教育長は責任をとって辞めてはいかが?

不祥事の多発

【訂正】今年2人目の逮捕者(2017年3月に小学校講師)。
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酒気帯び運転、教諭逮捕=車に追突-大阪府警:時事ドットコム https://t.co/eixxRgW71D

— 枚方市政を追いかける!(仮) (@hirakatawatch) 2017年10月8日

教育委員会の不祥事が多すぎるのではないでしょうか。まだ平成29年が終わっていないのに、不祥事が3件に達しました。

  1. 小学校の講師を緊急逮捕(2017年3月6日)
  2. 中央図書館長と副館長を訓告の処分(2017年9月5日)
  3. 中学校の教諭を現行犯逮捕(2017年10月7日)

この酒気帯び運転で検挙された教諭の勤務先が報道では伏せられています。この教諭と同一の名字や授業風景の写真等が2017年10月10日に長尾中学校のホームページから削除する対応が取られたことで、逮捕者が1年生の学級担任で理科を担当する教諭と断定できました。

この学校では、2017年6月16日に開催された体育祭で19人の生徒が熱中症のような症状を訴え、14人が救急搬送される事案があったばかりです。さらに行事予定表によると、今回の事件は中間テストを数日後に控えた時期ということもあり、生徒たちへの影響は大きいでしょう。

上記の3件以外にも、学校のトラブルが議会や報道で取り上げられていました。今年に限ると、学校教育と社会教育を担当する職員の検挙や矯正措置に該当する事案が立て続けに発生していて、この状況は目に余ります。

徹底されない服務規律

学校教育と社会教育を担当している奈良教育長は2017年3月13日に開催された教育委員会協議会で、次の通り発言しました。

(略)

最後に3月6日ですが、本市の臨時講師が覚せい剤取締法違反、使用容疑で逮捕されるという、あってはならない事案が発生いたしました。残念であるとともに保護者、児童・生徒、市民の皆様には心よりおわびを申し上げたいと思います。講師採用における面接等で見抜けなかったのか、当該講師の日ごろの言動の中に今回の事案に繋がるような兆しはなかったのか、また、教職員が何らかの異変に気づくことがなかったのか、また、なぜ今回の事案が起こったのか、その防ぐ手だてはなかったのかと思いますと悔やまれてなりません。翌日には臨時校園長会を招集し、教育長通達を出して全教職員への服務規律の徹底を指示しましたが、今後総力を挙げて事案の再発防止と服務規律の徹底、枚方の教育に対する信頼の回復に努めていかなければならないと考えています。

以上で、私からの報告は終わります。

教育委員会協議会(2017年3月13日)

教育長は講師が逮捕された事件を受けて、全教職員に「服務規律の徹底」を指示したにもかかわらず、1年も経たないうちに、教諭が飲酒運転で検挙されました。結果論として、教育長はすべての教職員に服務規律を徹底させることができませんでした。

既報のとおり、教育長は2017年9月14日に開催された本会議で中央図書館長と副館長の不祥事について、再発防止を誓ったばかりです。

木村議員によると、2017年10月10日に開催された決算特別委員会の冒頭に、教育長から今回の事件について次のような発言があったようです。ただし、これは議員のメモで一字一句を捉えたものではありません。

不祥事に関して。

誠に遺憾であり、痛感
重大な事案と受け止めて
生徒保護者の不安を払しょくするため、
臨時校園長会で服務規律を高め
教職員の信頼回復に努める。

決算特別委員会3日目(厚生建設環境分野),枚方市議会議員 木村亮太オフィシャルブログ「未来に責任」(2017年10月10日)

重大な事案」というフレーズは、覚せい剤取締法違反で臨時講師が緊急逮捕された事件では使われていません。酒気帯び運転の方が重大なのでしょうか。どちらの事件も「教育者」以前の問題で、「社会人」として絶対にしない行為をした重大性に軽重の差はないと思います。

なぜ、臨時校園長会で「服務規律」について教育長が指示したのに、再び臨時校園長会を開催して同一の指示を出すつもりなのでしょうか。臨時に会議を開催しても、出席者は話を聞いていないとか、指示の内容が現場に伝わらないほど、緊張感もないのでしょうか。

教育長は生徒や保護者に「不安」を与えているとの認識ですが、内申に関係する大切な中間テストの時期に、学級担任や教科担任が検挙されて大迷惑を被っているのですよ。その認識がない可能性があります。

もう奈良教育長にチャンスを与える必要はないでしょう。教育長には責任を取って辞めてもらう必要性があると思います。

最高責任者は市長

その前に、誰が最終的な責任を負っているかを確認しておきましょう。会議録を参照すると、伏見市長が教育長を任命し、議会の同意を得ていることがわかります。つまり最終的には、伏見市長に任命責任があります。

