平成29年9月定例月議会 一般質問

人口減少・少子化・超高齢化対策

質問をしたのは以下、3人の議員でした。

木村議員

まず質疑の内容を掲載します。この後、要点とコメントを述べることにします。

◯木村亮太議員 …(略)…まずは1つ目のまち・ひと・しごと創生総合戦略の進捗状況及び人口減少対策についてお伺いをいたします。

人口減少への歯止めをかけるために平成28年3月に「枚方市まち・ひと・しごと創生総合戦略」が策定されました。この総合戦略は、最終年度は平成31年の設定されており、今年は中間年にあたります。そこでまず、総合戦略における取組の途中経過として、直近の社会増減と合計特殊出生率の状況についてお伺いをいたします。…(略)…

◯理事兼総合政策部長 1.まち・ひと・しごと創生総合戦略の進捗状況及び人口減少対策について、お答えをいたします。

転入と転出による社会増減については、平成22年以降、転出超過の傾向が続いており、ここ数年は1000人前後の社会減で推移しておりましたが、平成28年は転出数の減少により、712人の社会減となっております。また、平成29年の状況を申し上げますと、7月、8月は転入超過になっていることもございまして、8月末時点で275人の社会減となっており、昨年の同時期では704人の社会減でございましたので、社会減の規模としましては、現時点ではさらに縮小傾向となっております。

合計特殊出生率につきましては、全国や大阪府よりも下回る状況が続いておりますが、算定されている直近の平成27年では、前年と比較して0.02ポイント上昇し1.29となっております。

◯木村亮太議員 それぞれに御答弁をいただきましてありがとうございます。それでは順次、再質問して参ります。

まず、まち・ひと・しごと創生総合戦略の進捗状況及び人口減少対策についてなんですけれども、まずは人口ビジョンでは平成32年に社会増減がプラス・マイナス・ゼロで、出生率については平成32年までに国の示す出生率の1.6、もしくは大阪府の示す出生率の1.49を目指すこととなっております。そして先ほどの答弁によりますと、社会増減についてなんですが、平成28年は転出数の減少により712人の社会減で、平成29年度については8月末時点で275人の社会減となっておりまして、昨年の同時期では704人の社会減ですので、そういう意味で言うと、計画を立てた時で社会減が1年間で969人でしたので、それを仮に6年でゼロにしてくためには毎年約160人ずつ社会減を減らしていくこととなりまして、目安としては平成28年度では650人程度、29年度では490人程度、さきほどの通り去年は712人、今年は8月末時点ではありますけれども275人ということですので、このペースがずっと続いて行くのであれば社会減については悪くないとは思うのですが、なぜこの社会減のペースが減ってきているのかについては、どの地域が転入が多くなったのかであるとか、どの地域の転出が減ったのかなど、きっちりと検証していただきたいと思います。

一方で、合計特殊出生率については、平成27年と比較すると0.02ポイント上昇したという事なんですが、出生率については、この目標値の低い値である大阪府の1.49の方で考えたとしても、7年間で0.22ポイント上昇を目指すことになりますので、1年間あたりにすると0.03ポイントずつの上昇が必要となりまして、最新の数値が出ている平成27年終了時点では1.33ポイントぐらいになってないといけないんですけれども、いま1.29ポイントということで、国全体としては、平成25年から27年の2年間で0.3ポイント増えてますので、この伸び率についても国より低い状態になっております。

最終年度までまだ2年ある中で、社会減への歯止めに向けた兆しというのは見受けられるものの、出生率については今のままだと達成が厳しいように思います。この設定値については、この総合戦略の計画策定時にも国や府の示している数値をそのまま使っているだけで大丈夫なのか、根拠があるのかというような話をさせていただいたこともあるのですが、現在の状況も踏まえて、改めてこの設定値についてどのように考えておられるのかお伺いします。

◯理事兼総合政策部長 少子高齢化、人口減少が急速に進む中にありましても、本市が持続的に発展するためには、総合戦略でお示ししております将来人口の展望に近づける必要があると考えております。そのため、総合戦略に掲げる施策を推進するとともに、現在、庁内に設置しております「定住促進・人口誘導対策検討委員会」におきまして、人口動態に係る詳細な分析を踏まえた、より効果的な施策の立案やシティプロモーションのあり方の検討を組織横断的に行っており、これらの取り組みを通じまして、まちの魅力をさらに向上させ、転出超過の減少や合計特殊出生率の向上につなげて参ります

