2016年1月20日、全員協議会が開催されました。議会報をご覧になった読者もいらっしゃると思いますが、あの議会報(第301号4頁,第302号8頁)にも掲載されましたが、あれは編集委員ら(=議員)の影響を受けるので、確かなメディアとは言い難いものです。そこで、今回は2016年7月6日に公開された会議録をもとに、美術館問題について議論された内容をまとめました。
冒頭、市長が挨拶をしました。
◯伏見 隆市長 本日、全員協議会を開催していただき、ありがとうございます。
本日の案件としましては、美術館及び総合文化施設の整備についてを予定させていただいております。
香里ケ丘中央公園での建物寄附による美術館の整備につきましては、1年以上にわたり工事着手に至っていない状況であることから、このまま進めることは困難と判断し、一旦ゼロベースに戻すことを寄附者に申し入れ、新たな方向性を見出すための協議を進めているところです。
現在も話し合いの途中で、寄附者の要請を受け、市として現状打開に向けた提案を行う中で、まだまだ不十分ではありますが、市議会にお示しできる内容が一定整理できましたので、今回、全員協議会において全ての議員に御説明させていただき、御意見をお伺いしたいと考えております。
また、今回、全員協議会の開催をお願いいたしましたのは、美術館に関してはこれまで市議会でさまざまな議論を重ねていただき、2度にわたる議決をいただいておりますことを重く受けとめ、全ての議員に御説明をさせていただき、御意見をお聞かせいただきたいという考えからでございます。
私自身、美術館問題を選挙公約に掲げ、9月23日に市長に就任させていただいてからこの間、今回の美術館はあくまで寄附が前提となることから、寄附者との協議、調整を重ねてまいりました。御報告が本日となったことにつきましては、深くおわびいたします。
この後、寄附者との協議の経過や進捗状況等につきまして担当部長から説明いたしますので、どうぞよろしくお願い申し上げ、開会に当たっての御挨拶とさせていただきます。
全員協議会,枚方市議会(2016年1月20日)市長は今回の全員協議会を「意見を聞く場」と位置付けています。
続いて「美術館及び総合文化施設の整備について」という資料に沿って、担当者が説明しています。ここは引用しても、要約しても意味がないので、省略します。
◯地域振興部長 美術館及び総合文化施設の整備について、御説明させていただきます。
(略)この後、議員から質問を受けるのですが、先に述べておくと、市長や担当者は何度も同じ答弁を繰り返していました。趣旨は次の4点です。
それに対して、質問した議員は不満をあらわにする、といったやりとりが繰り返されています。
しかし今回の全員協議会が「意見を聞く場」であるならば、市側がなんらかの見解を示すことは不適切だと理解できます。ということで、そのあたりの耳障り(目障り)なやりとりはカットして、各議員の意見を中心に、まとめることにします。
議員名をクリック(タップ)すると、発言内容、趣旨を確認できます。
順位 | 議員名 | 会派名 |
---|---|---|
1 | 福留利光 | 連合市民の会 |
2 | 大塚光央 | 連合市民の会 |
3 | 手塚隆寛 | 平和・自治・市民 |
4 | 岩本優祐 | 未来に責任・大阪維新の会 |
5 | 千葉清司 | 自由民主党議員団 |
6 | 八尾善之 | 民主市民議員団 |
7 | 前田富枝 | 自由民主党議員団 |
8 | 堤幸子 | 日本共産党議員団 |
9 | 広瀬ひとみ | 日本共産党議員団 |
10 | 上野尚子 | 公明党議員団 |
11 | 山口勤 | 公明党議員団 |
12 | 有山正信 | 公明党議員団 |
13 | 西田政充 | 民主市民議員団 |
14 | 堀井勝 | 民主市民議員団 |
よって、枚方市にはこの程度の美術館は必要ないということでした。
↑発言順位表に戻る当時、市は主体的ではなかったと述べています。
