平成29年9月定例月議会 一般質問

職員の不祥事

伏見市長のガバナンスが効いているのか疑問に感じる不祥事でした。過去には職員の処分について責任を取る形で、市長給与を減額する条例案を提出していましたが、今回の2件について市長は給与を減額するつもりはないようです。その違いについて筆者は推し量れませんでした。

いずれの事案も質疑の対象でしたが、議会は要所を押さえた質問や助言ができていません。

結局のところ、処分理由は何か?

公式発表の内容

中央図書館長と中央図書館副館長が処分された件について、公式発表を確認します。

職員に対する訓告について(平成29年9月5日付け)

9月5日付けで、次のとおり職員に対し訓告を行いましたので、お知らせいたします。

・事案の概要

中央図書館館長は、本年7月、枚方市立生涯学習市民センター・枚方市立図書館指定管理者選定委員会委員の一人がその職務に対する不満から辞意を表していたことから、中央図書館副館長に対し、その慰留を命じたところ、副館長ほか1名は、大阪市内において、飲食を伴う場で慰留のための面談を行ったものです。この際、中央図書館長は、公務出張として、慰留行為の態様を確認することなく、これを承認したものです。

また、同委員の就任にあたり説明が不十分であったことから委員の交替等が生じ、指定管理者選定事務を遅滞させることとなったものです。

・訓告を受ける者

枚方市立中央図書館長 54歳

枚方市立中央図書館副館長 59歳

・訓告の日

平成29年9月5日

職員に対する訓告について,枚方市ホームページ(2017年9月5日)

この概要を読むと、館長が態様を確認せず公務出張として承認したことが処分された理由と解釈できます。館長が副館長に慰留を命じておきながら、後日に何の確認も行わないのは不自然です。なぜ館長が確認を怠ったのか、それなりの説明を要します。それに、この説明だけなら副館長も処分される理由はないはずです。この文章中に、例えば「慰留をしなかった」など、副館長を処分する理由が明記されていません。また面談に参加していた「ほか1名」が処分の対象にならないことが適切な判断と理解できる説明もありません。不十分な説明で指定管理者の選定が遅れたことも処分の対象になっているのでしょうか。それについては誰が処分されるのかわかりません。

マスコミの報道

マスコミ報道を確認してみます。ここには公式発表に記載のないことが教育委員会のコメントとして伝えられています。

大阪府枚方市教育委員会は5日、酒を飲みながら市立図書館の指定管理者選定委員がやめないよう慰留したとして、同図書館の男性副館長(59)を訓告処分にした。飲酒を伴う慰留行為が市民感覚として不適切と判断した。また上司の女性館長(54)も、飲酒を伴う慰留行為を公務出張扱いで承認したとして訓告とした。

市教委によると、市は来年4月から市立図書館で指定管理者制度を導入する予定で、専門家5人を選定委員に委嘱。しかし今年7月、委員の一人の大学教授が「自分の意見が反映されない」として辞意を表明した。

館長は副館長に対し、教授を委員に慰留するよう指示。副館長らは、大阪市内の居酒屋で教授と会い、約3時間にわたり酒を飲みながら慰留した。食事代金は折半したという。

この後、教授は委員をやめ、別の委員が委嘱された。

市教委は「大学の研究室や喫茶店などで、飲酒をせずに慰留するのは問題ないが、飲酒を伴う慰留は市民感覚として不適切」としている。

酒飲んで慰留は不適切…大阪・枚方市立図書館副館長と館長を訓告処分,産経ニュース(2017年9月6日)

報道によれば、教育委員会が「飲酒」を問題行為と認定して訓告処分をしたということです。しかし、公式発表には「飲酒」の文字がありません。もし「飲酒」を問題行為と認定したなら、公式発表に「飲酒」の語がなければおかしい。余談ですが、大学教授にある人物が自分の意見が反映されないから委員を辞めるという大人気ない言動には、あっけにとられましたが、その部分には深入りしないことにします。