◯木村亮太議員 この出生率を目指して頑張っていくという事ですので、ここで一度、ちょっと確認になりますが、転出超過の減少や合計特殊出生率の向上というのは全国的な課題でもありますので、これに取り組むための財源として、普通交付税による一定の措置があったかと思います。そこでお尋ねをいたしますが、この制度内容や算定方法の概要、また本市で算定した場合、算定している額はどのようになってるのかお伺いします。

◯財務部長 地方公共団体が自主性・主体性を最大限発揮して地方創生に取り組み、地域の実情に応じたきめ細かな施策を実施できるよう、平成27年度の地方財政計画から「まち・ひと・しごと創生事業費」が創設されております。これに対する財源といたしまして、普通交付税の算定に際し、基準財政需要額において緊急かつ深刻な人口急減などに取り組むための経費として人口減少等特別対策事業費が計上されております。

主な算定方法は、国調人口に国が定める単位費用と転入転出者の変化に基づく人口減少に対する取り組みの成果などの補正係数を乗じ、基準財政需要額を算出する仕組みとなっております。

なお、平成29年度普通交付税算定時の基準財政需要額では、人口減少等特別対策事業費として8億5200万円が算定されております。

◯木村亮太議員 いま御答弁いただきましたように、交付税の算定上も取り組み成果などが基準財政需要額に反映される仕組みとなっておりまして、枚方の場合は約8.5億ということになっております。これが多いのか少ないのかっていうのはあると思うんですけれども、これだけ人口減少ってのは市としてその対応に使ってるのかって、一度、確認をしていただきたいなと思います。

先ほども申しましたが、今年は総合戦略の中間年度でもあります。さらに、このほどまとめられた平成29年度の施策評価において、総合戦略の見直しを検討されていくと書かれておりましたので、将来展望を実現可能な数値に変更してみても良いのではないかと考えております。もしくは、この設定値に向けて取り組んでいくというのであれば、効果指標であるKPIをより人口増・人口減少対応に直結したものにしていかないと効果が現れないのではないかと思います。KPIについて見直していく予定があるのかお伺いをいたします。

◯理事兼総合政策部長 平成28年度の取組実績や重要業績評価指標でありますKPIの状況をもとに、総合戦略に掲げる事業の進捗管理をこのほど行ったところでございます。その際の検証状況を踏まえまして、現在設定をしております将来人口の展望に近づけられるよう、より適切なKPIの設定や新たに取り組んでいる事業の反映等、総合戦略の一部見直しを今年度中に行う予定でございます。

◯木村亮太議員 全国的にも人口減少というのが課題になる中で、本市においても人口減少対策は待ったなしの課題だと思います。社会減が少なくなっていることは良いことだと思いますが、これが偶然なのか必然なのかという分析もしていただきたいと思います。

また自然減を食い止めるためには出生率の向上につながるような施策にもっと財源を重点化して、人口ビジョンの目標、設定値を達成できるように力を入れていっていただきたいと思います。

今回の質問にあたりまして、大阪府内の中核市や特例市の総合戦略を見ました。そうすると他市は、枚方市のように結果的に総合計画と総合戦略を同時に作成していないところの方が多いので、総合戦略のためのアンケートってのを実施しているんですね。例えば東大阪市[1]は結婚・出産・子育てに関する調査であるとか、地元企業への就職に関する調査であったり、岸和田市[2]では市内の高校生に定住意識の調査やほかにも八尾市[3]であれば15歳から49歳の市民の方を対象に市民の結婚・出産・子育て、定住・移住に関する意識・希望等を把握するための調査、寝屋川市[4]も理想とする子どもの数などの調査、定住意識等に関する調査などをされております。

枚方市は総合計画と同時に作っておりましたので、総合戦略だけの方で時間がなかったりっていうことがあって、人口減少だけにフォーカスができていないと思います、枚方市の総合戦略については。仮に総合戦略の5年が終わっても、人口減少対策というのは続けていくことになると思いますので、改めてこういった人口減少に対してとか、定住意識に関してフォーカスしたアンケートしてもいいんではないかと思っております。仮にやらないとしても、いま申しましたように、府内の他市の調査結果というのも参考になると思いますので、KPIを見直して行く際には一度、ご覧になっていただいて、エビデンスに基づいて効果のある事業に特化していただきますよう、KPIの見直しをしていていただければと要望して終わりとさせていただきます。

平成29年9月定例月議会(2017年9月15日)
転出超過の減少は“好材料”か?