◯大塚光央議員 質問の仕方が悪いのかもわかりませんけれども、今、部長がおっしゃいました問題解決に向けての取り組みということで、私も説明会に3回ほど参加させていただきました。感じたことだけ申し上げますけれども、美術館を建てていくんだ、枚方市に必要なんだという行政の熱意が全く感じられないんですね。その前提となるのが、今、市長もおっしゃいました、寄附だからと、市が直接施工していく建物ではないから。そういったことがまさに、本当にあったんではないかと私は思いました。枚方市にとって本当に美術館が必要なんだ。そのために寄附をされる。そのことを利用して、市の活性化につなげていくんだというのはわかるんですよ。ただ、住民さんに対する説明とか、その辺の熱意が全く感じられなかったということだと思います。
本当に必要な準備ニュースも含めて、ただ単に各生涯学習市民センターに置いておくという。誰が見るんですか。そういうことを一人でも多くにといった場合、やっぱり反対されている住民、地域の方に配布していくのは当たり前のことでしょ。それぐらいの時間的な余裕はあったと思いますよ。これは終わったことですから、もうこれ以上は申し上げませんけれども、冒頭、やっぱり美術館問題についての枚方市行政の熱意がなかったんではないかということを、まず指摘しておきたいと思います。
(略)その一方で大塚議員は自身にも一定の責任があることを認めました。
◯大塚光央議員 …(略)…冒頭から申し上げていますように、この美術館問題について、ここまで混迷を深めたのは一体何かということです。それは、本市が何のためにどんな美術館を整備するのかという、根本的な点を詰めてこなかったということが一つですね。ある日突然、美術館、建物をいただける、いい話だなというようなことになってしまって、私も含めてですけれども、枚方市にとってこの美術館がどういうものであるかという詰めがなかったと思うんですよ。
だから、冒頭、住民説明会についても熱意が足りなかったと申し上げました。それは、やっぱり、枚方市にとってどういう美術館が必要なんだという作業、その辺の検討がなされていなかったからだと僕は思っています。
全国美術館会議というのがありまして、「美術館は単なる展示場や美術作品のコレクションの場ではない」とし、単にですよ、また美術館の定義として、「美術館は、人間の広範な活動としての文化、主に、美術の分野において、作品、物的資料、非物的資料、関連情報を収集、保存し、調査研究し、公衆に展示公開する」とされているんです。さらに、美術館設立に先行して、理念が決定されていなければならないとされています。理念ですね。今申し上げましたように、枚方市にとってこの美術館が極めて重要なんだという、そういった理念も含めて定義されなければならない。これは法的に拘束があるようなことではないんですけれども、それが美術館についての市のあり方だったと思います。
全員協議会,枚方市議会(2016年1月20日)「理念なき美術館の建設なんてありえない」ということです。
↑発言順位表に戻る手塚議員は、民主主義を破壊する活動をした一部の市民に対して敬意を表しています。
◯手塚隆寛議員 今までのお二人の質問に一部重なるとこもあると思いますが、私なりに質問させていただきます。
まず、香里ケ丘中央公園での美術館建設ではなく、枚方市駅前、総合文化施設への美術館建設、設置場所としては常識的な線だと私は考えています。
白紙撤回、見直しを求める市民の方々は、香里ケ丘中央公園で、約1年4カ月を超えて公園の森を守ってほしいと粘り強く見回り活動を続けてこられました。また、約1万7,000筆の白紙撤回署名を集められ、市内各地で賛否を求めるシール投票を行うなど、市内全域に美術館建設の問題点を訴え、共感もつくってこられました。さらに、請願や要望の提出、住民監査請求など、市との対話、見直しを求める取り組みもされてきました。このような市民の取り組みが、こじれた事態を解決へと進めることにつながったのではないかとも思っています。運動を進めてこられた市民の方々の御努力に敬意を表しますし、また、市長を初め担当された方々の、今回の御努力にも敬意を表します。
(略)すかさず市長は、容認しないとの立場を表明しました。
◯伏見 隆市長 寄附を受ける美術館につきましては、市議会において負担付き寄附の収受及び美術館条例の2つの議決をいただいております。市議会において議決いただいた案件を座り込みなどの妨害行為で覆されることは到底容認できるものではなく、あってはならないものと考えております。