顛末

以上を踏まえながら、一般質問の答弁を聞くと全容が見えてきました。西田議員が質問しました。

◯西田政充議員 …(略)…次に生涯学習施設図書館複合6施設への指定管理者制度導入についてお尋ねいたします。

本年6月定例月議会での議決結果を受けて進められておりました、生涯学習施設と図書館の指定管理者の選定手続きが一時中止された事案につきまして、本来、円滑に進められるべき選定業務が一からやり直しになってしまったことに対し、私は大きな懸念と不信感を抱いております。そこでまずこの時間の顛末を時系列に沿った形で分かりやすくご説明いただきたいと思います。加えて選定業務の今後の取組予定についてもお伺いをし、1回目の質問とさせていただきます。

◯社会教育部長 次に2.生涯学習施設図書館複合6施設への指定管理者制度導入についてお答えいたします。

まず、この度の生涯学習施設図書館複合6施設への指定管理者制度導入に関しまして、選定業務が一時中断し、皆様にご迷惑、ご心配をおかけしましたことお詫び申し上げます。

経過等でございますが、平成30年4月から指定管理者制度を導入するにあたり、平成29年6月30日に第1回指定管理者選定委員会を開催し、募集要項、仕様書などについて検討いただきましたが、選定委員会終了後、図書館学分野選出の委員から職務に対する不満により、辞意を表する申し出がございました。これを受け、教育委員会といたしましては、今後の審議会運営も考慮し慰留を行ったところでございますが、委員はその後、指定候補者の対象となり得る事業者へ提案内容の助言と認められるような文書を送るという不適切な行為を行いました。これにつきましては委員自らが7月12日に市へ連絡してきたことで明らかになったことから、指定管理者選定の公平性を期するため、7月14日に選定手続きを一時中止いたしました。その後、委員や事業者に事実確認を行い、課題を整理した後、7月26日に当該委員を解嘱し、8月1日に新たに委員1名を委嘱いたしました。その後、8月14日に改めて第1回選定委員会を開催したところでございます。

現在、9月1日から9月29日までの期間で指定管理者候補の公募を行っている状況でございまして、今後は10月、11月に書類審査、プレゼンテーションなどの審査を経て、指定管理者を選定し、12月の市議会定例月議会における指定管理者の指定議案提出に向け、手続きを進めてまいります。

◯西田政充議員 …(略)…次に生涯学習施設図書館複合6施設への指定管理者制度導入についてですが、先ほどの御答弁で問題を起こした委員については、既に解嘱したという事でしたが、私は市の対応はそれだけでは不十分だと考えております。選定業務を中断せざるを得なくなったことで、市は多大な損害を受けたと思うのですが、当該委員に対し損害賠償を求める考えはないのかお伺いいたします。

◯社会教育部長 本市といたしましては、委員に業務を妨害する意図があったとは思われないこと、また事業者へ送付した文書は委員個人の見解を述べているもので、市や選定委員会の秘密を漏らしたと言えるものものではないこと等から、当該委員に対する損害賠償の請求は行いませんでした。

◯西田政充議員 当該委員が事業者に文章を送ったのは第1回目の選定委員会が終わってからです。そのようなタイミングで提案内容の助言と認められるような文書を指定管理者となりうる事業者に送るということは、例えて言うと、契約ごとで言うと、入札妨害に近いぐらいの本当に重大事であります。そういうことをしっかりご認識をいただきたいというふうに思っております。早くにわかったから、まだこれはいま進んでおりますけども、もう少し後でもしこんなことがわかれば、とんでもない状況になったわけであります。

続いて文書の送付を受けた事業者への対応についてお伺いします。市の調査では文章の送付を受けた事業者は全く関係がないと判断されているようですが、厳正な対応という観点から、その事業者を指定管理者の候補者から排除するか否かについても、真剣に考えるべきではないかと思うのですが、市の見解をお伺いいたします。

◯社会教育部長 事業者につきましては、市が調査した結果、委員からこの様な文書が一方的に送られてきたことで、その対応に苦慮していたことが確認されたこと、またその後の本市の事情聴取にも誠実に対応していること等から、当該事業者を排除する合理的な理由はないと判断いたしました。

