平成29年9月定例月議会 一般質問

今回は議員の間で重ならなかった質問を取り上げます。

広域ごみ処理施設の処理能力が低い

一般家庭から出るごみは減っていますが、事業系ごみが減りません。5年で600tしか減らなかったのに、新しく京田辺市内に建設されるごみ処理場が稼働しても、10年で1万tのごみを減らさなければならない計画になっていることについて質問しています。

試算では1日あたり24tの処理能力が不足する結果について、議員と市の見解に相違はありませんが、市は現在の計画を見直す考えはありません。ごみの量が減らなければ、京田辺市に迷惑をかけることにならないか?

◯池上典子議員 …(略)…3.新たに建設する広域ごみ処理施設の処理能力の根拠についてお尋ねします。

枚方市のごみ処理につきましては、現在、穂谷川清掃工場では日処理量200トン、東部清掃工場におきましては120トンの焼却炉が2炉で合計で日処理量440トンのごみを焼却できる能力を持ち、ごみ処理がなされております。40万市民のごみ処理を減量施策の取り組みの後押しも受けながら、現状においては十分が処理能力を保持し、安定的で衛生的な処理が行われ、市民の安心した生活が保障されている状況です。

そうしたなか、穂谷川清掃工場の老朽化に伴う後継施設の建設について、京田辺市との広域連携でごみ処理を行うこととされ、平成28年5月31日に一部事務組合の枚方京田辺環境施設組合を設立し、枚方市の穂谷川清掃工場と京田辺市のかん焼却施設の後継施設として建設されることとなりました。特別地方公共団体となりますので、組合にも議会が設置されており、私もその議員の一員として枚方市と京田辺市とで決められた場所、焼却規模で施設を建設していくことについてチェックしていく責任を負っております。

ただ、今後具体化されていく整備事業にあって、枚方市においては新施設のごみ処理能力がいくら減量が進むとしても、穂谷川清掃工場の処理能力より極端に小さく見積もられていることに懸念を抱いております。6月定例月議会の中で、岩本議員からの質疑はありましたが、この整備事業の根幹となる焼却規模を枚方市と京田辺市との間で決められた時の経緯、経過や決定された数字について再度お伺いし、明らかにしておきたいと思い、質問させていただきます。いま進めている広域ごみ処理施設の焼却規模を決める根拠となったものは何なのか、両市の焼却ごみ量の内訳もあわせてお伺いしたいと思います。

◯環境部長 次に3.新たに建設する広域ごみ処理施設の処理能力の根拠についてお答えいたします。

現在進めております広域ごみ処理施設の償却規模につきましては、平成28年3月に枚方市一般廃棄物ごみ処理基本計画を策定し、その中で示しております平成35年度の推定ごみ量を基本にして計算を行っているもので、平成28年3月に策定いたしました可燃ごみ広域処理施設整備基本計画におきまして、両市の災害ごみの焼却分を含め、枚方市分の一日当たりの処理量を104トン、京田辺市分の1日処理量を64トンとし、合計日量168トンと決定したものでございます。

◯池上典子議員 …(略)…3.新たに建設する広域ごみ処理施設の処理能力の根拠について。

先ほどの答弁では、可燃ごみ広域処理施設整備基本計画において1日168トンと決め、枚方市の分を104トンと決めたということです。

冒頭でも申しましたが、いくら減量が進むとしても穂谷川清掃工場の後継施設として、処理能力があまりに小さく見積もられていると思います。ごみの減量を進めていくとお伺いましていますが、穂谷川清掃工場の1日200トンで処理しているごみを96トンとも少ない104トンで本当に処理できるのでしょうか。この1日104トンとされたごみ量に基づく計算根拠をお伺いします。

◯環境部長 枚方市のごみ量のうちの可燃ごみにつきましては、枚方市一般廃棄物ごみ処理基本計画により、可燃ごみ量は推計値として平成27年度で9万8242トンとなっており、平成35年度には人口減少による減量含めた全体のごみ減量により、9万724トンになると推定いたしました。このうち、東部清掃工場で焼却処理できる6万4502トンを差し引き、残りの2万6222トンと日量では71.84トンを広域ごみ処理施設で焼却処分しなければならい量といたしました。

焼却炉の処理能力としましては、定期点検や補修等による停止期間を加味し、実稼働率としては0.767、実稼動日数が280日となります。また補助金交付要綱取扱通知によりまして、調整稼働率が0.96となっておりますことから、日量約98トンとなるものでございます。

また可燃災害廃棄物の処理を想定しておく必要があり、大阪府自然災害総合防災対策検討報告書、阪神淡路大震災の兵庫県の数値、東日本大震災での処理状況実績の再生利用率、仮設焼却炉での処理量、広域処理量を採用し、3年間で償却できるものとして日量約6トンを算出しており、それを加算しまして日量104トンとしております。なお詳細は可燃ごみ広域処理施設整備基本計画において市民にもお示しをいたしております。