全員協議会,枚方市議会(2016年1月20日)資料にある通り、寄付者はたくさんの要望をしています。というのも、最初の話では建物寄付(寄付者が建ててから市に渡す)だったものが、新町に建設の案では現金寄付(市が建設する)に変わっているので、そうなっているという理由です。このやりとりには、特に問題はなさそうです。
◯手塚隆寛議員 …(略)…さて、市からの提案について、寄附者からさまざまな要望や条件が提示されています。これについては、市は基本的にはどのような姿勢で臨まれようとしているのか。また、これについて、どのように検討されようとしているのか、お尋ねします。
◯地域振興部長 寄附者からはさまざまな要望や条件をいただいておりますが、これらにつきましては、市議会の御理解を前提に今後整理していく必要があると考えております。
◯手塚隆寛議員 寄附者からの要望、条件をそのまま全部受け入れるということはないと理解しました。
(略)資料に記載のある通り、残されているフェンスは寄付者のものです。撤去を市に要望してどうするんですか。
◯手塚隆寛議員 …(略)…さて、今回、市から一定の考え方が出されたわけですから、香里ケ丘中央公園での美術館建設は考えられないと思います。地元のお母さん方や子どもたちが、冬休み前には森のフェンスを外してほしいと約800名を超える署名を市長や寄附者に届けられています。残念ながら、いまだにフェンスはそのままの状態です。香里ケ丘中央公園の森のフェンスを取り外し、市役所や南部生涯学習市民センターの掲示物の撤去のめどをやはり早急に立てるべきではないかと思います。先ほども少し言われていましたが、どのように考えられているのか、再度お尋ねします。
全員協議会,枚方市議会(2016年1月20日)市のホームページでは「美術館について」で、このフェンスについて「平成28年7月7日に香里ケ丘中央公園に設置していた工事用フェンスは撤去しました。」と追記されています。
↑発言順位表に戻る純粋に寄付金だけで美術館を建設するわけではないことを問題視しています。
◯岩本優祐議員 資料3ページの3.総合文化施設についての(1)整備内容の一部見直しに、「付帯民間施設に代わる施設として」という表現がありましたが、附帯民間施設、喫茶スペースがなくなったということなのでしょうか。なくなったということであれば、その分の附帯民間施設の整備費用が削減されるとも考えられますが、この点をお伺いいたします。
◯地域振興部長 附帯民間施設につきましては、にぎわいにつながる施設として検討してまいりましたが、その施設には、カフェの設置も想定いたしておりました。仮に美術館を一体的に整備することになった場合には、美術館の施設内にカフェの設置も検討できるものと考えております。
また、そうなった場合は、美術館を附帯民間施設にかわる施設と位置づけることも踏まえ、寄附者からの指定寄附金と市が附帯民間施設で見込んでいた整備費の範囲内で整備する考えでございます。
◯岩本優祐議員 今の御答弁でちょっと違和感を覚えるところがあるんですけれども、本来、このことでコスト縮減が図られてもいいはずですが、寄附金だけで美術館を整備するということではなくて、附帯民間施設で削減された整備費も入れて美術館をやっていくというのはメリットを感じませんし、本当に美術館に附帯民間施設の分のお金を入れるのか。本当に違和感を覚えるところでございますので、この辺はもうちょっと精査すべきじゃないのかと感じます。
全員協議会,枚方市議会(2016年1月20日)総合文化施設の寄付の目標額が低いとの意見です。
◯岩本優祐議員 …(略)…また、寄附目標額1億円は妥当なのでしょうか。総合文化施設については、署名を集めていた方等からもっと集める努力をするべきではないか。
また、現物寄附の具体的な想定と呼びかけの手法についてどのようにお考えか、お伺いいたします。
(略)◯岩本優祐議員 寄附については、1億円が妥当かどうかというのはいろいろあると思いますけれども、130億円のことなので、目標額、もうちょっと頑張ってほしいなと意見だけしておきます。
(略)松岡議員は「ナンセンス」という言葉を頻繁に用いますが、言葉の意味をよく理解していないのか、使い方を間違っています。「ナンセンス」とは、千葉議員のような使い方をする言葉です。よく覚えておいてくださいね。欠席していたので、知らないとは思いますが。
