枚方市駅周辺再整備及び新庁舎整備の検討状況については、平成29年2月に開催された総務委員協議会及び建設環境委員協議会において概要を報告しました。今回、京阪ホールディングス株式会社(以下「京阪HD」という。)からの提案内容も含めて、新庁舎整備について、検討してきた内容を中間とりまとめとして報告します。
枚方市駅周辺再整備については、地域の特性を生かしつつ、本市の中心市街地として魅力あふれる賑わいのあるまちの構築を目指し、平成23年度から24年度にかけて学識経験者に加えて北大阪商工会議所、京阪電鉄株式会社が参画する専門検討委員会からの意見聴取、また、地元商業者やコミュニティ団体などで構成する地元懇談会との意見交換を行ってきた上、平成25年3月に、まち全体にゆとりを創出し、人々の回遊性を高めるため、生活サポート拠点やまちなか交流拠点などを位置付けた枚方市駅周辺再整備ビジョンを策定しました。
併せて、ケーススタディとして、市役所本庁舎を府民センターの位置で府市合同庁舎として整備するシミュレーションを行い、平成26年12月以降、⑤街区において国・大阪府・市による合同庁舎を整備する案(以下「⑤街区案」という。)として、国、府及び本市で構成する国・府・市有財産の最適利用推進連絡会議で検討を進めてきました。
③街区(京阪用地や大阪府住宅供給公社用地等)においては、市駅北口駅前広場の拡張に伴う大阪府住宅供給公社枚方団地の京阪用地での建設や、商業施設の整備について、京阪HD、大阪府住宅供給公社及び本市で構成する枚方市駅東地区再整備検討協議会で、市街地再開発手法での検討を進めてきました。また、平成27年12月に開催された本協議会において、京阪HDより、市駅周辺全体のまちづくりの早期実現と賑わい活性化の構想として、③街区の京阪用地に国・大阪府・市の合同庁舎を建設、⑤街区については若年層をターゲットにしたレジデンスを建設、④街区の市民会館大ホールや現庁舎の跡地に緑化軸を形成し、まちなか広場とする案(以下「③街区案」という。)が示され、併せて、平成28年6月に本市へ提案されました。
本市としては、⑤街区案を基本としながらも、③街区案が本市の重要課題である定住促進に資する可能性があることなどから、その実現性などについて検討に入りました。
A.本庁舎機能
市役所利用者へのサービス提供や災害時における対応を効果的・効率的に実施するといった観点から、現在、分散している庁舎機能を可能な限り集約化する必要があり、特に、市民の利用が多い届出・申請や相談などの窓口部署については、来庁者の動線に配慮した低層階での確保が求められます。また、本庁舎建物としての耐震性は当然のことながら、災害発生時には災害対策活動の中枢機能として、建物部分を除いた土地(空間)におけるフレキシブルな利用などが求められます。
そうした点を考慮すると、両案ともに庁舎機能の集約化は図れますが、⑤街区案における庁舎1フロアあたりの床面積は、現在の市役所本館・別館(約1,400㎡・約1,600㎡)より広く確保できることから、市民が複数の窓口間を移動する際にワンストップ化が可能となります。
また、⑤街区案では、耐震性を単独の建物として確保することができるとともに、建物部分を除いた土地(空間)が多く存在するため、災害発生時には、災害対策活動の中枢として、災害時に求められる緊急時のさまざまな対策や想定を超えた事態に対し、支援物資受入場所や関係機関車両の駐車馬所などの利用が可能と考えられます。
しかし、それを実現するためには、その前段で、2つの工区を合わせた全体の資金計画や、2つの工区に分ける事業計画について、他の権利者を含むきめ細かな合意形成等に時間を要することも考えられます。
B.道路・交通
③街区案では、庁舎の位置は枚方市駅に近接し、公共交通利用促進につながる一方で、⑤街区案では、枚方市駅及び宮之阪駅から約470m(現在枚方市駅から約260m)になるものの、徒歩圏内にあります。
