平成29年9月定例月議会 条例の制定・改正・廃止

生中継が行われるようになりました。タイムリーに記事を書けそうなので、文字起こししてみました。斜め読みをお勧めします。

目次

債権回収条例 可決

「枚方市債権管理及び回収に関する条例の制定について」は原案可決されました。延滞金と遅延損害金は2019年4月1日から、それ以外は2018年4月1日から施行されます。

筆者がクローズアップするのは、条例制定までの議論の様子です。

理事者による説明

新たに条例を制定するときは条文の説明をしなければなりません。今回は財務部長がよどみなく読み上げていますが、仕事とは言え、大変だろうなと思いながら聞いていました。

◯福留利光議長 日程第25、議案第35号「枚方市債権管理及び回収に関する条例の制定について」を議題とします。

理事者から提案理由の説明を求めます。〓〓財務部長。

◯財務部長 ただいま上程されました、議案第35号 枚方市債権管理及び回収に関する条例の制定につきまして、提案理由のご説明を申し上げます。

恐れ入りますが議案書の305ページをお開き願います。

本条例は市税等の収入確保に向け、市が所有するすべての債権の取扱いについて、統一的な処理基準を定めることなど、市の債権の管理及び回収に関し必要な事項を定めるため、枚方市債権管理及び回収に関する条例を制定することにつきまして、地方自治法第96条第1項第1号の規定により、議会の議決をお願いするものでございます。

条例案の内容につきましてご説明申し上げます。

恐れ入りますが306ページを開き願います。

まず第1条では条例の目的を、第2条では用語の定義を、第3条では他の条例等との関係を、第4条では債権管理者の責務を、第5条では台帳の整備について規定しております。

第6条及び307ページの第7条では納入の告知及び督促、催告を規定しております。

第8条及び第9条では延滞金、遅延損害金について規定しております。

第10条では強制徴収公債権についての滞納処分等について規定しております。

308ページの第11条では非強制徴収債権についての強制執行等を規定しております。

第12条では履行期限の繰上げを、第13条では債権の申出について規定しております。

第14条及び第15条では担保の保全、証拠物件等の保存について規定しております。

309ページの第16条から310ページの第18条では、債務者にやむを得ない事情がある場合に徴収停止を行うことや、滞納者の申し出により履行延期の特約等を行うこと、また履行期限の特約等を行って10年が経過しても、なお無資力である場合で弁済の見込みがない場合に免除の規定を定めております。

第19条では非強制徴収債権について生活困窮や債務者が破産した場合などに加え、市債権について消滅時効期間が満了した時に債権を放棄することができることを規定しております。

第20条ではこの条例の規定により、放棄した非強制徴収債権について市長が議会へ報告することを規定しております。

311ページの附則でございますが、第1項には条例の施行日を平成30年4月1日とすること、但し延滞金、遅延損害金に係る規定につきましては平成31年4月1日施行とすることを、第2項には経過措置を、第3項には延滞金の割合の特例を、第4項には枚方市水道事業給水条例の一部改正を、第5項では東部大阪都市計画下水道事業受益者負担に関する条例の一部改正を、第6項では東部大阪都市計画下水道事業受益者負担に関する条例の一部改正に伴う経過措置を、312ページに参りまして、第7項では市立ひらかた病院の使用料及び手数料条例の一部改正を規定しております。

以上、甚だ簡単ではございますが議案第35号の説明とさせていただきます。よろしく御審議の上、御可決いただきますようお願い申し上げます。

平成29年9月定例月議会(2017年9月7日)

質疑

この条例案について、まずは松岡議員が質問をしました。法令遵守の確認をしていますが、そんなことを確認する必要はありません。また、不当に差し押さえて裁判になれば、判決で解決されるのですから、この点についても確認するまでもありません。