市長はノープランで寄付者と協議したら、寄付者から「案をちょうだい」と言われてしまい、考えた新町の案です。
◯千葉清司議員 …(略)…2点目は、何事もそうですけれども、事には、賛成、反対、どっちでもいい、中立、いろいろあります。これが民主主義です。しかし、多くの香里地域の皆さんの賛成、地域に美術館ができて地域の活性化につながる、教育の前進にもつながる、非常にありがたいことだと、そう思われた方はたくさんおられると思います。それが一気に飛んで、新町にということを考えること自体が、私はナンセンスだと思っています。
全員協議会,枚方市議会(2016年1月20日)市民の間でも意見が分かれている状況からすると、コンセンサスなしに建設を進めていったことは問題だったでしょう。他の複数の議員から「市民の意見を聞け」という意見が出ていますが、この状況で意見を聞いても意味がありません。真っ二つにわかれた意見が集まるだけです。
◯千葉清司議員 …(略)…これからでも遅くありません。とことん論議して、コンセンサスを得ていく。それがまさに開かれた議会であり、民主主義の心髄ではないでしょうか。そのことを、再質問はしません、指摘しておきます。
全員協議会,枚方市議会(2016年1月20日)思いつきで寄付者と協議しないでほしいとの意見です。別海町長の葬儀だってノープランで参列していましたし。
◯八尾善之議員 …(略)…それと、方向性が整理できたから寄附者のほうへ提案に行かれたのではありませんか。そうであれば、先ほどの答弁にありましたように、まず議会への説明があってしかるべきだと思いますが、それについてもお伺いいたします。
◯伏見 隆市長 新たな提案に関しましては現在も話し合いの途中ですが、寄附者の要請を受け、市として現状打開に向けた提案を行う中で、まだまだ不十分ではありますが市議会にお示しできる内容が一定整理できましたので、今回、全員協議会において全ての議員に御説明させていただき、御意見をお伺いしたいと考えております。
◯八尾善之議員 食い違いというか、ただいまの答弁をお聞きしてもちょっと理解ができません。
それでは、なぜ寄附者のほうに提案されたのかというところ。というのは、まず、今言われているように、多分、市として方向性が整理できたから寄附者のほうに行かれていると私は認識しているんですよ。でも、寄附者へ提案されているというのは、単なる思いつきで寄附者と協議されたということになるのかなと思うんですよ。そうであれば、余りにも無責任だと思うんですけれども、もう一度、市長、お聞かせいただけますか。
全員協議会,枚方市議会(2016年1月20日)条例違反の見込みと指摘していて、現時点では条例に違反しているはずです。ペナルティはないにしても、放置しているのは良くないですね。
◯八尾善之議員 …(略)…それで、この条例の附則では「この条例は、公布の日から起算して1年6月を超えない範囲内において規則で定める日から施行する。」とされております。リミットは、多分、ことしの3月26・27・28・29日、3月末ぐらいだと思うんですけれども、その日までに工事を完成させることが不可能なことはもう明らかですよね。そうであったら、昨年11月20日の時点で市から寄附者に対して新たな提案をするのであれば、なおさら条例を廃止してからでないと行ってはならないと思いますが、その点についてはいかがでしょうか。
全員協議会,枚方市議会(2016年1月20日)職員は一生懸命に取り組んでいたけど、行政の取り組み姿勢に根本的な問題があったと指摘しています。意味が良くわかりません。そして、総合文化施設だけで1億円を寄付で集めようとしていますが、ふるさと納税で集まったお金が7年間で約8400万円だから、無理でしょうという意見です。
◯前田富枝議員 最後に、財源確保策として、ふるさと納税制度を活用して総合文化施設への寄附金を広く募るということですけれども、1億円という目標額は決してたやすいものではないと思うんです。これまでも市は総合文化施設ではないにしてもふるさと納税制度による寄附の呼びかけを行ってきたはずですけれども、同制度を活用した寄附金の実績について、お聞きします。