◯西田政充議員 当該事業者を排除する合理的な理由はないとのことでしたけれども、疑い出せばきりがないわけですが、私は今回、明らかとなった内容以外の情報も当該事業者に伝わってるのではないかと大変、心配してるということはので申し述べさせていただきます。

さて、本年9月5日付で議会に報告のあった文書によりますと、当該委員会の説明不足や手続きの中止に伴い、選定事務を遅滞させたことになどによって2人の職員が訓告処分を受けたということです。また辞意を表明する当該委員を慰留する際に、職員が飲食を共にしたということですが、これは大問題でありまして、あってはならないことであります。なおかつそれを公務出張扱いにしたということで、その出張に伴う交通費も支給されたようですけれども、このことに対してどのような対処をされたのかお伺いいたします。

◯社会教育部長 出張旅費である交通費につきましては、不適切な支給であると判断したことから、処分と同日の9月5日付ですでに当該職員に返納させております。

◯西田政充議員 この一連の事案に関しましては、市職員のコンプライアンス意識に大変、問題があったと言わざるを得ません。そこで改めてこの件についての教育委員会としての見解をお伺いいたします。

◯社会教育部長 教育委員会といたしましては、二度とこのようなことを繰り返さないよう、改めて地方公務員としての心構えを職員に徹底し、コンプライアンスの徹底を図ってまいります。

◯西田政充議員 これまでの御答弁をお聞きいたしておりましても、私は市としてのけじめをつけたというふうには到底思えません。そこで奈良教育長にお伺いをいたしますけれども、この度の選定業務に混乱を招いた責任、この責任については、どのようにお考えになっておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。

◯奈良渉教育長 答弁に先立ちまして、まずこのように指定管理選定業務に混乱を招き、ご迷惑、ご心配をおかけいたしましたことにお詫びをいたします。

当該委員就任のご依頼に際しましては、選定委員会や委員の役割等について説明は行なっておりましたが、結果的には十分にご理解いただけておらず、このような事態に至りました。今後は指定管理者選定委員会の位置付けや委員の職務、職責に関する事前説明会等を徹底するなど、このような事態を生じさせないよう事務を行って参ります。

◯西田政充議員 生涯学習施設そして図書館複合6施設への指定管理者制度を導入するための作業が今も粛々と続けられている、進められているようでありますけれども、指定管理者の選定を進めていく中で多くの問題が顕在化し、市民の皆さんからの信頼の回復が未だ十分に得られていないと思われる現状のなか、本当にこのまま選定作業を進めていくお考えなのか、最後に伏見市長にお伺いをいたします。

◯伏見隆市長 生涯学習施設、図書館への指定管理者制度導入に関しましては、市民サービス向上、効率的、効果的な管理運営の観点から重要であると考えており、しっかりと指定管理者選定手続きを進めて参ります。

平成29年9月定例月議会(2017年9月14日)

おそらく、この大学教授はすでに委員を辞める強く意志を固めていたのでしょう。副館長らに慰留されてしまったため、それでも確実に委員を辞めるには、選定対象の事業者との不適切な関係を教育委員会に認知させればよいと考え、文書を送付し、教育委員会に連絡したのではないかと推測します。文書を送付する前に、教育委員会から慰留されていますし、その前には第1回の選定委員会終了後に辞意を表しているので、妨害行為とみなして損害賠償を請求すべきとの論理はおかしいでしょう。

教育長が再発防止策として十分な説明を行うと述べていますが、この対策はおそらく的外れでしょう。仮に教育委員会がこの大学教授に選定委員としての役割について十分な説明を行っていたとしても、大学教授は自分の意見が反映されない不満があるのですから、原因と対策に関連がありません。再発防止につながらないのではないかと筆者は考えています。

飲食がNGか?飲酒がNGか?