市(理事)は、転出超過が1000規模人から少なくなっている(2016年は712人)と答弁しています。しかし、これをもって近いうちに転入超過(転入者数が転出者数を上回る)を迎えるとの予測は早合点だと考えます。

図.社会移動規模の月別の推移(枚方市)

その理由は、枚方市の住民基本台帳から月ごとの社会移動の規模(転入者と転出者の和)について推移(図.)を調べると、どの月も移動規模が年々、減少傾向だからです。つまり、移動規模の縮小によって社会減も同様に縮小しているのであれば、転出超過の幅が小さくなっても、一概に転出超過傾向から転入超過へ転換しつつあるとまでは評価できません。

変化しない合計特殊出生率

このように社会動態については、あまり期待できそうにありません。では、自然動態について期待できそうなのか、出生率が改善されているのか確認してみます。筆者は、厚生労働省が2017年9月15日に公表した人口動態統計を用いて、2016(平成28)年の枚方市の合計特殊出生率を調べました。公表のタイミングが遅かったため、理事は2015(平成27)年の合計特殊出生率を答えています。

【合計特殊出生率は前年と変わらず】
2016(平成28)年の枚方市の合計特殊出生率は、1.29(前年差±0.00pt)でした。 pic.twitter.com/i0ARyX9N3F

— 枚方市政を追いかける!(仮) (@hirakatawatch) 2017年9月16日

ツイートの通り、またグラフの縦軸の目盛りを見てわかるように、20年以上も枚方市の合計特殊出生率には特段の変化が現れていません。あらゆる場面での伏見市長の発言から、合計特殊出生率の劇的な変化を期待していましたが、微増どころか2015年と2016年の値が変わらない結果で、失望しました。

精神論ではなく、速やかに結果を出せ

明らかに、人口減少対策の効果は現れていません。親世帯との同居や近居のためにリフォーム費用などを助成する「三世代家族・定住促進事業」は申請予定を含めても43件で、人口誘導施策の客観的な結果は未だにこれだけです。

お役所の縦割りをなくして取り組めるよう2016年5月に「定住促進・人口誘導対策検討委員会」を設置しても結果が出ていないのですから「人口減少等特別対策事業費」を使えるなら、使えば良いでしょう。しかし、いつまでも市長が人口減少について「歯止めをかけられるよう危機感を持って取り組む(2017年3月3日)」とか、「しっかり分析して人口の減少に歯止めをかける(2017年3月7日)」というように、精神論を語られていては困ります。

…(略)…なお、今年の枚方市の人口は1,170人減少といった結果に。 ですが去年は1,395人の減少だったので、減少スピードがちょっと緩やかになったといえそうです。T-SITE&ニトリモールパワーでしょうか。…(略)…

枚方市内で人口の増えてる地区、減ってる地区ランキング2017 - 枚方つーしん - 枚方市の雑談ネタをもりもりと!(2017年09月23日)

枚方つーしんを見てわかるように、市民は政策による効果を感じていませんよ。

[1] 結婚・出産・子育てに関するアンケート調査及び就職に関するアンケート調査結果報告書,東大阪市(2016年4月25日)

[2] 岸和田市人口ビジョン(平成28年2月),岸和田市の42ページに掲載されています。岸和田市立産業高等学校2年生(276名)を対象に実施された「産業高校生意識調査」と思われます。実施日は2015(平成27)年6月26日。岸和田市民と市外からの通学者に分けて分析しています。

[3] 八尾市人口ビジョン・総合戦略(平成28年3月),八尾市の19〜31ページに掲載されています。

[4] 寝屋川市人口ビジョン(平成28年2月),寝屋川市の11ページに「理想とする子どもの数と実際の子どもの数」、21ページに「定住意識等に関する市民アンケート調査」の結果を掲載しています。

山口議員

世帯別の社会動態の統計は国勢調査くらいで、住民基本台帳から作成される統計では公表されていません。貴重なデータを知ることができました。

◯山口勤議員 …(略)…1.定住促進、人口誘導について。

少子高齢化、人口減少が全国的に進行するなかで、本市でも少子高齢化、人口減少への対応や定住促進策に取り組んでおられます。議会でも様々な提案がされていますが、そのようななか、枚方市の将来を担う若者世代の転入や転出による人口動態はどのような状況なのか、現状についてお伺いします。