◯財務部長 本市におけるふるさと納税の実績につきましては、ふるさと納税制度を開始した平成20年から平成26年にかけて延べ314人の方から寄附をいただき、総額で約8,400万円となっております。
◯前田富枝議員 平成20年から平成26年にかけて8,400万円という金額ですよね。そやけど1億円を集めるんだと、何とかしてということですけれども、現実味のある数字とはなかなか思えないです。
最後に申し上げますけれども、今回の全員協議会の開催に関しましても、もっと丁寧に練ってからすべきだったと私は思います。先ほど来、質問もありますけれども、維持費が幾らかかるのかと言われても、今、香里ケ丘で考えているよりも安いとか。そういうことではなくて、もうちょっと練って出される資料というのがあるべきだったと思います。
市長がよくおっしゃっているスピード感というのは、何でもせいてやったらいいということではないと思うんです。美術館条例の施行期日が迫っているのは十分理解しています。しかし、工事に着手できなかったのは寄附者の責任でもないですし、現場の担当課の職員さんが本当に一生懸命やっていただいていたということは十分理解させていただいています。だけど、行政の取り組み姿勢に根本的な問題があったのではないかと私は思っています。本当に慎重に考えるのだったら、美術館条例の期日の延長も視野に入れて考えるのが本来の形だったと思います。仮に廃止条例を出されてきてもすんなり受けとめることはできないと申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。
全員協議会,枚方市議会(2016年1月20日)何も知らされていなかったのでしょうが、堤議員が問い合わせれば、市は「フェンスが寄付者のものだから」と答えることはできたと思います。前述のとおり、もうフェンスは撤去されているようです。
◯堤 幸子議員 …(略)…今日に至るまで何も知らされていなかったわけで、その間、市民の方々からは、白紙になったのならバリケードはどうしてあるんですか、公園はまだ使えないんですかなど、さまざまな御意見を伺っていますが、私自身、こうした御意見に答えることもできなかったわけです。…(略)…。
全員協議会,枚方市議会(2016年1月20日)「ボタンをかけ違えないで」が意見ですか?そんなことは誰もが願っていることです。堤議員が「もう返事をするのもあれ」と言う割には、まったく中身のない話をしています。この程度の内容で、発言の必要があったとは、とても思えません。
◯堤 幸子議員 暗記できそうなぐらい何回も聞かされている御答弁ばかりで、もう返事をするのもあれですが、…(略)…
寄附者から回答があり、検討を進めていく内容を今回報告されているわけで、協議会が開かれています。寄附者も回答され、今、その方向で検討が進められています。寄附者からの要望を検討しているこの段階で議会からの意見を聞いてどうしようとされたのか。今後、市民の皆さんの意見を聞いていくということですけれども、先ほども言いましたが、さまざまな意見がある中、今回のように、具体的にお答えをいただけていない状況では、市政に対する不信感はさらに高まるのではないでしょうか。これでは、その方向性は変わっていても、今までの美術館整備についての進め方と何ら変わらないのではないでしょうか。かけ違えたボタンを一旦外した、でも次にまたかけ違えてはどうしようもありません。この点について、市長はどうお考えですか、お伺いいたします。
◯伏見 隆市長 もう何度も回答しているところですけれども、…(略)…
◯堤 幸子議員 今度はボタンをかけ違えないようにしていただきたいと思います。
(略)さて、広瀬議員については、「小さなニュース 第6回」で取り上げたように、全員協議会終了後、会議録の公開前を利用して嘘を流布した可能性があると筆者は書きました。筆者が問題視しているツイートを再掲します。
前市長の強引な市政運営を批判し美術館整備を白紙に戻すと訴え当選した伏見市長。本日の枚方市議会全員協議会では、こっそり総合文化施設敷地内で美術館を整備する方針を寄付者に示し12月1日に内諾を得ていたことを報告。市長になってみれば、市政運営は強引でなかったと前言撤回。なんだそりゃ!?