教育委員会としては「飲酒」を不適切としていますが、西田議員は飲酒があろうとなかろうと、飲食そのものを問題視している相違点も現れました。何か根拠となる規定がないのか調べてみると、地方公務員の倫理規定は明確に規定されていないものの、国家公務員の倫理を準用することになっているようです。

(地方公共団体等の講ずる施策)

第四十三条  地方公共団体及び地方独立行政法人法 (平成十五年法律第百十八号)第二条第二項 に規定する特定地方独立行政法人、この法律の規定に基づく及び行政執行法人の施策に準じて、地方公務員の職務に係る倫理の保持のために必要な施策を講ずるよう努めなければならない。

国家公務員倫理法

国の規定はどのようになっているかをわかりやすく説明した資料がありました。

Q3 「利害関係者」って誰のことですか?

A 「利害関係者」とは、許認可、立入検査、契約などの業務で、国家公務員が接触する相手方のことです。

Q4 公務員とは、一緒に飲んだり、食事をしたりしてはいけないのですか?

A 利害関係者の負担で飲食をすることが禁止されています。

ただし、国家公務員が飲食費用を自ら負担する場合(割り勘の場合)には、利害関係者と共に飲食をすることができます。このとき、いわゆる「割り勘割れ」(利害関係者側が多く負担すること)にならないよう、注意する必要があります。

ここがポイント公務員倫理,人事院(2015年11月16日)

国家公務員の規定を今回の事案に適用した場合、委員(大学教授)が利害関係者といえるかどうかの判断に関係なく、割り勘であれば飲食自体を禁止されません。つまり市の職員は西田議員の「飲食を共にしたことは大問題」との批判を、公務員全体の倫理やコンプライアンスとして共通認識にない主張として受け止めている気がします。西田議員には、飲食に関して追求するのであれば、事前に公務員がどのような内容で倫理の研修を受けているかを調査の上で質問してもらいたい。

以上のことから整理すると、副館長は「飲酒」を不適切として訓告処分され、館長は「慰留が飲酒を伴っていたのを確認せず」公務出張を承認したことを不適切として訓告処分されたと考えられます。そして「選定業務の遅滞」は訓告処分に含まれていないと思いますし、含めてはならないと思います。飲酒を不適切と認定する根拠が「市民感覚」とのことですが、一般的に飲酒を伴う公務は存在しないのでしょうか?

改善点

手塚議員は選考委員として委嘱する際の改善点について質問しました。

◯手塚隆寛議員 …(略)…続いて、生涯学習市民センターと図書館へのの複合館への指定管理者制度の導入について質問します。

西田議員の質問とも重なるところがありますが、私なりの観点から質問します。指定管理者選考会議の委員が、業者に助言する不適切な対応したとして、公募をいったん中止し、選考委員を入れ替えて、新たに選考委員会議を発足させ、公募を開始されています。そして、助言を受けた業者は問題がなく、公募に応じることができるとのことです。本当に業者には問題がないのか、市の対応、問題ないのか疑問が残ります。このような事態が生じたことについて、改めて市の任命責任についてお尋ねします。…(略)…

◯社会教育部長 …(略)…次に2.生涯学習センターと図書館複合館への指定管理者制度の導入についてお答えいたします。

選定委員の委嘱にあたりましては、専門分野において優れた知識や経験を有する者の中から選定をしたものでございます。委員就任の依頼に際しては、選定委員会や委員の役割等について説明はおこなっておりましたが、結果的に委員に十分にはご理解いただけておらず、選定業務が一時中断し、皆様にご迷惑、ご心配をおかけする事態となりました。今後は指定管理者選定委員会の位置付けや委員の職務、職責に関する事前説明等を徹底するなど、このような事態を生じさせないよう事務を行って参ります。

◯手塚隆寛議員 …(略)…続いて、生涯学習市民センターと図書館の複合施設の指定管理者制度の導入について2回目の質問です

当該の選考委員さんは、なぜその様な行動されたのか、委員が十分に理解していなかっただけでは済まないような気がします。選考会議のあり方を再度、検討されるよう要望いたします

6館の指定管理者選定については、今月1日から申請受付は行われていますが、募集の再開にあたっては、市としては当然、要綱等の見直しをされたと思います。そこで7月時点の要項や仕様書との違い、新たに加えられた内容についてお伺いします