◯福留利光議長 これから質疑に入ります質疑はありませんか。松岡議員。

◯松岡ちひろ議員 議案第35号 枚方市債権管理及び回収に関する条例の制定について2点お聞きいたします。まず1つ目は第10条の滞納処分等についてお聞きをいたします。第10条第1項の滞納処分について法律では差押禁止財産を定めています。例えば児童手当など、暮らしを維持するのに必要な財産については今後も差し押さえなど行わないということで宜しいのでしょうか。また第10条第2項では換価の猶予、つまり差押財産の売却の延期は滞納処分の停止を行うことができると定めています。必要とする市民にしっかりと運用をして行くと言う事で宜しいのでしょうか。

◯財務部長 まず、第10条第1項では、督促行った上でなお指定された期限までに納付されない場合に差し押さえなどの滞納処分を行うことを定めておりますが、その運用にあたっては法令を遵守し、適切に行って参ります。

次に第2項では、差し押さえ差し押さえた財産の換価を行うことで生活維持が困難となる場合の緩和措置である、換価の猶予や差し押さえるべき財産がない場合などに行う滞納処分の停止の規定を定めており、必要に応じてこの規定を適用してまいります。

◯松岡ちひろ議員 滞納処分は法令を遵守して運用されるということですが、どの自治体も法令遵守の考え方で回収業務をやっておられるのは変わりありませんが、実際には不当な差押によって裁判もしているわけです。私たち議員団が懸念をしているのは、回収の強化を強調すればするほど職員の皆さんも縛られてしまって、これまで以上に踏み込んだ差し押さえに進んでしまうのではないかということです。市民の方から寄せられた情報では、市の方が受けた研修の中でも、差し押さえをせずに徴収率が上がるならその方法を教えて欲しい。こういったことを言う講師もおられたとお聞きをしています。また二つ目の換価の猶予などについては適用もされるということですので、市民にも猶予制度の周知をしっかりとしていただくことを求めます。

さて二つ目の質問ですが、第16条徴収停止には無資力状態について停止ができる定めがありません。無資力と言うことが明らかであっても徴収停止はしないということになるのか、生活再建という視点に立って必要な徴収停止をすべきだと考えますがいかがでしょうか。

◯財務部長 無資力状態の場合につきましては、第19条におきまして市の債権の放棄を可能とする規定を設けております。

◯松岡ちひろ議員 つまり枚方市では無資力の方は徴収の停止ではなく、19条にある債権放棄を適用すること。また、一時的な無資力状態、つまり失業などの場合は期限の延期、第17条を適用されるんだとお聞きをしています。ただ、期限の延期は本人の申し出とされています。相談を受けた職員の方が制度説明、しっかりしていただくことを求めます。

最後に、先の総務委員協議会でも、庁内連携ネットワークを検討しているとされましたが、債権所管課に限らずに生活福祉室との連携など、庁内それぞれが積極的に生活再建に取り組む役割を担うことになります。

そこで副市長にお尋ねをいたしますが、副市長としてこの庁内連携ネットワークの必要性、どのように認識をされているのかを尋ねをいたします。

◯長沢秀光副市長 今回の条例につきましては、債権の管理と回収に必要な事項を定めた条例でありまして、納付が出来るにもかかわらず、納付をされない場合に滞納処分や強制執行などを適切に行っていくといった内容で規定をしてるところでございます。

一方で、無資力や生活困窮などのやむを得ない事情がある場合は、いま申しましたように履行延期の特約や免除、放棄の規定を設けておるところでございます。納付が困難な市民の方には、納付相談などを通じまして、それぞれの状況に応じた多重債務者や生活困窮者の自立支援につなげるため、庁内の連携を図ることで、公正かつ公平な事務の遂行を、市民生活の向上に努めて参る考えでございます。

平成29年9月定例月議会(2017年9月7日)

続いて、手塚議員による質問です。支払わなければならないお金を全員がきちんと支払うなら、こんな条例を制定する必要はありません。きちんと払ってくれない人への対応のために、わざわざ新たにルールを作るしかないというわけです。この後の討論で手塚議員は、民間活力ついて言及します。