◯池上典子議員 実稼動日数が280日、調整稼働率0.96との数字をあげていただきましたが、それによって求められる焼却処理トン数は直近の平成28年度の枚方市の焼却ごみ量であれば何トン必要になるのでしょうかお尋ねします。

◯環境部長 平成28年度の可燃ごみ量の実績値は9万9003トンでございました。この数字から計算いたしますと日量368トンとなるのでございます。

◯池上典子議員 平成28年度の可燃ごみ量であれば日量368トンとなる御答弁をいただきました。

新施設では災害廃棄物の焼却分6トンも含め、344トンとなり、日量24トン分が足りないわけです。また平成27年に枚方市一般廃棄物処理基本計画素案に係る市民意見の中で、ごみの焼却量が平成22年から平成26年の5年間でわずか654トンしか減っていないのに、この計画では平成28年から平成37年の10年間で約1万トンもの量を減らすことの実現可能性について甚だ疑問だとのご意見が寄せられていました。もっともなご意見だと思います。

そうしたなかでも平成35年度までに大幅な減量をしていくとの仮定で焼却量の数字を出しておられますが、最近ではくずはモールの増床やニトリモール、枚方T−SITEのオープン、楠葉中之芝地域に新しいスーパーのオープンなど、大型店舗が次々と開設するほか、動き出しつつある市駅周辺の再整備など、今後の枚方市活性化の施策が広がるなかで、ごみ量についてはかえって増加要因が増えています。基本計画のごみ減量施策であれば、枚方市が活性化し、賑わいにあふれ、人口が減らなかったので目標達成できませんでしたで済む話が、清掃工場が完成した後であればごめんなさいでは済みません。そして、そのしわ寄せは最終的にすべて市民が担います。

また今以上の徹底した焼却ごみの減量、リサイクルの推進ということになれば、多額のリサイクル事業の財政負担も懸念されるところです。また、一方ではごみ全体の5パーセントを占めているペットボトル容器、包装プラスチックなど4市リサイクル施設組合で処理を行っているものについても、最近その継続性について疑問が出てきているともそくぶんするなど、可燃ごみ広域処理施設整備基本計画の策定時から枚方市を取り巻く状況は変化してきております。

前回の東部清掃工場の建設にあたっては、市として処理能力を1日400トンにしたいということで担当の職員の皆さんが大阪府の方にもにっさんされ、がんばっておられましたが、補助金の交付基準でやむなく240トンとされた経緯がありました。あれからまだ10年ほどが経過しただけです。市内の焼却ごみの状況がそれほど変わったようには思えないにも関わらず、市の処理能力の算出だけが大幅に考え方を変更されてるように思えます。

さらに言えば、補助金の関係にしても、東部清掃工場240トンに減らされたといっても、穂谷川清掃工場と合わせて440トンあり、それで補助金が通っているわけです。国の補助金に対する考え方もそれほど変わったとは考えられません。いま設計に入る前のこの時期が焼却処理量を再検討する最後のチャンスではないかと思っています。

多少、事務が重複しても、今なら取り返すことができるのではないかと考えております。減量が進まなければ、物理的に能力不足となって、ごみが滞留していくことになります。今回は10年間の徹底した減量化の数値に基づいたギリギリの施設を建設しようとされているわけです。今こそ変化に対応した将来数値の差異分析をすべきであると考えます。そこでお伺いします。平成28年度における焼却ごみの減量状況についてお聞かせいただき、減量目標達成への手法やロードマップなどを示した上で、処理能力の再検討の必要性についてどのように考えておられるのか伺いします。

◯環境部長 市民からいただきましたご意見は大変厳しいものと受け止めており、そうであるが故にごみの減量施策を完遂させることにつきましては、我々に課せられた大変重い責任であると認識しており、着実にごみ減量を進めていかなければならないとの強い思いを持ち、各種減量ごみ施策を進めているところでございます。

平成28年度におけます焼却ごみの減量状況について、全体の約7割を占めます一般家庭から排出されるごみつきましては一定の減量が進んでおります。一方で、事業所から排出されます一般廃棄物につきましては景気の動向に左右され、ご指摘の通り、近年の大型店舗開設などによりごみ量は増加傾向にあることから、平成28年度の全体の焼却ごみ量は約9万9000トンと、目標とする減量には至りませんでした

施設のごみの焼却処理の能力につきましては、ごみ処理基本計画に基づくごみ量に基づき計算しており、現時点では同計画に基づくごみの減量目標には至っていない部分があります。しかしながら、引き続きごみ減量施策に取り組むほか、学識経験者や事業者、市民に参画をいただいておりますごみ減量推進審議会の意見を踏まえながら4Rの取組に係る啓発を進めるとともに、新たに食品ロス対策を行うことによる・・・*削減のため「食べのこサンデー」の取り組みを始めたほか、布団や雑がみ類の資源化などを進めていく予定としております。