◯産業文化部長 今回の事案を受け、法令違反、その他社会通念上、疑義のある行為を禁ずる。疑義が生じる可能性がある行為等を把握した場合は速やかに市に報告すること、報告がない場合は失格とすることがある。以上を募集要項に付け加えております。

◯手塚隆寛議員 一定、変えたということは理解しました。…(略)…

平成29年9月定例月議会(2017年9月20日)

市は失格規定を加えたようです。この対応は適切だと思います。手塚議員は「質問をする」と前置きしたのに、質問と要望をしていますね。これはよくないです。

募集要項を確認してみると④に記載されています。もし③だけ記載されていて、選考委員から一方的に文書が送られてきたら、事業者は対応に困るでしょうね。

19. 選定について

(略)

(4)留意事項

(略)

③申請法人等は、選定委員会委員に対し、本件申請について接触することを禁じます。接触の事実が認められた場合には、失格とすることがあります。

④法令違反、その他社会通念上疑義のある行為等を禁じます。申請法人等は、疑義が生じる可能性がある行為等を把握した場合は、速やかに市・教育委員会に報告してください。報告がない場合は、失格とすることがあります。

枚方市立蹉跎生涯学習市民センター・蹉跎図書館及び牧野生涯学習市民センター・牧野北分館・牧野図書館指定管理者募集要項(2017年8月16日)

検証チームを設置していたらしい

もう1つの処分は、職員が自分の部下に暴力、暴言を繰り返していたのに、長期間にわたって管理職などが黙認していたと判明した事案です。この処分に関する質問もありました。公式発表の内容は以下の通りです。

職員の懲戒処分等について(平成29年8月30日付け)

8月30日付けで、次のとおり、職員の懲戒処分等を行いましたので、お知らせいたします。

・事案の概要

上水道保全課係長は、平成27年4月頃から、部下である特定の職員が業務上の失敗を繰り返したときなどに、殴る・蹴るなどの暴力行為を週1回程度行ってきた。また、平成28年7月頃からは、当該職員に対して、作業現場や職場内で人権を侵害するような言動をしばしば行ってきた。

当該係長の所属上司である課長、主幹、課長代理は、この間、管理監督者としての責任が果たせていなかった。

・被処分者

(1)上下水道事業部 上水道保全課 係長 49歳

(2)上下水道事業部 上水道保全課 課長 60歳

(3)上下水道事業部 上水道保全課 主幹 58歳

(4)上下水道事業部 上水道保全課 課長代理 47歳

・処分内容

(1)停職6月

(2)減給6月(10分の1)

(3)減給3月(10分の1)

(4)戒告

・処分日

平成29年8月30日

あわせて、当該部署を総括する上下水道事業部次長 兼 上水道整備室長に対して、管理監督責任に係る矯正措置として、訓告を行いました。

今後、職員が、このような非違行為を起こさないよう服務規律の確保を徹底し、市民の皆さまの信頼回復に努めてまいります。

職員の懲戒処分等について,枚方市ホームページ(2017年8月30日)

「服務規律を徹底する」という公式コメントを発表していますが、職員は社会的に人権擁護の先頭に立っている自覚がありませんね。都市宣言が形骸化しています。

枚方市は、平穏な市民生活をむしばむ各種暴力から市民を擁護するため、あらゆる暴力を排除し、明かるく平和な生活環境の確立を目指し、行政並びに市民総ぐるみで、下記事項を強力に実践することを相互に誓い合うため、ここに枚方市を暴力排除都市とすることを宣言する。

(略)

一、市民は暴力行為を見たり、聞いた場合、事の大小にかかわらず、警察に連絡し、犯人検挙に協力する。

暴力排除都市宣言(1975年10月15日)
ひどいいじめ?犯罪?