◯大森由紀子議長 理事者から提案理由の説明を求めます。伏見市長。

◯伏見 隆市長 ただいま上程されました議案第132号 教育長の任命の同意について、提案理由の御説明を申し上げます。

恐れ入りますが、議案書の376ページをお開きください。

御説明を申し上げます前に、まことに恐縮ではございますが、議案書の住所、氏名、生年月日の空欄に、住所 ・・・・・・・・・・・・・・・、氏名 奈良 渉、生年月日 ・・・・・・・・・・とそれぞれ御記入くださいますようお願いいたします。

それでは、提案理由の御説明を申し上げます。

今回お願いいたしますのは、現教育長であります村橋 彰さんの任期が、来る平成28年3月31日付をもって満了となりますことから、村橋さんの後任といたしまして、奈良 渉さんを平成28年4月1日付で新たに任命いたしたく、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第4条第1項の規定に基づき、議会の同意を求めるものでございます。

それでは、奈良さんの経歴につきまして、御説明を申し上げます。

奈良さんは、昭和48年4月に大阪府公立学校教員の任命を受けられ、枚方市立山田小学校、枚方市立第二中学校などで教諭として御活躍の後、平成4年4月からは本市教育委員会事務局の指導主事として勤務され、指導課長、学校教育部次長の職責を担っていただきました。平成13年4月には大阪府公立学校長の任命を受けられ、枚方市立東香里中学校長として学校運営に御尽力された後、平成17年4月からは改めて本市教育委員会事務局で学校教育部長の要職を担っていただきました。さらに、平成19年4月から平成23年3月までは枚方市立第三中学校長として教育現場において学校運営にその手腕を発揮していただき、現在もこれまでの御経験を生かし、大阪府教育委員会の嘱託として児童、生徒の学力向上に取り組んでおられます。

このように、奈良さんは教育に関する幅広い知識と豊富な経験をお持ちであることから、教育長として最適任であると確信しておりますので、任命の同意を求めるものでございます。

なお、ただいま申し上げました経歴につきましては、参考資料としてお手元に配付させていただいておりますので、御参照くださいますようお願いいたします。

以上、簡単ではございますが、提案理由の説明とさせていただきます。何とぞ満場一致をもちまして御同意賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

◯大森由紀子議長 本件については、質疑、委員会付託及び討論を行わず、直ちに採決に入ります。

本件は、原案に対し同意することに御異議ありませんか。

(「異議なし」と呼ぶ者あり)

◯大森由紀子議長 御異議なしと認めます。

よって本件は、原案に対し同意することに決しました。

平成28年3月定例月議会(2016年3月28日)

実質的には副市長と同様の内部登用です。経歴だけ聞けば立派に聞こえますが、そうでもなかった。教育長は「最適任と確信」と持ち上げてくれた伏見市長の顔に泥を塗りました。

教育長をリコールするには

責任追及の方法として考えられる最終手段は市長のリコールだと思いますが、軽々に伏見市長をリコールせず、物事を段階的に進めるほうが良いでしょう。まず、一連の不祥事に対する責任は教育長が負うと考えています。

教育長が自発的に辞めるかどうかは未知数ですが、市長が交替させれば混乱は最も少ないでしょう。そうでなければ、議会が教育長への問責決議を可決すれば良いとは思いますが、決議は確実に交替させる仕組みではありません。しかも、平成29年9月定例月議会は閉会(2017年10月18日)間近で、それまでに会議を開くことはスケジュール的に難しいかもしれません。そもそも、この時期は衆議院議員総選挙の応援で忙しく、それどころではないでしょう。

ということで、教育長をリコールできるのか、また仮に教育長をリコールできるならば、どのような手続きを行うのかを調べてみました。

有権者の3分の1以上の署名を提出

まず、教育長をリコールできるかどうかを確認してみます。以下の通り、市民が教育長の解職を請求できます。

(解職請求)

第八条 地方公共団体の長の選挙権を有する者は、政令で定めるところにより、その総数の三分の一(略)以上の者の連署をもつて、その代表者から、当該地方公共団体の長に対し、教育長又は委員の解職を請求することができる

地方教育行政の組織及び運営に関する法律

有権者から3分の1以上の署名を集め、選挙管理委員会へ提出することで教育長を解職請求できます。そのために必要な署名の数は、2017年9月1日現在の選挙人名簿登録者数から計算すると、11万2112人です。実際に、これだけの署名を集めることは現実的に厳しいですが、それだけ教育長の職責が重いことの裏返しだと思います。

出席議員の4分の3以上の同意

ただし、厳密には市民が請求できるのは議会に教育長を失職させるための議決を求めることまでです。署名を提出するだけでは教育長をクビにできません。しかも、教育長の就任は市長の提案に議会が同意して決まっていることから、市民が議決を請求しても議会が簡単に(教育長の失職について)同意しない可能性があります。

第八十七条 教育委員会の教育長又は委員、同条第三項の場合において、当該普通地方公共団体の議会の議員の三分の二以上の者が出席し、その四分の三以上の者の同意があつたときは、その職を失う

地方自治法地方教育行政の組織及び運営に関する法律による読み替えを適用)