また、事業所から排出される一般廃棄物につきましても、分別の徹底や資源化の徹底を指導するなど、より具体的にごみの減量目標達成に向けて取り組んでおり、新施設の建設につきましては現行の計画通り進めて参りたいと考えております。

◯池上典子議員 計画通り見直しつもりはないとの明確な言葉をいただきましたが、担当部長としてこれまでの答弁から焼却ごみ減量についての一貫した思いもまた感じるものはあります。

私は公共建築物や施設については、費用対効果を踏まえ、その目的にあったものとする必要があり、できるだけ効率よくコンパクトであって欲しいと思うのは当然のことと思っております。しかし、一般ごみの収集処理は行政の根幹をなす事業であり、また、新設、増設の困難さを考えれば、その処理能力についても小さければ良いとは考えにくい部分があります。

今回の質問の中でも、現在の焼却量であれば日量約24トン分も不足すること、5年間でわずか600トンほどしか減量できなかったにも関わらず、10年間では約1万トンもの減量が可能だとする計算、今後予想される焼却ごみの増加要因と、様々な不安が払拭されたわけではありませんが、このまま平行線で質疑を重ねても結論は出ないわけで、新施設の規模を見直さないとするのであれば、現行の計画で問題なく処理が行えると確約をし、必ず減量目標を達成するという強い意志で取り組む必要があると思います。

そこで担当副市長には最後に、この減量目標を市として必ずやり遂げるという強い思い、意気込みをお示しいただきたいと思います。

◯小山隆副市長 ごみの減量を成し遂げることは、大変厳しい状況のなかで重い責任のある最重要な課題であると認識しております。平成35年度以降も安定した、安心できるごみ処理を実現させるため、計画通り広域ごみ処理施設整備事業を円滑に進めて参りますとともに、減量目標を必ず実現できるよう、市民や事業者の皆さんの協力を得ながら施策を進めて参る所存でございます。

平成29年9月定例月議会(2017年9月20日)

公式の場でいくら確約しようとも、小山副市長が2023年の時点で在任しているかどうか不透明ですから、政治的責任というのは実にいい加減なものですね。

ひとり親男性への支援

シングルファーザー(Single Father)への支援に関する質問がありました。趣旨は窓口に足を運ぶことの難しさに配慮し、調査研究をしてほしいという要望でした。

◯藤田幸久議員 …(略)…1.ひとり親男性の支援について

近年、離婚や死別によりひとり親世帯が増加しており、厚生労働省の統計によると、ここ25年間で母子世帯は1.5倍、父子世帯は1.3倍に増加したとのことです。このような状況のなか、仕事や家事、子育てなどで悩みを抱えているひとり親男性も決して少なくないでしょうし、それに対するサポート体制も必要になってくると考えますが、そこでまず最初に本市のひとり親家庭のうち、父子世帯は何世帯あるのか、またひとり親男性からの相談は何件あるのか、現状についてお聞かせください。…(略)…

◯子ども青少年部長 1.ひとり親男性の支援についてお答えいたします。

直近の国勢調査の数字がまだ公表されていませんので、古い数値となりますが、平成22年の国勢調査報告書によりますと、本市の母子世帯数は2504世帯で、父子世帯数は280世帯となっております。また平成28年度におけるひとり親家庭等の延べ部相談件数は687件であり、そのうち父子家庭からの相談は13件となっております。

◯藤田幸久議員 …(略)…ひとり親男性への支援について。

先ほどの答弁のあった数値は年度は異なりますが、世帯数と相談件数から男女別の相談率を算出いたしますと、ひとり親女性は26.9パーセント、これに対してひとり親男性の相談率は4.6パーセントであり、ひとり親男性の相談率は女性の約6分の1とかなり低い状況です。ひとり親男性の場合、女性に比べてなかなか相談に行かない、また行けないという現状のようですが、ひとり親男性が実際に相談に来られた場合、どのような悩みや困りごとの相談をされ、それに対してどのような対応されているのでしょうか、お聞かせください。

◯子ども青少年部長 子ども総合相談センターで受けるひとり親男性からの相談としましては、ひとり親となったことで、現在の仕事を続けることができなくなり、転職のための新たな資格取得についての相談や、経済的に苦しくなったことでの子供の進学資金の相談などがあり、資格取得の講座を受講するための給付金や子供の進学のための貸付制度などの支援を行っております。また、残業により帰宅時間が遅くなるときなどに子供を預かってもらうファミリーサポートセンターや家事援助、子供の見守りのためのヘルパー派遣のなどの利用についても助言するなど、ひとり親男性の様々な悩みの相談にあたっております。