◯福留利光議長 他に質問はございませんか。手塚議員。

◯手塚隆寛議員 まず市から頂きました市の収入未済額の推移を示した資料によりますと、市税については、2012年度の約12億円だったものが、2016年度は約8億円と大幅に減額、改善されています。一方で、税外の債権、2012年度が約64億円だったものが、2016年度は約55億円と改善の伸びが低いように思われますが、この度提案されている枚方市債権管理及び回収に関する条例案は、この状況を改善することを考えられたものであるとは考えますが、税外債権の未収金の縮減が進まない理由についてはどのように考えられているのか、そしてどのように改善していこうと考えているのかをお聞きします。

また低所得者層や多重債務者層についての配慮や相談はどのように考えられているのかを尋ねします。

◯財務部長 まず、税外債権の縮減の伸びが低いということでございますが、債権によりましてその原因について異なるというふうに考えますが、大きな理由といたしまして債権ごとに発生から消滅に至るまでの管理及び回収の方法やその処理基準が異なっていたことがあると考えております。そのため今回市が所有するすべての債権につきまして、統一的な処理基準を定める事など、市の債権の管理及び回収に関し必要な事項を条例で定めようとするものでございます。

次に、低所得者層への低所得者層の方々への配慮につきましては、現在、多重債務者や生活困窮者の方々の自立支援に向けた環境を整えるため、庁内において環境関係所管課との連携ネットワークの構築や生活自立支援事業などについて検討を行っているところでございます。

◯手塚隆寛議員 続きまして、やはり同じくその頂いた資料によりますと、条例改正のともにですね、未収金回収の強化策として民間活力の導入ついて効果の検証を行っていく、このようなことが言われていますが、具体的には現在どの様な実態把握をされているのか、またこの効果についてはどのようなことが考えられているのかお尋ねします。

◯財務部長 民間活力の導入つきましては、現在、庁内委員会におきまして、弁護士の活用などにつきまして、他市の状況や回収に係る費用対効果を見据えた検証を行っておりまして、有効性が確認出来た段階で実施していく予定としております。

平成29年9月定例月議会(2017年9月7日)

最後に質問をしたのは野口議員でした。唐突に「とる・切る・つなぐ」と述べ、説明がないために何のことかよくわからないと思いますが、これは京都府舞鶴市の債権回収に関するスローガンのことです。日本共産党議員団が舞鶴市を視察していました。

期日までに支払われて当然のお金ですから、「(支払えないなら)早いめに相談に来なさい」という姿勢で臨むのは当たり前でしょう。なぜ市側から相談を持ちかけなければならないのでしょう。そのような配慮をすべきというのは変な主張です。

支払う能力のある人に向けて、ポスターやタイヤロックの展示などをしていることは理事者の答弁がなくとも理解できますが、支払う能力のない人にプレッシャーをかけているとして曲解を続けるのは、なぜでしょう。

◯福留利光議長 他に質問はございませんか。野口議員。

◯野口光男議員 今回の条例制定によって、とる・切る・つなぐというこの債権管理ができるかどうか非常に疑問に思うわけです。その1つは各債権所管管理課が基本的に業務対応マニュアルを作っていくということですが、支払い能力があるにも関わらず対応している市民には納税の義務を果たしてもらうことは当然ですが、債務を持つ市民の滞納が大きくなる前にきちんと対応していくことが重要になってくると思います。

市民の滞納を生活も黄色信号と受け止め対応していくのか、それとも徴収対象としか見ないのか市民の抱える債務の管理について、どのように対応していくのかお伺いをいたします。

◯財務部長 まず一般的には、滞納額が大きくなればなるほど支払いが困難になると共に生活が圧迫されることになることから、早い段階で納付相談を行うよう促し、解決策を見出すなどの対応を行っていくことが重要だと考えております。

◯野口光男議員 今の答弁は早期に相談に来いという今までの姿勢と何も変わっていません。今回の条例の中には、滞納処分や強制執行などが重ねられている一方で、債権放棄の他に徴収停止や履行の延期、免除の条文が示され、日々の暮らしに配慮したものがあるにも関わらず、答弁にはその配慮を伺うことができません。そのために条例の目的には回収をもって営業財政の健全な運営にしていくとあり、市民の生活再建に関する位置づけが一切ありません。滞納している市民がしっかり生活再建できるよう、市民生活の安心の確保といった文言を入れるべきではないのか見解を伺いします。