◯理事兼総合政策部長 1.定住促進、人口誘導についてお答えいたします。本市の転入、転出による社会増減の状況は、平成28年は712人の転出超過となっております。この内訳としまして、40歳未満の状況を年代別で見ますと、就学前の0歳から4歳までが126人の転入超過、5歳から9歳が13人の転入超過、10代が106人の転入超過となっている一方で、20代が549人の転出超過、30代が118人の転出超過となっております。特に20代の転出超過が大きくなっておりますが、20代の状況を世帯別で見ますと、単身世帯が689人の転出超過、夫婦など二人以上の世帯では140人の転入超過となっており、20代単身者の転出が顕著な状況となってをおります。

◯山口勤議員 それぞれの御答弁ありがとうございました。それでは2回目以降の質問と要望をさせていただきます。

1.定住促進、人口誘導について。

先ほどの答弁ですと、特に20代の単身の方が大幅な転出超過とのことです。全国的な少子高齢化傾向、生産人口減少など今後の地方自治体が健全な状態で存続していくには多くの課題が残されています。20年後、30年後のビジョンは不透明であると思います。この状況に歯止めをかけるためには、子どもの頃から枚方市への愛着を育むための取り組みを行うことが必要で、とりわけ将来のことを真剣に考えるようになる中学生における取り組みが効果的であると思います。静岡県湖西市では、長いスパンで見た定住の推進を目指すために、中学生を対象に20年、30年後も湖西市に住んでいると思うか、またまちの好きなところ、嫌いなところはどこかなどのアンケートを今年度、実施されました。こうした取り組みによってまちへの愛着に繋がると思いますが、市の見解をお伺いいたします。

◯理事兼総合政策部長 学生を対象としたアンケート調査につきましては、平成25年に市内在学の中学生730人のほか、高校生、大学生などを対象に枚方市の印象や今後のまちづくりなどに係る調査を実施し、第5次総合計画策定時の基礎資料といたしました。本市における若者世代の転出超過が大きくなっている状況を踏まえますと、10年、20年先も本市に定住する。あるいは、いったん市外に転出されても、結婚や出産などを機に枚方に帰って来ていただけるためには、子どもの頃から自分が住んでいるまちについて関心を持ち、まちの将来像を考えることで本市への愛着を高めていく取り組みは必要であると考えております。そこで議員お示しのアンケートの実施も含め、今後も的確なマーケティングを行い、効果的な施策の立案とターゲットに応じたシティプロモーションに取り組んで参ります。

◯山口勤議員 本市への愛着を高めて、定住促進につなげるために的確なマーケティング行い、ターゲットに応じたシティプロモーションに取り組まれるのは非常に有効的だと思いますので、是非、進めていただきたいと思います。

ただいまの御答弁で、第5次総合計画策定時に中学生を含めた学生アンケートを行い、計画の基礎資料としたということですが、学生アンケートの結果をもとに総合計画に反映した具体的な内容はあるのかお聞きをいたします。

◯理事兼総合政策部長 学生アンケートにおけるまちづくり活動への参加状況や今後の参加意向について、参加していると回答した割合は約5パーセントと、まちづくりへの参加率は低い状況でございましたが、今後は参加、協力したいという意向は30パーセント程度ございました。こうした状況を踏まえまして、総合計画にはまちづくりへの参加を高める取り組みとして、学生のまちづくり活動への参画の働きかけや学生ボランティアなど受け入れ体制の強化などを盛り込みました。

◯山口勤議員 学生がまちづくりに参加されている事例として、自治会コミュニティの取り組みに参画しているケースも聞いており、是非もっと多くの学生に参画していただければと思います。また違う観点でのまちづくりの参加のあり方として、学生アンケートのデータを集約し、例えば中学、高校、大学などの市内の学生の代表が学部別に会議を開き、22世紀の枚方のまちづくりなどテーマを決め、例えばこの議場などで意見交換ができ、市長に提言していける様な場があれば良いと考えますが、ここで伏見市長の見解をお伺いします。

◯伏見隆市長 今後のまちづくりを考える上で、学生の声を聞いていくということは、まちへの関心を高め、愛着にも繋がることから意義があることと考えます。そのため、学生がさらにまちづくりに参画できるよう取り組みを検討して参ります。