— 枚方市会議員 広瀬ひとみ (@kokohaha) 2016, 1月 20
ここで筆者が検証しなければならないことは、伏見市長が「選挙の際には前市長が強引な市政運営をしていたと思っていた。私(=伏見市長)が市長に就任したら、実際は(=前市長の市政運営は)そう(=強引)ではなかった。」との趣旨の発言をしたのかどうかです。
◯広瀬ひとみ議員 …(略)…今回配付された資料では、1年以上にわたり工事着手できていない状況にあることから白紙に戻すことを申し入れ云々と説明されているだけです。そして、先ほどからの市長の答弁も、同じことが繰り返されているだけです。果たして、この間、市長の問題意識は、市長選挙の中で述べてこられたその問題意識は、行政として共有できているのでしょうか。甚だ疑問に感じますが、この点はいかがでしょうか。まず、お伺いいたします。
◯伏見 隆市長 私は、所信表明におきまして、覚書の平成27年度内をめどに開館を目指すことが厳しい状況にあることから、一旦白紙に戻したいとの考えを寄附者にお伝えし、引き続き話し合いをさせていただく中で方向性を決めてまいりますということを申し上げておりまして、行政として共有できていると認識しております。
◯広瀬ひとみ議員 今、行政として共有されているというお答えをいただいたんですが、では、午前中の答弁、先ほどの答弁もそうですけれども、どうだったでしょうか。寄附者が工事をするから、早期に工事着手してくれと言っているけれども、進まなかったんだ、市民が妨害しているから進まなかったんだ。そんな答弁を市長自身もされているではありませんか。果たして事業がどうして進まなかったのか。この間、そのことを行政の内部で真摯に検討し総括されてきたのですか、お伺いいたします。
◯地域振興部長 私ども担当部署といたしましても何とか工事着手をということで、先ほど申し上げましたように、いろいろな取り組みを行ってきたのですが、なかなか着手まで至らなかったということで、そういうことも踏まえまして、何とか現状を打開したいという思いで、この間、寄附者ともずっと協議を重ねてきまして、今回、その経過について議会に報告させていただいているものでございます。
◯広瀬ひとみ議員 それが総括ですか。伏見市長は、強引な市政運営だったからこういう事態に至ったと、そういう認識を市長選挙の中でずっと述べてこられたんじゃないんですか。そのことがきちんと共有されていると先ほど答弁されましたけれども、この資料にもそんなことは一切書かれておりません。そして、先ほどの答弁、繰り返し聞いていますけれども、そんな答弁にはなっていません。同じことを繰り返さないためには、きちんとした総括を行わなければならないんじゃないですか。市長の考えをお聞きします。
◯伏見 隆市長 先ほども申し上げましたけれども、私は、所信表明の中で、覚書の内容について厳しい状況であることから、白紙に戻したいということを寄附者にお伝えして、引き続き話し合いを続けさせていただく中で方向性を決めてまいりますということを申し上げておりまして、このことについて、行政として共有できていると認識しております。
◯広瀬ひとみ議員 わかりました。白紙に戻す、やっていくということについては、行政として共有できていると。だけど、強引な市政運営が要因になって事業が進まなかったという、このことについては共有できていないということですか。
◯伏見 隆市長 選挙の際には、私もそのように考えまして、そう述べてきたわけでございますけれども、私は、やはり、行政職員としては行政組織の中で方向性に従って懸命に取り組んできたのが実態であると考えています。したがいまして、私が市長に就任してから方針を展開したわけでございますけれども、その方針のもと、行政は行政組織として共有して今取り組んでいるものと考えております。