◯財務部長 本条例では、徴収停止や債権の放棄などの規定を設けておりまして、結果として市民生活の安心の確保につながる内容も含まれているものと考えております。しかしながら、そもそもこの条例につきましては、債権の管理や改修に必要な事項を定めることを目的としておるものでありますため、条例の目的の中にいま議員がおっしゃったような文言を含める予定はございません。

◯野口光男議員 今回の条例の目的にきちんと、市民の福祉向上のためには市民生活を安定させるために債権管理を行うということをしっかりと明記すべきであります。今の枚方市の現状は、納税課だけでなく国民健康保険課にまで滞納ノーというポスターと滞納したらこういう目にあうぞというようなタイヤロックをしている写真や器具を展示しています。市民の立場に立った債権管理でああるということを明確にすべきであり、今のままでは市民生活を不安にする債権強化に繋がり、反対と申し上げて質問を終わります。

平成29年9月定例月議会(2017年9月7日)

反対と申し上げ」るべきは、この後の討論です。質問で表明するのは、おかしい。

討論

松岡議員が会派を代表して反対討論をします。ということは、同じ会派の野口議員が質問の中で「反対」を表明する必要はありません。

支払う能力があるのに支払わない人のおかげで、きちんと支払っている市民の生活が脅かされているのですよ?すべての市民の生活に安心を確保するための条例を施行しようとしているのに、反対される理由がよくわかりません。この条例はまさに、その人たちのために回収を強化するための条例であって、積極的に債権放棄をしてあげる条例ではありません。支払えない人に関しては例外規定です。

◯福留利光議長 他に質疑はございませんか。これもって質疑を終結します。

お諮りします。

ただいま議題となっています議案第35号については委員会の付託を省略したいと思います。これに御異議ございませんか。

(「異議なし」と呼ぶ者あり)

御異議なしと認めます。よって本件については委員会の付託を省略することに決しました。

これから討論に入ります。討論はありませんか。松岡議員。

◯松岡ちひろ議員 議案第35号 枚方市債権管理及び回収に関する条例の制定について日本共産党を代表して反対討論を行います。

この条例は収入の確保、未収金対策の強化に向け、統一的な処理基準を定めて回収の適正化を図るためのものだとされております。市が示す回収の適正化とはどういったことなのでしょうか。今回の条例にはこれまで債権放棄ができなかった債権に対しても債権放棄を実施していくことには理解ができますが、回収の適正化だとして市民生活を無視した回収強化にはならないのか疑問です。

まず、はじめに最も重要な問題は条例の目的の中に生活困窮者支援の位置づけが全くないことです。

そもそも地方自治体の役割は、憲法と地方自治法に規定されている福祉の増進です。行政が行う債権回収は、民間の一般的な債権回収業務と同じではありません。債権回収の分野でも市民生活を守るという視点が最大限尊重されなければなりません。またこのことは回収を適正なものにしていくためにも必要なことです。現状であっても、タイヤロックの現物をカウンターに置き、人権的配慮に欠けたインターネット競売を写真付きで掲示をするなど、これでは市民が受け取る印象はさらなる回収強化のための条例だと言いようがないということです。

債権管理のあり方についても、条例名称では債権の管理と回収とされ、総務委員協議会では債権は回収だけではなく、管理も重要と答弁がされました。当然、行政の役割は回収だけに専念すると言うことにはなりませんので、債権にさせないための収納管理も必要です。市も必要性の認識は持ちながら、実際には他市にはある債権管理のための部署が枚方市にはありません。これでは債権所管課任せで本来の管理機能を果たすことができません。