◯山口勤議員 市長、ありがとうございました。私はもっと学生の斬新的な発想を取り入れるべきだと思います。学生にとって自分たちの意見や提言が、実際に市のまちづくりに反映されることは大きな励みにもなり、まだまちづくりへの愛着や将来の定住促進、人口誘導にも繋がると思います。是非、そのような場の創出も検討し、実現していただくよう要望といたします。

また、市長はですね、アドバイザーなど外部に意見を聞くことは大事ですけども、それよりも枚方市の宝であり、50年、100年先の将来の枚方市を支える学生に光をもっと当てるべきだと申し上げておきます。市長は常にチャレンジして、失敗を恐れるよりも何もしないことを恐れろと言われております。伏見市長は青年市長でございます。青年であるならば、希望と挑戦、勇気を持って、しっかり定住促進とですね、日本一住みやすい枚方市を目指して取り組んでもらいたい。このように切に要望いたします。

平成29年9月定例月議会(2017年9月19日)
人口減少に歯止めがかからない理由

過去に、このようなアニメーションを作っていました。

〖中の人〗枚方市の社会移動の推移を5歳年齢階級別に見ると、20~24歳の転出超過が悪化の一途をたどっています。この状況を気に留めている人を見かけません。(続く) pic.twitter.com/s8PnWtm2hX

— 枚方市政を追いかける!(仮) (@hirakatawatch) 2017年2月4日

20歳代では、単身者の転出超過が多いということは、結婚や出産で枚方市を選ばれていないわけではないようです。30歳前後で結婚や出産をしているというデータがあったように、いくら子育て環境を充実させても響くのはアラサーです。しかし、最も転出の多い20歳代には響きません。だから転出超過が止まらないというのは、これまで何度も申し上げてきました。

アンケートの繰り返し

アンケートを実施したのに、またアンケートの実施を検討しているということです。費用対効果の面でもったいないように思います。総合計画の策定のためであれば理解できますが、もう一度アンケートを取っても結果は2013(平成25)年と大して変わらないような気がします。転入者や転出者を対象に継続して実施しているアンケート調査のように、むしろ筆者はアンケート結果を的確に読み取れない、的確な施策を打てないところに課題があると感じています。

若者に愛着がないのか?若者への愛がないのでは?

若者に枚方市への愛着がないとの感想を、岩本議員や伏見市長から聞いていますが、山口議員も同様の認識であることがわかりました。ずっと申し上げていますが、では愛着があれば枚方市を転出しなくなるのでしょうか。裏打ちされたデータが欲しいところです。

山口議員は「市長は民間アドバイザーを起用し、若者の意見を聞こうとする姿勢がない」と指摘しています。そう言われた市長は初めて「若者に意見を聞くことには意義がある」と答弁しましたが、論理的に若者の意見を聞くことは適切だと考えていても、本心は違うはずです。普段の仕事ぶりを見ている限りでは、もともと若者への関心はないと思います。

妹尾議員

長期的な視点での取り組み方について提案がありました。枚方市は2016年10月にSWC首長研究会参加したそうです。しかし、枚方市の住民基本台帳人口が減少し始めたのが2013年1月で、その前から減少を予測していたのに、2009年に発足したこの研究会への参加時期は遅いですね。

◯妹尾正信議員 …(略)…次に、人口減少・超高齢社会におけるまちづくりついて質問いたします。

人口減少・超高齢社会を迎えている今日、まちづくりにおきましては新たな視点や工夫が必要になってくるものと考えております。現在、健康寿命の延伸、医療費削減などの課題になっており、各自治体により市民の健康増進を図るまちづくりへの取り組みが行われているところです。そこで、そこに暮らすことで健康になれるまち、スマートウエルネスシティを目指した動きも出ている状況にあります。ここでの健康の康は「幸」と書きまして、健やかで幸せになるという意味合いでございます。またこれまで開発により拡散した市街地が形成された都市全体の構造見直し、出歩きやすく、健康、快適な生活を確保しつつ、財政面で持続可能な都市経営を可能にするコンパクトなまちづくり、これと連携した公共交通のネットワークを形成する必要があると思われます。これらソフト面、ハード面に総合的に取り組んでいただかなければならないという考えで、3つの視点から質問させていただきます。

まず一つ目の視点はスマートウエルネスシティについてお伺いします。

八尾議員の質問にもありましたように、スマートウエルネスシティ首長研究会が結成され、昨年10月に枚方市は参加しております。合わせて日本健康都市連合の会員にもなっておられますが、どのような思いを持ってこれらに参加されているのかお伺いいたします。