◯広瀬ひとみ議員 強引な市政運営だと市長選挙の中では述べてきたけれども、市長になってみれば、強引でも何でもない、当たり前のやり方だったとおっしゃるのでしょうか。私は、市民に対して、そんな話は通らないと思いますよ。同じような強引な市政運営を続けていただきたくはないし、そうした強引な市政運営にもこの間の美術館整備が進まなかった大きな要因があると思っておりますけれども、それだけではなくて、行政判断の不透明さ、教育委員会や社会教育委員会議での議論もなく、設立準備委員会なども設置せずに、行政内部の判断だけで事を前に進めてきたこと、意思形成過程でのオープンな議論がなかったことも、行政への不信を招く要因だったと感じております。同じ過ちを繰り返さないためにもきちんと総括していただきたいし、今回の進め方も反省された進め方だとは思いません。今お話を聞いたら、反省もしておられないのだから、これではまた繰り返し、繰り返しの状況に至ってしまうのではないでしょうか。
(略)会議録を読むと伏見市長の真意は「『前市長のころ、職員が強引に進めた』と思っていたが、(私が就任したら)実際は『前市長のころ、職員は前市長の下で(=指示されたとおりに)懸命に取り組んだ』とわかって、職員は強引でもなんでもなかった」ということでした。文脈をそのように解釈するのが自然です。
市長として実際に仕事をすれば、外から見えないものが見えてくるのは当然のことだと思います。でも、広瀬議員には、市民にそんな話は通らないそうです。なんか悪質なクレーマーみたいで嫌ですね。広瀬議員が故意にウソを流布したかどうかはさておき、正しくない情報をツイートしたというのが結論です。
あと、こんなやり取りもあります。広瀬議員と長沢副市長で考えの一致が見られますが、なぜか広瀬議員は自分の言っていることが副市長に理解されていないと勘違いしています。どうやら広瀬議員には日本語が通じないみたいです。これがコントなら楽しいのですが、本物の地方議会(まさに「公式な場」)で真面目な話の中で行われているという現実を知るということは悲しいものです。
◯広瀬ひとみ議員 今、副市長から御答弁をいただきましたので、じゃあ、副市長にもう少しお伺いしたいと思うんですけれども、情報を共有し、認識を一致させていく、このことは当然必要なことだと思っておられるわけですね。
◯長沢秀光副市長 この間、私も、前市長の時代から美術館の整備に携わってきましたので、その経過については十分承知しております。ただ、そこの判断につきましては、伏見市長が一旦整理をされて、一旦立ちどまった中で議論を尽くそうということで、私のほうも十分理解しているところでございます。
◯広瀬ひとみ議員 質問の意味を理解していただけていないと思うんですけれども、議会側と、そして市行政との認識をできる限り一致させていく、情報を共有していく、そういう努力が必要だと認識されていますかとお伺いしているわけです。この間、山下副市長は議会事務局長としても御活躍されてきましたが、私の述べていることを理解していただけますか。
全員協議会,枚方市議会(2016年1月20日)市の見解を問い、批判しているだけでした。意見を述べていませんので、省略します。市長が議員に求めているのは意見であって、論評ではありません。
↑発言順位表に戻る総合文化施設と美術館をセットで整備することには否定的な意見です。
◯山口 勤議員 一体整備といっても、総合文化施設の施設内ではなく、施設の外に美術館を建設するイメージを市は持たれていますが、施設前広場のスペースに美術館を建設するとなると、広場が狭くなり、五六市の開催など、広場を活用してにぎわいを創出するというこれまでの市の説明が成り立たなくなるのではないかということを危惧いたします。…(略)…
全員協議会,枚方市議会(2016年1月20日)確約のない補助金をあてにせず、民主主義の破壊の容認という反省と、根本的なことを検討してほしいという意見でした。
◯山口 勤議員 それぞれ御答弁ありがとうございました。
意見を申し上げます。
総合文化施設整備費は、平成26年6月の時点では108億円でした。それが平成27年11月には23億円も建設費用が高騰し、131億円となりました。内訳も説明も不十分なままで、私も納得はしておりませんし、建築業界の人材の確保がこれから難しくなることはお聞きしております。このような状況の中で、答弁では美術館が国庫補助対象事業として採択の可能性があると言われましたが、つくかつかないかわからないこの補助金を当てにするのは理解ができません。今後、建設業界の人材確保、経済状況など不安定要素があり、整備費がさらに高騰する可能性もあります。慎重な決断をしていただきたいと思います。