半年を過ぎないとリコールできない

リコールの署名を集める前に、現職の教育長が「議会の同意、就任から半年以内はリコールできない」規定に該当しないかどうかを確認しておく必要もあります。

第八十八条 (略)

○2 地方教育行政の組織及び運営に関する法律(昭和三十一年法律第百六十二号)第八条第一項の規定による教育委員会の教育長又は委員の解職の請求は、その就職の日から六箇月間及び同条第三項の規定による議会の議決の日から六箇月間は、これをすることができない

地方自治法地方教育行政の組織及び運営に関する法律による読み替えを適用)

会議録を確認すると、教育長の就職の日は2016(平成28)年4月1日、議会の議決の日2016(平成28)年3月28日ですから、これらの日から6ヶ月を過ぎています。

その他の規定

教育長のリコールの具体的な方法は、おおよそ次の通りです。

これらは以下の地方自治法施行令で規定されています。

第九十一条 地方教育行政の組織及び運営に関する法律(昭和三十一年法律第百六十二号)第八条第一項の規定により普通地方公共団体の教育委員会の教育長又は委員の解職の請求をしようとする代表者(以下「教育長又は委員の解職請求代表者」という。)は、その請求の要旨(千字以内)その他必要な事項を記載した教育委員会の教育長又は委員の解職の請求を添え、当該普通地方公共団体の長に対し、文書をもつて教育長又は委員の解職請求代表者証明書の交付を申請しなければならない。

○2 前項の規定による申請があつたときは、当該普通地方公共団体の長は、直ちに市町村の選挙管理委員会に対し、教育長又は委員の解職請求代表者が選挙人名簿に登録された者であるかどうかの確認を求め、その確認があつたときは、これに同項の証明書を交付し、かつ、その旨を告示しなければならない。

(略)

第九十二条 教育長又は委員の解職請求代表者は、教育長又は委員の解職請求者署名簿に教育長若しくは委員の解職請求書又はその写し及び教育長若しくは委員の解職請求代表者証明書又はその写しを付して地方自治法第七十四条第五項に規定する選挙権を有する者(以下「選挙権を有する者」という。)に対し、署名(盲人が公職選挙法施行令(昭和二十五年政令第八十九号)別表第一に定める点字で自己の氏名を記載することを含む。以下同じ。)をし印を押すことを求めなければならない

○2 教育長又は委員の解職請求代表者は、選挙権を有する者に委任して、その者の属する市町村の選挙権を有する者について前項の規定により署名し印を押すことを求めることができる。この場合においては、委任を受けた者は、教育長若しくは委員の解職請求書又はその写し及び教育長若しくは委員の解職請求代表者証明書又はその写し並びに署名し印を押すことを求めるための教育長又は委員の解職請求代表者の委任状を付した教育長又は委員の解職請求者署名簿を用いなければならない

○3 前二項の署名及び印は、前条第二項の規定による告示があつた日から都道府県及び指定都市にあつては二箇月以内、指定都市以外の市町村にあつては一箇月以内でなければこれを求めることができない。ただし、地方自治法第七十四条第七項の規定により署名を求めることができないこととなつた区域においては、その期間は、同項の規定により署名を求めることができないこととなつた期間を除き、前条第二項の規定による告示があつた日から都道府県及び指定都市にあつては六十二日以内、指定都市以外の市町村にあつては三十一日以内とする。

(略)

第九十四条 教育長又は委員の解職請求者署名簿に署名し印を押した者の数が地方自治法第七十四条第五項の規定により告示された選挙権を有する者の総数の三分の一(その総数が四十万を超え八十万以下の場合にあつてはその四十万を超える数に六分の一を乗じて得た数と四十万に三分の一を乗じて得た数とを合算して得た数、その総数が八十万を超える場合にあつてはその八十万を超える数に八分の一を乗じて得た数と四十万に六分の一を乗じて得た数と四十万に三分の一を乗じて得た数とを合算して得た数)以上の数となつたときは、教育長又は委員の解職請求代表者は、第九十二条第三項の規定による期間満了の日(同項ただし書の規定が適用される場合には、当該請求に係る区域の全部について同項に規定する期間が満了する日をいう。)の翌日から都道府県又は指定都市に関する請求にあつては十日以内、指定都市以外の市町村に関する請求にあつては五日以内に、教育長又は委員の解職請求者署名簿(署名簿が二冊以上に分れているときは、これらを一括したもの)を町村の選挙管理委員会に提出しなければならない。

(略)

第九十五条 教育長又は委員の解職請求者署名簿に署名し印をおした者は、教育長又は委員の解職請求代表者が前条第一項の規定により教育長又は委員の解職請求者署名簿を市町村の選挙管理委員会に提出するまでの間は、教育長又は委員の解職請求代表者を通じて、当該署名簿の署名及び印を取り消すことができる

地方自治法施行令地方教育行政の組織及び運営に関する法律施行令の読み替えを適用)

このまま奈良教育長が辞職することなく任期満了を迎えることになるとは思いますが、それほど不祥事が頻発していると筆者は考えています。

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