調査。大阪府吹田、枚方、兵庫県尼崎の3市は回答がなかった。今年の待機児童数が未回答の福島市は集計から外した。

(略)
隠れ待機児童:5万人…公表の3倍 152市区町村 - 毎日新聞(2016年7月23日)

「回答がない」と記事を書かれたので釈明しています。ちなみに記事の掲載後も、吹田市と尼崎市は無反応です。

なお、平成28年7月23日付け毎日新聞朝刊に掲載された政令指定都市、中核市、東京23区などの待機児童数に関する調査結果記事におきまして、本市を含む3市について調査への「回答がなかった」旨の掲載がありました。

本件につきましては、回答に係る事務処理の遅れにより記事掲載が間に合わなかったものです。市民ならびに関係者の皆様にご心配とご迷惑をおかけいたしました。

本市の保育所(園)等入所待機児童数の状況について,枚方市(2016年7月28日)

釈明はしているけれど、詫びていません。この文書のいう、市民と関係者の「心配」や「迷惑」とは何のことでしょう?

筆者が考えるに、市は「市外にまちの魅力を発信し、転入者を増やす取り組みを始めようとしているなか、回答が間に合わなかったとはいえ、待機児童の解消に向けた市の取り組みが消極的な姿勢とも受け取れる後ろ向きなイメージを市内外に与える結果となり、市民や関係者に不信感を抱かせたこと」を詫びる必要があります。しかし、市が出した文書はそうなっていません。「あ〜あれ?間に合わなかったのよ」と言っているだけ。

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