次に2つ目の視点として、コンパクトシティについてお伺いします。

市では今年の3月に、枚方市都市計画マスタープラン改定するとともに、枚方市立地適正計画を作成し、コンパクトシティを実現することとされております。枚方市立地適正計画では市街化区域内の住居系用途地域を中心としたエリアに居住誘導区域を定めて、区域内の人口密度を一定以上に保ち、鉄道駅周辺などの利便性の高いエリアに都市機能誘導区域を定め、市民生活に必要な商業施設や医療施設、公共施設などの都市機能の誘導を図ることとなっております。今後の人口構造の変化に伴い、税収の落ち込みと社会保障の増加により、財政状況がさらに厳しさを増すと見込まれる中におきましては、現在のように枚方市内すべての道路や上下水道などのインフラを維持管理してことは困難であり、持続的な都市型を維持していくためには、今の段階からコンパクトシティの実現化方策について考えていくことが重要だと考えております。市のお考えと、コンパクトシティの実現に向けた現在の枚方市の取組状況についてお伺いいたします。

最後に3つ目の視点として、総合交通計画ついてお伺いします。

コンパクトなまちづくりを着実に進めていく上では、地域の公共交通としっかり連携していく必要があります。そのために市では現在、立地適正計画に合わせた枚方市総合交通計画の策定に向け、有識者や交通事業者等の意見を取り入れながら、様々な視点から検討を進められていると聞いております。この計画は今年度内の策定を目指した取り組みというとですが、現時点ではどのような内容が議論されているのかなど交通総合交通計画の策定指定についてお伺いいたします。これで1回目の質問を終わります。

◯健康部長 2.人口減少・超高齢社会におけるまちづくりについてのうち、(1)スマートウエルネスシティについてお答えします。

人口減少・超高齢社会にあっては、高齢になっても健康で元気に暮らせることが個人にとっても、社会にとっても大きなメリットがあります。市民が生きがいを感じ、安全、安心で豊かな生活を送ることができ、生活習慣病や寝たきりになることを予防し、医療費の適正化を図るまちづくりに取り組むことで市の魅力を高め、定住促進にも繋がるものと考えています。スマートウエルネスシティ首長研究会は健康をまちづくりの中核に位置づけ、住民が健康で元気に暮らせる新しい都市モデルの構築を目指す首長が集まり、平成21年11月に発足したものでございます。本市は今後もさらに進む超高齢社会に対応するため、昨年10月にこの研究会に参加することで、先行市の事例を研究し、自治体間連携を図りながら、健康長寿のまちづくりに活かしたいと考えております。また先行して取り組んでいる事例を共有し、地域に応じた施策に生かすためには、首長だけでなく、実務担当者による他団体とのネットワークづくりが重要との趣旨で、今年1月20日に立ち上げられた日本健康都市連合にも参加し、産・学を含む多層的な連携を図り、本市の健康施策を進めて参りたいと考えております。

◯都市整備部長 2.の(2)コンパクトシティについてお答えいたします。

本市では地域面積約6512ヘクタールのうち、4188ヘクタールを市街化区域に指定しており、これまでこの市街化区域を対象にして用途地域の指定など都市計画制度を活用し、良好な都市環境の形成に取り組んでまいりました。本市の市街化区域における人口密度は1ヘクタールあたり約95人となっており、これは全国の他都市と比較しても高密度な市街地が形成されている状況となっております。しかしながら本市の人口推計調査では、市の人口が平成25年度の約41万人から平成55年度には約33万人にまで減少すると推計されており、こうした人口の減少は都市機能や公共交通機能の確保などに課題を発生させる要因になると考えております。本市におきましては、本年3月に作成した枚方市立地適正化計画により、従来の都市計画法による規制ではなく、開発や建築が行われる際の届出制度を活用しまして、鉄道駅などの周辺に都市拠点を配置し、それぞれの特性に応じて居住及び都市機能の立地を促すという本計画の趣旨についてご理解いただけるよう努めているところでございます。