市は議員の質問に対して、より詳しい内容を答弁しました。公式発表はオブラートに包まれていましたが、やはり内容は検挙に値する犯罪ではないかと思います。

◯大塚光央議員 …(略)…次に職員の懲戒処分等についてお尋ねをします。

去る8月30日付けで、上下水道局から職員の懲戒処分について通知を受けました。その内容は、上司である係長が特定の部下が業務用の失敗を繰り返したときに殴る、蹴るなどの暴力行為を行っていたこと、また作業現場や職場内で人権を侵害するような行動があったというものでした。そして、この加害職員に対して、本市の懲戒処分としては免職の次に重い停職6か月の処分がなされたということであります。これは非常に深刻な問題だと思い、私も通知の内容や市のホームページ、新聞記事などを隅々まで読ましたが、具体的にどのようなことがなされたのか、まったく不明で、事態の全容はまったくわかりません。まずは事件の概要についてお尋ねします。

以上で1回目の質問を終わります。

◯上下水道経営部長 3.職員の懲戒処分等についてお答えいたします。

今回の事案の概要につきましては、上下水道事業部上水道保全課の係長が平成27年4月頃から業務上の失敗を繰り返したときなどに、部下である特定の職員に対し殴る工具などでヘルメットの上から叩く足で体を蹴るなどの暴力行為を週1回程度の頻度で行うほか、被害職員のセーターやズボンの袖や裾を切る行為を行ったことなども確認しております。

また平成28年7月頃からは、作業現場や職場内で被害職員の名前を呼ぶ際に差別用語を用いたり、私物や公用携帯電話、工事看板にハングル文字などで差別記載を行ってきたものでございます。こうしたことから、加害職員を暴行、暴言による懲戒処分として停職6月に、所属上司につきましては事案を解決することなく長期間、放置していたことから、管理監督責任として減給等の処分を行ったものでございます。

◯大塚光央議員 …(略)…次に職員の懲戒処分等について2回目以降の質問をさせていただきます。

いま処分に至る事件の概要について御答弁をいただきました。あまりにひどいいじめで言葉を失います。何よりこんなにひどいいじめが長期間、放置される職場の体質というか、職場風土が大問題だというふうに思います。私自身も元市の職員でしたから、いつからこんな職場になったのかと悲しい思いになります。

その原因にこそが問題だと感じています。今の職場を見ていますと、職員は厳しい状況のなかであくせく作業に追い回されています。一方で理事者や管理職はやれ人事評価だ、目標管理等、事務事業評価だ、市長公約の進捗管理だのと事務的な管理に振り回されているように見えます。そうした状態が続くとどうなるか、本来、市民のため、公共の利益のために働くというミッションとしての仕事が単にこなすだけの作業になるわけです。そうなると理事者や管理職は部下と向き合い、支えながら一緒になって仕事やるべきなのに、逆に数字というか、上からの評価を気にして形ばかりの管理と指示しかせず、職場や仕事に人の本当に重要な問題には無関心になっていくのではないでしょうか。

今回の事象は、そういう職場風土によって引き起こされると私は考えています。そして今回、上下水道局における事案が表面化したわけですが、同様のことが全庁的に蔓延しているのではないかと非常に心配です。9月8日付の「差別事象の発生と対応について」という報告の中では、9月1付けで上下水道局に検証チームを設置し、事象発生の原因究明と今後の対策について、検討、検証を行う取り組みを進めているとのことです。今回の件については、処分を決定するまで十分な検証をしておられるというふうに思います。今更、何を検証をされるのか疑問です。本当に検証すべきことは、冒頭にも申し上げましたが、市全体の体質として、なぜこのような職場風土になったのかという問題だというふうに思います。検証チームの具体的にどのような取り組みをされるかお尋ねします。

◯上下水道事業部長 検証チームの取り組みついてお答えいたします。この度の不祥事件の原因は議員を示しの通り、職場風土を要因の一つと認識しており、いじめなどをなくすためには職場環境の改善が最重要であると考え、検証チームを設置したものでございます。職場のいじめには身体的な暴力に加え、心理的暴力や人権を侵害するような発言などがございます。またいじめの発生要因としましては、職員同士のコミュニケーションの少なさ、管理職の指導力欠如などが現時点で考えられますが、検証チームでは差別行為、暴力行為、職場風土について職員一人ひとりと面談等を行い、事象発生の原因究明と今後の対策について検証、検討を行ってまいります。

