平成29年度市政運営方針

読者の皆さんは市政運営方針をお読みになられましたか。

伏見市長は枠を増やすとか、助成金を出すといった安直な施策だらけで、本当に熟考が足りません。タイムリーにあちらこちらで補助金目当てに悪い事をしているニュースが伝えられていて、これから枚方市でも何か問題が起きそうな予感がしています。枚方市制施行70周年記念事業経費は8420万6000円を計上していますが、それだけのお金を使って人口が増えなかったら、もちろん責任をとりますよね?あらかじめ数値目標を設定していますよね?

人は集まっていない

兵庫県明石市のようなV字回復どころか、未だに「選ばれるまち」への変化の兆しはありません。枚方市は若者に選ばれず、高齢者に選ばれ続けています。

【2016年も社会増加ならず】
一方、年間の社会動態(転入した人と転出した人の差)は7年連続で減少しました。 pic.twitter.com/lZeSMLuAL5

— 枚方市政を追いかける!(仮) (@hirakatawatch) 2017年1月21日

年齢別に月ごとの社会移動を擬似的に計算したのが次のツイートです。「擬似的」と表現する理由は、純粋な転出だけを抽出できず、誕生月や死亡による影響を含むためです。

〖中の人〗2016年を月別に各歳人口に対する転出入の割合を擬似的に計算したもの(緑=転入、赤=転出)。高齢者ばかり転入(下側)してくるのに「将来世代の負担を残さないために高齢者が元気に長生きしてもらう」予算配分はどうも理解できません。 pic.twitter.com/rXe2EnPi4P

— 枚方市政を追いかける!(仮) (@hirakatawatch) 2017年3月18日

枚方市の人口について、直近の市長の認識は次のよう*に述べています。

◯伏見 隆市長 …(略)…本年1月に総務省が公表した平成28年の住民基本台帳人口移動報告によると、本市においては742人、前年が1090人でしたが、742人の転出超過という結果でございました。昨年に比べ回復傾向にあるものの依然として転出超過が続いている状況であり、これに歯止めをかけることができるよう危機感を持って取り組んでいかなければならないと考えております。…(略)…

平成29年3月定例月議会(2017年3月3日)

この答弁には3つの問題があります。まず1つは、超過人数が348人減ったことを根拠に「回復傾向にある」と述べたことです。というのも統計を詳しくみてみると、移動規模の減少に伴って、30〜40歳代の転出超過は2013(平成25)年の579人から2016(平成28)年の190人と、年々減少しつづけています。一方、20歳代の転出超過は2016(平成28)年と前年だけで比較すると超過人数が減少していますが、波があるために連続的な評価は難しいのです。つまり、2015年と2016年を比較すると偶然に減少しただけで、施策による効果の裏付けとは推定できないのです。

2点目は「回復傾向にある」と述べたのに「歯止め」をかけられていないことを認めていることです。もし回復傾向があるなら、歯止めがかけられているはずです。逆に歯止めをかけられていないなら、回復傾向にありません。矛盾しています。

もう1つは、これまでに実施した施策の反省点、改善すべき点に言及がないことです。「危機感を持つ」のは結構ですが、 このまま何ら変わることなく時間ばかりが過ぎていくのを誰が許してくれるのでしょうか。例えば、3世代家族の定住促進はどうなったのでしょうか。先行事例(高槻市)の人口誘導に繋がっていないデータがありながら、実施に踏み切っていましたが、どうなったのか結果が気になっています。

枚方市駅周辺の再開発に希望を持てず

すべては2020年より後

枚方市駅前を元気にしたいと訴えて当選した市長ですが、枚方市駅周辺の再整備は少なくとも2020年の東京オリンピック・パラリンピックが終わらないと着手できません。しかも現在の再整備の検討状況すら先行き不透明です。それに、市長の任期は2019年9月で終わります。

このような状況ですから、市民にとって再整備を待つという選択肢にはリスクしかありません。もし枚方市駅周辺に住みたいのであれば、樟葉駅周辺を選ぶか枚方市を転出したほうが良いでしょう。いったん生活基盤をそこで整えておいてから、再整備の様子を見て、再び枚方市に転入するかどうかを検討されることをおすすめします。

T-SITEの話ばかりする市長

市長は様々な場で枚方市駅前にT-SITEができたことを話しています。名だたる百貨店が撤退していった魅力のないエリアなのに、接近してくる事業者がいるのは不自然です。TSUTAYAは枚方が発祥の地だからあの場所に建てたのですが、TSUTAYAを運営するCCC(カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社)に対する全国的な世間の評価を踏まえると、枚方市がT-SITEに「おんぶにだっこ」の状態というのは、とても恥ずかしいことです。だから市長が大々的にPRするのは遠慮してほしい。