◯土木部長 続きまして(3)総合交通計画について土木部からお答えさせていただきます。

計画策定にあたりましては、交通関係者で構成する協議会を設置し、現在検討を進めているところです。その中では一人ひとり、またはそれぞれの主体は移動するための手段である交通が社会や生活に欠かせないものであることを認識し、将来においても今ある交通環境を維持し、改善していくために、自らが考え、そして行動し、また育てていくよう捉えることが大切であり、過度に自動車に頼る暮らしから公共交通や徒歩、自転車などを含めた多様な交通手段を賢く利用する暮らしへ転換していくなど、都市全体として暮らしやすいまちや、賑わいあふれるまちなどの実現に向け、将来の都市構造を交通面からしっかりと支えていけるよう、まちづくりの視点から交通というものについての多角的な検討を行っているところでございます。

◯妹尾正信議員 …(略)…次に人口減少・超高齢社会におけるまちづくりついて2回目の質問いたします。

ただ単に開発業者や市民の方に周知を行い、誘導区域外での開発や建築の判断を相手に会うだけではコンパクトシティは進まないと考えます。本市は現時点では都市機能が適宜、配置され、また居住系の用途地域と居住誘導区域との整合が図られてはいるものの、将来的に人口減少が進む中で、枚方市の都市経営を維持するためには、居住誘導区域をさらにコンパクト化し、その区域内に集中的に財政的投資を行うなど、誘導区域内外でメリハリをつけたまちづくりの誘導を図ることが必要ではないでしょうか。現在、国におきましても、これら都市政策に起因する様々な問題について活発な議論がされているとお聞きしております。私は市においても枚方市立地適正計画や総合交通計画など絵に描いた餅にならないようにするためにも、今の段階からコンパクトシティの実現に向けた方策を考え、取り組みを開始しておかなければならないと思います。このことについて、改めて市のお考えをお聞かせ願います。

◯都市整備部長 枚方市立地適正化計画と合わせて改訂しました枚方市都市計画マスタープランにおきましては、新たな市街地の拡大抑制などを基本としたコンパクトシティの考え方により、集約型都市構造の実現に向けて計画的に取り組みを進めていく方針を位置づけたところでございます。現在、国におきましては空き地・空き家等の低未利用地が都市の中心や郊外などを問わず、都市全域において、敷地単位でランダムに発生することを都市のスポンジ化と称しまして、コンパクトシティ政策を推進することを前提として、その対処方策についての検討や制度改正等に向けた審議が行われているところでございまして、本市といたしましてもその動向を注視してまいります。またそれと並行しまして、開発許可や地区計画などの都市計画制度の活用についても研究して参ります。

◯妹尾正信議員 コンパクトシティを実現するためには、都市計画制度だけではなく、誘導区域外から誘導区域内に移転するための転居費の補助や税の優遇など、インセンティブを付与することも合わせて考えることが必要との考えを持っているところでございます。また誘導区域外で住み続けるのであれば、インフラの維持管理費用を負担してもらうなど、受益者負担の観点も重要と考えております。将来世代への負担を少しでも軽減するためにも、今の段階から補助制度や税制度を含め総合的に検討し、コンパクトシティの実現につながる政策を実行していくことが必要なのではないかと考えております。そしてスマートウエルネスシティの観点では、美的景観の良い地域に住んでいる人やソーシャルキャピタル、いわゆる社会的つながりが高い地域ほど健康度が高いなど、まちの構造と健康の関係について研究されています。健康増進インセンティブ等による住民の行動変容やソーシャルキャピタルの醸成など、相当面に加えて交通公共交通インフラの充実や緑道、歩道、自動車道等、ハード面でのまちづくりの要素も重要であり、総合的に進めるべきことが必要であります。このような集約型の都市を実現するためには、組織横断的に取り組むことが重要であると考え、そのために中心的な役割を担う組織体制について検討を行っていただきたく、このことを要望いたしまして私からの質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

平成29年9月定例月議会(2017年9月19日)

スマートウエルネスシティしかり、コンパクトシティしかり、取り組むにはどちらも息の長い施策です。アイデアの聞こえは良く、まるでお花畑です。これからの話ではありますが、現実問題として、どれほど枚方市に適用できるのか、また効果を実感できるようになるのはいつの話だろうかと、少しシビアに見てしまいました。

市としては、都市のスポンジ化を気にしているようです。そうなると、行政サービスでは様々な面で経済性が悪くなって、使用料を引き上げたり、サービスを廃止したりしなくてはならないということでしょう。


* 会議録が公開されていないため、発言内容は筆者による文字起こしによるものです。過不足や聞き間違いなどを含む場合があります。

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