◯大塚光央議員 当該の上下水道部では、一生懸命すると検証していただきたいというふうに思います。なぜ、こんなことになってしまったのかということを根本的に検証していただくことが必要だというふうに思ってます。このような問題は、事案が発生した部局だけで検証するのではなく、組織の責任として全庁的に検証しないと根本的な解決、改善にはつながらないと思います。実際、今回の様な深刻な事態が横行していた責任は、私は組織のトップである市長にあるというふうに思います。ところが9月5日の部課長連絡会議の市長訓示をフロム・トゥーで拝見をすると、市長は今回の職員の処分について情けない気持ち、非常に腹立たしく思う、発言をされています。何か他人ごとのように捕らえられているような気がするわけです。本来、情けなく腹立たしい思いは自分に向けられべきものです。市長である自分がこんな職場風土を作ってしまったという深刻な反省と強い改善の思いを持って取り組みを進めなければ、職場風土を変革することはできません。改めて市長に伺いますが、組織のして組織のトップとして、今後、どのように対応をされていくのか、市長自身の考え、想いをお伺いいたします。

◯伏見隆市長 大塚議員からのご質問にお答えいたします。いかなる理由があろうとも、人権を侵害する行為は許されるものではないのは言うまでもありません。今般、職場においてこのような人権侵害行為が起きたことについては市長として重く受け止めており、その責任を痛感するところであります。私としましては、今回の事が起きました原因については個々の人権問題に関する感覚や意識の問題は当然ながら、このようなことが起きているということを放置してきた組織であったことが最も大きな問題であると思っています。

これまでも職員に対しては、研修の場等を通じて人権意識を高める取り組みを行ってきましたが、このようなことが起きると、これまでの取り組みにどのくらい意味があったのか、しっかりと検証していかなければならないと考えています。研修については、地道ではありますが、今後とも継続的に取り組んでいく必要があるとともに、合わせて問題事象の未然防止、早期発見のためには何事についてもフランクに話し合える風通しの良い職場の構築が必要であり、職場のコミュニケーションの一層の確立に取り組んでいきたいと思っております。

一方で、職場の組織マネジメントの徹底として、全部署において、気づいていない人権問題等がないのか、改めて点検を行う必要があると考えています。私自身、改めて今回の問題を真摯に受け止め、二度とこのようなことが起きないよう、自ら先頭に立ち強い覚悟を持って取り組む決意であります。

◯大塚光央議員 市長の答弁に対して直接のコメントは控えますけれども、ただ、もし今回の事象が仮に学校で起こったとした場合ですね、学校長が今の市長のような姿勢でですね、保護者や関係者に対応したらどうなるかというふうに思うわけです。おそらく、さらに大きな問題になって収まりがつかなくなるほどの混乱を招いていたというふうに思います。

そこでまたですね、今年の4月に在日韓国人教育補助金の廃止についてということで、このことも廃止をされました。このこともやはり人権問題としての資質と今回の共通点があるのではないかというふうにも思うわけです。そういった点についても市長もですね、考えていただきたいな、いうふうに思います。

昨日は敬老の日でして、いわゆる敬老、老人を敬う日ですけども、最近ですね、長らくヘルパーさんをやっておられる方からお聞きをしました。もうこの3月で、来年3月で勇退をされるらしいんですけども、そのヘルパーさんがですね、最近、お年寄りの言葉も変わってきたというふうにおっしゃいます。

以前は介護を受けられる身ですから、ありがとう、ありがとうというような言葉を言われたらしいんですけど、最近はですね、それは変わってすいませんというような言葉になるらしいです。すいません、謝っておられますね、裏返しますと、長生きしていることが悪いかのごとくですね、そういうふうな風潮が、お年寄りの中にも出てきたということです。世の中の厄介者かなというふうな、そういうふうな風土が以前にも増して急に出てきてるというふうにヘルパーさん、おっしゃってます。こういう風土をですね、なくしていく、いわゆる敬老ということで、お年寄りの人権を確立をしていくべきで大事、その先頭に立つのがやっぱりね、枚方市職員だいうふうに思います。