私には、今回、ある意味、反対運動された方の意向に市が振り回されているように映ります。私は、前市長当時、開成小学校で行われた美術館建設地元説明会に傍聴に行きました。反対派の一部の方の不適切な言動、行動を目の当たりにしました。このような経緯などで、今回、市長が白紙を提案。今回の協議会になりましたが、お聞きしたところによると、現市長は、市長当選後に反対派の方と面談をされているとも聞いております。一部の市民の反対運動で、議会で可決した事案に対し、覆させられるという前例にも映ります。今後はこのような前例をつくらないよう、行政としても防止策を検討していただきたいと意見として申し上げます。
また、既定方針が定まっている総合文化施設敷地整備の大事業に修正をかけるという前代未聞のことになる可能性もあります。私は、大変危惧を覚えます。市行政のこのような方向性は市民に御理解いただけるでしょうか。市長を初め市行政として、市民にどう説明するのか。誰のための美術館なのか、何のための美術館なのか、根本的なことをしっかりと考えていただきたいと思います。今回の方針に対し理解はできませんと申しまして、私の質問を終わります。以上です。
全員協議会,枚方市議会(2016年1月20日)意見は4つでした。
批判だけで意見はありませんでした。省略します。
↑発言順位表に戻るこの議題の所管は全員協議会ではなくて、総務委員協議会だという指摘と、この問題は前市長の「不手際」によるものだけれど、まず伏見市長が謝罪すべきと述べています。みんなわかっていることだけれども、一般論として行政の長は前任者のことでも謝罪しますよね。確かに抜け落ちていますが、議論の本質はそこではありません。
◯堀井 勝議員 …(略)… 本日、いまだ着工に至っていない美術館問題について、一定の方向性が見えてきたので報告をしたいということで全員協議会を申し入れられ、議会として受け入れることになりました。私は、こういうやり方に反対でありますが、議会として受け入れるものですから、議論に参加してまいりたいと思います。ただし、議会運営の基本は4委員会が中心でありますから、これらの提案に当たっては、当初、平成25年7月に御提案されたときと同様に、総務委員協議会にまず提案されるべき性格のものであるということを、まずもって申し上げておきたい。
(略)◯堀井 勝議員 今も申し上げましたように、ここに至ったことは、いわゆる、市長さんの議会を軽視したあの傲慢なやり方、それから、聞く耳を持たないといった、市民の意思を無視したやり方、こういうものが積もり積もって今日に至っているわけです。市長さんが白紙にして、一から出直す、すごろくでいったらもとへ戻れと、そうなるとやっぱり、行政の継続性からいったら、前の市長が不手際をした問題であっても、自分が市政を担う以上は、市長がまず、まことに申し訳なかったと、済みませんでしたと、間違っていましたということを、市民に伝えるべきじゃないですか。
全員協議会,枚方市議会(2016年1月20日)すべての要望や条件を知りたいという要望と利害関係者との接し方に気をつけてほしいという意見でした。
◯堀井 勝議員 時間が30分という制限がございますので、本来ですと、ここで、この要望、条件、一つ一つ、何があるんですかということを掘り起こしたいところなんですが、それをやっている時間がありません。したがって、大森議長にお願いしておきたいんですが、今ここに羅列されている要望、条件ですね、この一つ一つの内容を全員協議会でぜひお示しいただきたい。そのことを議長にお願いしておきます。ぜひ資料を取り寄せていただきたい。
(略)◯堀井 勝議員 …(略)…私は37年こうやって議員をやらせていただいていますが、今回、この文化施設は130億円以上ということですから、私が知る限り、これほど大がかりな事業は初めてです。そういう中で、寄附者による設計監修への関与とか、いろんな要望、条件が出ていることについて、またぞろ事件に発展しないかということを危惧しているわけです。
(略)