下記の記事を読んで、退任した特別顧問にやる気を感じなかったのは、距離を置きたかったからなのかなと思いました。

すべて当てはまる枚方市(笑)
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地方は結局「若者」を排除して自ら衰退する 「若者に活躍してほしい」は、ほとんど口だけ | 地方創生のリアル - 東洋経済オンライン https://t.co/GD9JNzr5cg

— 枚方市政を追いかける!(仮) (@hirakatawatch) 2017年3月16日

待機児童対策が安全・安心を脅かさないか

他市では補助金目当てとみられるニュースもタイムリーに入ってきているなか、枚方市は保育士不足の対策として補助金を出そうとしています。有資格者を集められたとしても、安心して子どもを預けられる体制にできるのか心配です。

検討に甘さ

保育士を確保するための神奈川県平塚市の予算がニュースで伝えられていました。これと枚方市を比較してみると、対象者の人数は枚方市(140人)が平塚市(10人)を上回っていますが、実は平塚市は返済義務のある貸付で定住を条件にしています。しかも借金地獄にならないよう、一定の期間を超えて定住すると返済を減額してくれるという配慮もあります。

人口誘導や定住促進の観点から比較すると、神奈川県平塚市の方が賢明だというのは一目瞭然です。助成金目当てに来られる可能性がある枚方市の保育士の確保策について、当然ながらマスメディアは注目していません。

枚方市より神奈川県平塚市の方が賢いわ。平塚は定住してもらう人のことを本気で考えている。枚方は単なるバラマキ。
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保育士確保に100万円貸付|NHK 首都圏のニュース https://t.co/WE7V9g0meH

— 枚方市政を追いかける!(仮) (@hirakatawatch) 2017年3月14日

市長は「よそより本気」と言いますが、どこか力の入れどころを間違えていると思います。

学校教育のネガティブ情報多数

枚方市の教職員の多忙問題は10年経っても解消されていませんし、メンヘラ(メンタルヘルスに問題を抱えた)教員がいることは、平成28年12月定例月議会で明らかにされました。そんな中、2017年3月6日に小学校教諭が違法薬物使用の疑いで緊急逮捕されています。

【枚方市の教育の実態】
去年9月、桜丘中学校で理科の実験中に生徒が救急搬送される事故が繰り返され、検察が教科担任を書類送検。また市議会では昨年12月に教職員の多忙化が議論されました。そして、きょう小学校講師の逮捕。お世辞にも枚方市の教育がブランドだとは言えません。

— 枚方市政を追いかける!(仮) (@hirakatawatch) 2017年3月6日

市は差し置いて、子どもの基礎学力の向上や、英語教育に力をいれるそうです。それなら、子どものためには私学に通わせるか、転出したほうが良さそうです。

将来世代に負担を残さないために、高齢者が集う施設100ヶ所設置する?

100ヶ所の根拠は国の基準をもとに試算しただけらしいのですが、市民が何と言おうと結果的にそうなるしかないでしょう。

健康に長生きしてもらうために高齢者全員に投資する費用と、治療や介護が必要になった高齢者に保険から支出される費用とでは、どちらが負債は少なくなるでしょうか。「将来世代」と言いながら嘘をつき、実際は転出超過の年齢層に支出せず、転入超過の年齢層にばかり支出しています。

転出超過の原因を未だ認知せず、市長と若者の考えに隔たり

ジェネレーション・ギャップと言えば聞こえは良いですが、「世代間で分断された社会」と表現した方が正確でしょう。

魅力のズレ

枚方市の魅力について市長は「大阪と京都の中間に位置するアクセスの良さ」をあげています。しかし転出する人は中間地点に住もうという考えはなく、大阪市か京都市のどちらかを選び、枚方市は選ばれません。市長の考えている魅力は、若者にとっての魅力ではないのです。

仕事観のズレ

若者の市内企業への就職に関して、市長は「定着支援」と称して会社を辞められないように束縛しようとしています。発想の転換という概念が頭にないようで、若者が辞めない会社にしていくという考えはありません。

それに産業という側面では、枚方市の主要産業には、市場を独占しているもの、安定して長く続けられるものがないうえ、時代とともに将来性がなくなっていくものしかないというのが、魅力を感じない要因のひとつにあると思います。市長がほんのひとつまみのハイテクやベンチャーについて熱く語りますが、たぶん彼らに笑われていると思います。

生き方・結婚観のズレ

これから枚方市へ転入してくる夫婦に住宅の購入や賃貸費用、引越し費用を補助(予算3000万円)するという、ロジックのよくわからない助成金を出そうとしているのも気になっています。結婚しようとするカップルは助成制度がなくても結婚するし、転入したければするでしょう。助成金をきっかけに魅力を感じない枚方市へ転入されたら、むしろ支弁能力のない世帯が増えて、さらに枚方市の財政が苦しくならないでしょうか。


* 会議録が公開されていないため、発言内容は筆者による文字起こしによるものです。過不足や聞き間違いなどを含む場合があります。

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