また、既存の幹線道路から駐車場までアクセスしやすく、敷地内に必要な駐車スペースを確保でき、駐車場までの待機可能なアプローチを十分にとることができることなど、周辺道路に与える影響を最小限に抑えることが可能と考えられます。
C.整備手法及び財源
一般的に財源面などのメリットがある市街地再開発事業を行う場合、従前の土地や建物に相当する価値を権利変換により新たな建物の床として確保することができます。この手法によって、従前と従後が同じ価値となる場合は金銭の持ち出しが生じることはありません。
③街区案では、③街区における市街地再開発事業とあわせて、④街区及び⑤街区における市街地再開発事業を実施することにより得られる移転補償金を財源とする提案ですが、主たる地権者である国・府・市が全て移転する想定となることなど、実施手法や資金計画において様々な課題があります。
一方で、⑤街区案では、④街区及び⑤街区の市街地再開発事業による権利変換を想定しており、新庁舎整備に係る事業費については、④街区、⑤街区の市有財産と新庁舎の権利床分を相殺(権利変換)し、全体事業費から権利床分を引いた差額を支出することになるため、事業費の抑制に効果があると考えられます。なお、その財源確保については、引き続き検討していきます。
D.事業スケジュール
③街区案は、⑤街区案よりも2年早く合同庁舎が竣工(平成33年度予定)するスケジュールとされていますが、施行[筆者注]地区を京阪用地と、大阪府住宅供給公社枚方団地及びその他の民間用地の2つの工区に分けた上で、合同庁舎を含む京阪用地で先行して整備・完成させることにより短い工程とされています。
以上のことから総合的に検討した結果、引き続き、⑤街区での国・府・市による合同庁舎化による新庁舎整備の検討を進めるために、国、府との協議を早急に進めていきます。また、枚方市駅周辺再整備の具体化に向けては、民間提案も活用しながら取り組む考えです。
③街区案(京阪HDからの提案)・・・・別紙1のとおり
⑤街区案(本市の計画内容)・・・・別紙2の通り
枚方市駅周辺再整備に関係する会議等について・・別紙3のとおり
基本目標 地域資源を生かし、人々が集い活力がみなぎるまち
施策目標18 人々が集い賑わい、魅力あふれる中心市街地のあるまち
南西部地域の将来像 〜淀川の悠久の流れと歴史文化が織りなす魅力にあふれ広く人が集まる賑わいのまち〜
基本コンセプト 〜再発進 ひらかた 人が主役のゆとりと賑わいのまち〜
名称 | 枚方市における国・府・市有財産の最適利用推進連絡会議 | 枚方市駅東地区再整備検討協議会 | 枚方市駅周辺活性化協議会 | 三者協定 | 枚方市駅周辺再整備に係る府庁舎等のあり方に関するワーキンググループ |
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目的 | 枚方市駅周辺地域に所在する国・大阪府・枚方市有財産の最適利用を推進するために設置するものとし、枚方市駅周辺の都市施設整備、街づくり、地域経済活性化等に資するよう協議・検討する。 |
枚方市駅東地区における再整備に関して、枚方市駅周辺再整備ビジョンに即した土地利用計画や整備手法等の協議・検討を行う。 |
枚方市駅周辺再整備に向けた市駅周辺活性化を促進するため、北大阪商工会議所が中心となり、多様な関係者において情報共有や意見交換を行い、質の高いまちを育んでいくため、計画段階からの官民連携したエリアマネジメントの推進を目指す。 |
枚方市駅周辺再整備ビジョンにおける広域駅前拠点、まちなか交流拠点の主要な土地建物を所有し、先導的に事業を展開している当事者と相互協力し、これらの拠点の実現性のある検討を迅速に進めることにより、早期の枚方市駅周辺の連鎖的な整備に繋げる。 |
枚方市駅周辺再整備に関連して地元関係者間で協議が進められているまちづくり案の検討状況を踏まえ、府庁舎等のあり方について関係者によるワーキンググループを設置して検討する。 |
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