◯藤田幸久議員 本市では、ひとり親の方々が自立を図る上で参考になる相談機関や各種の制度などを紹介した手引書「ひとり親のみなさんへのてびき」が既に作成されております。これにより、ひとり親の方々にとってはスムーズに手続きや相談が進み、少なからずも不安の緩和されているのではないかと一定、評価をいたします。しかし、ひとり親男性が悩みを相談したいとき、手引書で紹介されている相談機関がわかったとしても、なかなか予約をして窓口に足を運ぶことは難しいのが現状です。

川崎市ではひとり親男性が抱える日々の暮らしや子育ての切実な悩みの参考になればとの思いで、小冊子「みんなどうしてる?[2]」を男女共同参画センターが作成をいたしました。この小冊子の内容は、相談相手はその機会が少ないひとり親男性のために、同じ境遇の7名のひとり親男性が自らの経験や知恵を役立てればと、センターの面談や聞き取りに協力をしてもらい作成された内容となっており、時間がなくてもひとり親男性の悩みや不安解消の一助となる手引書のようなものです。本市において、ひとり親男性に対する支援の参考にしていただければと思い、紹介をさせていただきましたので、今後の調査研究をお願いいたします。…(略)…

平成29年9月定例月議会(2017年9月20日)

枚方市における母子世帯と父子世帯の最新のデータは平成27年国勢調査結果の世帯構造等基本集計で調べることができます。このデータが公表されたのは2017年9月27日でしたので、質疑には間に合いません。筆者が国勢調査結果を用いて25年間の推移を調べたところ以下の通りでした。

図.枚方市の母子世帯数と父子世帯数

単純に世帯数でひとり親世帯を見ると、母子世帯は1995年から2005年は増加し、その後は減少しています。父子世帯は1995年に300世帯余でしたが、その後しばらく300世帯を切って推移し、2015年には250世帯を下回りました。枚方市に限ると、父子世帯が増加しているとは言えません(藤田議員もそのような発言はしていません)。

ちなみに藤田議員が「相談率」として発言していた割合を、最新の平成27年国勢調査結果を用いて計算しなおすと、母子家庭は約27.8%、父子家庭は約5.3%、父子の相談率は母子の約5分の1でした。

人権政策室の歪んだ男女共同参画

少し話が脱線してしまいますが、ひとり親男性に関する質疑を記事にした理由は、昨年、ひとり親の家計のやりくりをテーマにした講座が開催された[1]ことを疑問に感じたからです。講座の開催時間中には保育をしてくれるのですが、平然と対象者を女性(シングルマザー)に限定していました。

〖中の人〗“男女共同参画”の拠点施設「男女共生フロア・ウィル」で開催するのに子育てパパを排除しています。つまり枚方市の立ち位置はフェニミズムってこと?
家計のやりくり考えませんか 9月24日に子育てママのためのマネー講座 https://t.co/79BMr9CvCK

— 枚方市政を追いかける!(仮) (@hirakatawatch) 2016年9月18日

シングルマザーに限定した理由は単純です。担当部署が「市長公室人権政策室」で「男女共同参画担当」ですから、女性の社会進出という観点で、講座を企画したからでしょう。しかし、性的マイノリティ(いわゆるLGBT)という観点で、人権政策室が女性に限定した講座を主催する事業を実施してはなりません。それに講座の内容は明らかに子育て支援ですから、人権政策室が子育て支援の事業を実施するのも間違っています。

今回のひとり親男性の支援に関する質問を市長公室長ではなく子ども青少年部長が答弁したように、子育ての支援を担当する部署が講座を開催しなければならなかったと思います。

(参考)用語の定義

一口に「ひとり親」と言っても、子の年齢が成人のケースもあります。統計ではどのようにカウントされているのでしょうか。国勢調査の用語の定義を確認しておきます。

母子世帯
未婚,死別又は離別の女親と,その未婚の20歳未満の子供のみから成る一般世帯をいいます。
父子世帯
未婚,死別又は離別の男親と,その未婚の20歳未満の子供のみから成る一般世帯をいいます。
世帯・家族の属性に関する用語,総務省統計局

筆者は市が「母子世帯」「父子世帯」を参照し、答弁したことを確認しています。また、これらとは別に「男親と子供から成る世帯」「女親と子供から成る世帯」という定義もあり、値も異なる結果が記録されています。このように、統計を利用するには慎重にならなければなりません。

[1] 家計のやりくり考えませんか 9月24日に子育てママのためのマネー講座,枚方市(2016年9月16日)

[2] みんなどうしてる?川崎市に暮らすひとり親男性に聞きました,川崎市(2017年3月)


* 会議録が公開されていないため、発言内容は筆者による文字起こしによるものです。過不足や聞き間違いなどを含む場合があります。

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