議会の一般質問要旨から見かけと本心の熱意に迫ってみた

開会中の平成27年9月定例月議会で、一般質問が2015年12月14日〜17日に行われました。いまの議会の全体的な雰囲気を知り、市民との温度差や考えのズレを見いだせる方法がないか考えました。

そこで、各議員が通告した一般質問の要旨を使って分析してみることにしました。

熱意の測り方

各議員が通告した一般質問の要旨は箇条書きになっています。議員一人の要旨について全体で1単位の熱意を持つものとして割り当てます。そして、要旨は熱意の大きい順に箇条書きをしていると見なして上から順に重み付けを行いました。

例えば、次のように3つの質問を通告している場合は、全体で1単位の熱意を質問数の総和で分割し、質問アが最も強い熱意となるよう係数3で重み付けを行い、質問ウは最も弱い熱意となるよう係数を1で重み付けを行いました。

  1. 質問ア[熱意0.50=1/(1+2+3)*3]
  2. 質問イ[熱意0.33=1/(1+2+3)*2]
  3. 質問ウ[熱意0.17=1/(1+2+3)*1]

熱意1=0.50+0.33+0.17

次のような場合は、質問イを換算せずに質問AとBがほかの質問(質問アとウ)と同等の位置にあるものとして分割し、重み付けを行いました。

  1. 質問ア[熱意0.4=1/(1+2+3+4)*4]
  2. 質問イ[対象外]
    1. (1)質問A[熱意0.3=1/(1+2+3+4)*3]
    2. (2)質問B[熱意0.2=1/(1+2+3+4)*2]
  3. 質問ウ[熱意0.1=1/(1+2+3+4)*1]

熱意1=0.4+0.3+0.2+0.1

分類

各議員の質問項目を次のように分類しました。分類は質問文を把握していない段階で表題だけを見て分類を行いましたので、その点はご承知置きください。全体として質問が複数の項目に挙がっていない分野は、未分類としてまとめています。

結果

議会全体で施策ごとに集計した結果は次のとおりです。それぞれ熱意の強い順、質問数の多い順に並べています。

最も件数の多く、最も熱意の強い質問は福祉についてでした。逆に最も件数の少ない質問は、若者、職員問題、マイナンバー制度、財政、美術館についてで、最も熱意の弱い質問は若者についてでした。

考察

子ども・福祉への熱意

福祉に関する質問について、熱意の度合いと件数が最も高くなりました。議員選挙での後期高齢者の高い投票率を鑑みれば、当然の結果と受け止めることができるでしょう。しかし、子どもの親世代の顕著な低投票率を勘案した場合、必ずしも選挙で投票してくれる世代だけに配慮した施策をしようとしているとは言えない結果にもなっています。

その根拠は、学校教育と子育てを合わせて福祉との比較を行った場合、熱意も質問数も子どもへの対策が福祉を上回っていることにあります。このことから、子どもを取り巻く施策についての議論を積極的に行おうとする議会の意思が表れていると言えるでしょう。

若者への関心のなさ

ここでの若者とは、子どもや子どもを持つ親などを除く若い世代のことです。この質問には熱意がなく、最も少ない件数でした。

人口流出問題について考えるとき、この世代への対策が求められているはずです。以前、記事にしたように、会社勤めの人は枚方市内に職場があらず、勤務先の大阪市や京都市などへ引っ越してしまいます。その人たちが今度、マイホームやマンションを購入するときは北摂へ行ってしまうという結果が出ていました。

社会構造問題についての質問を見ていると、議会は子どもの数を増やすことしか頭にないように思えてなりません。子どもの数を増やしても、大きくなったら他の市町村へゴソッと転出していくだけです。

大雑把な防災議論

箇条書きでは上に記載されていることから、熱意の強さがうかがえますが、中身がざっくりしすぎています。しかも項目を細かく分けていません。近年の気象は極端化してきていますので、何らかの対策を講じないと市民の生命や財産を守ることができなくなるでしょう。

見聞を広めるよう努力し、枚方市に現実的な対策を施してもらいたいです。

交通問題

淀川渡河橋については分類を別にしました。各議員の住所と質問を照らし合わせ、質問が選挙における地盤対策と推測される項目は分類を別にしました。ただし、新名神高速道路に関する質問は選挙地盤とは言えなくなっていることから、分類を別にしていません。

全体として道路の整備や渋滞対策に熱意を持っています。自転車の交通問題については公明党議員団のプッシュが強いようです。

健康医療

枚方のブランドらしいので強い熱意はありますが、各議員間で内容にバラつきがあるため、個々の主張の実現可能性は微妙です。

美術館問題

議会が設置の条例を可決したのに、市長が白紙撤回の話を寄付者にしたことに議会は反発していました。香里ケ丘図書館とのがっちくなら緑をこわさないからどうだという案が出ているようです。

総合文化施設

熱意も質問件数もほぼ中央値でした。ざっくりとした質問で詳細は不明です。「魅力のないまち」から脱却をするためには早期に建設する必要があります。しかしながら、建設費の高騰によって困難な状況らしいのです。

早期建設を優先すれば、いま持っているお金で建てることになりますから、魅力のないハコモノが出来上がるでしょう。建設費の高い状況が落ち着くまで待っていると、これからも「魅力のないまち」として人口が流出し続けるでしょう。

淀川渡河橋

熱意も質問件数もほぼ中央値でした。国や大阪府に働きかけをするしかないはずで、質問するような事項があるとは思えません。これは、議員が支持者への報告として配るビラの中に「質問しました」と記載する(=アピール)ための質問ではないかと思われます。

こういう時間を無駄にする行為は、行財政改革に逆行したものです。

防犯

カメラが設置されているから安心だとは言い切れません。カメラの設置は抑止力というより犯人を捕まえるための手段になりつつあるのではないでしょうか。

財政

施策を実行するにあたって、最も重要なのが財源です。市長が変わって、新しい施策や対象者の拡大などが検討されていますが、お金を確保できなければ実現できません。この議論に熱意がないのは、ほとんどの議員らが他人事ととらえていることの表れではないかと思います。

少数意見

感想

要旨を見ただけです

以上、分析した結果をご覧いただきましたが、この内容と実際に行われた質問には多少のズレが生じていることは否めません。要旨の書き方ひとつで情報の受け手にとって大きく印象が変わることも起きている可能性はあります。

豊かで誇りあるまち

前述の結果について、熱意の強い順にならべたグラフをご覧ください。

図1. 熱意と質問件数の比較

読者の皆さんは、上から順番に施策が実現されたら、枚方市は「豊かで誇りあるまち」に変わるとお考えでしょうか。

人より動物が大切にされる

皮肉にも、議会は若者よりも動物愛護に熱意と関心があることが分かりました。選挙ではちゃんと投票に行っている世代でありながら、絶対的な人口の少なさによって議会に声が届いていない状況にあります。


分類の一覧

[1] 電通ダイバーシティ・ラボが「LGBT調査2015」を実施― LGBT市場規模を約5.9兆円と算出 ―(2015年4月23日)

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