冒頭の堀井議員の中からもありました。全体の奉仕者としてですね、皆入ってるわけですから、やはりそういった面で、本当に弱いと言ったらなんですけども、そういった立場の弱い方にですね、本当の意味で寄り添っていくことが枚方市の職員のあるべき姿だというふうに思います。それでこそ市民の信頼を得るわけですね。ところが今回のこういった事件を起こしますと、本当にどうなるかということが問われるわけで、また市民からも信頼をなくしていく、いうことは目に見えてるわけですね。そういった意味で本当にいま検証チームを開かれます。そしてまた市長もですね、いま決意を述べていただきました。ここで一番ですね、立ち止まって、本当にどうしてこの職場を改革していくんだということが問われているということをですね、再認識していただきたいというふうに思います。市長もですね、忙しいなか、被害者の職員にですね、声をかけていただいたということを聞いております。そういったことも含めてですね、本当に小さなことから人権問題を捉えていくということが一番大事だというふうに思うわけですね。

冒頭の第1日目のですね専決処分で提案されました。なんでこのことで関係者の皆さんに謝れるんかなということが、僕自身、すごく思いました。その中にはですね、やっぱり事故に巻き込まれたといいますか、全然こちらは悪くないんですけど、その方の職員の名前も出てるわけでしょ。その方の職員がですね、議場で上司が謝ってるというのあればですね、私何したんということになるわけでしょ。そういうふうな小さなことをですね、気づく、その訓練ができてないがために、今回このような事が起こったというふうに私は思ってます。

本当にいろんな職員がおります。多くの職員がいてます。ですけども、一人ひとりですね、上を向かんと下を向いて職場で話し合える、そういた風土を作っていく。そのことがこれからのですね、市制70周年目も終わって、100年の3桁、そういった枚方市政のあり方を追求をしていただきたいというふうに思っています。本当にこれを契機としてですね、すべての皆さんがもう一度原点に戻って行っていただきたい、いうこと最後にお願いを申し上げまして質問を終わります。ありがとうございました。

平成29年9月定例月議会(2017年9月19日)

非正規雇用の職員や委託した民間事業者ではなく、正規雇用の公務員だから市民は安心できるという声がありますが、この正規雇用の公務員が部下にしたことは、とても恐ろしい。これらの行為を受けても、被害にあった職員は所属長に助けを求めたり、このような事案を相談できる部署に相談しなかったり、警察に相談したりすることもなく、仕事を続けていたようです。自死に至らなかったのは救いと理解してよいのでしょうか…。

市長は政治家としての身分もあり、議員は政治家ですから、議場で市長の発言に対する直接のコメントをあえて控える必要はないでしょう。

検証チーム設置も、気概は見えず

検証チームを設置したことが今回の質疑によって公に知られるようになりましたが、積極的な情報公開によって透明性を高めるなら、検証チームの設置について公表されなかったのは残念です。また、職場風土の問題はそう簡単に変えられるものでもありませんから、本当に「しっかりと検証」したいなら第三者委員会を組織したほうが良いと感じました。しかし、この検証チームは職員だけで構成される組織のようで、本気ではないようです。枚方市役所はブラックとみなして良いと思いました。

真に追求しているのは人権?利権?

この事件を話のタネに、大塚議員は学校法人大阪朝鮮学園城北朝鮮初級学校しか申請のなかった在日外国人教育補助金[1]の廃止、介護ヘルパーから聞いた長生きを詫びるお年寄りの声、理事者・管理職批判[2]など、話を思いのままに脱線させています。特に文脈として「市制施行から70年の枚方市が、100年目ごろの市政のあり方を追求してほしい」のくだりは意味不明です。

[1] 大塚議員は「在日韓国人教育補助金」と発言していることから、広く「外国人」ではなく、この補助金制度は特定の国を対象に特別な扱いをする補助金制度だと誤解していることがわかります。

[2] 大塚議員は枚方市職員で組織される職員団体(いわゆる労働組合)の支援(選挙地盤)を受けています。


* 会議録が公開されていないため、発言内容は筆者による文字起こしによるものです。過不足や聞き間違いなどを含む場合があります。

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