また生活支援するための庁内連携ネットワークの問題でも、副市長答弁でも、生活支援のための庁内連携を図るとされたものの、現状は極めて不十分です。

払いたいという意思を持つ市民を支えていくためにも、一時的な納税に終わらせないためにも、債権放棄するだけではなく生活再建をどう作っていけるのかなど、適正な改修を実施をするためには、市民を支える庁内連携ネットワークの役割、とても重要なことは明らかです。質疑では、滞納処分の問題や徴収停止の問題などさせて頂きましたが、結局はいくら条例文で様々示したところで、債権所管課の職員の方がそれぞれで回収だけにとどまることなく連携ネットワークを活用し、生活支援にもしっかり対応できるという環境がなければ、せっかくの条例も生きることにはなりません。

また市民にとっても放置の答弁でも、市民生活の悪化を防ぐためにも、早期の納付相談を促すことが重要だとされておりましたが、支払いが滞った市民が安心して相談に来ることができるよう、条例の目的にも示せばわかりやすい環境を整えることができます。すべての市民生活の安心の確保のための条例にすることが必要だと申し上げ反対討論といたします。

平成29年9月定例月議会(2017年9月7日)

最後に手塚議員の反対討論です。事前に文章を用意していないのか、アドリブで発言しているようでした。そのため、発言の主旨をつかみくくなっています。

民間事業者による自治はできないはずで、目指していると聞いたことはありません。これは手塚議員が誤解していると思います。今回の条例案に民間活力に関する条文が規定されているとは思えません。民間活力を条例案の反対理由にするなら、おかしい。

◯福留利光議長 他に討論はありませんか。手塚議員。

◯手塚隆寛議員 議案第35号 債権管理及び回収に関する条例について反対討論を行います。

この条例案は枚方市の債権管理と回収をついて統一的な基準を作る、このようなことと共にですね、その大きな狙いはやはり債権回収を強化する、このようなことだと理解をします。そして、それだけではなく、この条例制定のともにですね、民間活力の導入というのが非常に大きく検討される、そしてこの条例はできた後にはやはり民間活力の導入について非常にやりやすくなる、私はそのようにこの条例案の中身を理解をします。

国がですね、いま国民健康保険料などの徴収率アップを自治体に要求し、そして徴収率が一定の数字に行かない場合にはペナルティを課す。このようなことがある中で、非常に枚方市においても徴収率アップのための、目指してですね、特に今後、債権回収ための弁護士だけではなく民間会社などに委託することも検討され、場合によっては実施されるのではないか、このように危惧をするわけであります。

民間会社が債権回収するというのは、これは利益を上げるためにあるわけですから、具体的に市民の皆さんの状況に合わせてというよりは、いわゆる債権回収率をいかにアップするか、こんなことにしかならないだろう、このように考えますから、このような形での民間会社など、民間機関がこの市の債権について回収するのは間違いだと思います。一部の方を除き、債務者は大変困難を抱えていますし、払いたくても払えない方が大変多い、こういう状況だと思います。ですから市の職員が丁寧にですね、債務を抱えている方に相談をする。そして今後の道を、解決策を探ることが必要だと思います。

私はそのような観点から、今回の条例制定案はこの民間活力の導入、そして場合によっては民間自治が、特に大阪市などがかなり行われていますが、そういう形での民間の活力、民間にこの回収の道を開く、このようなことにつながる、そういう危険が非常にありますので、今回の条例改正案には賛成、反対ということで意見を申し上げます。以上で反対討論を終わります。

平成29年9月定例月議会(2017年9月7日)

採決

中継映像では起立の様子を確認できませんでしたが、条例案は可決されました。

◯福留利光議長 他に討論はありませんか。これをもって討論を終結します。

これから議案第35号を起立により採決します。

本件は原案の通り決するすることに賛成の議員の起立を求めます。

起立多数です。よって本件は原案の通り可決されました。

午後1時30分まで本会議を休憩します。なお午後1時から議会運営委員会を第1委員会室で開催します。関係者の皆様はお集まりください。

平成29年9月定例月議会(2017年9月7日)
↑見出しへジャンプ

情報公開条例

議会は「枚方市情報公開条例の全部改正について」を原案可決しました。

この条例が可決される数日前に、全国市民オンブズマン連絡会議が中央省庁や全国の自治体(都道府県、政令指定都市、中核市のみ)にアンケートを実施[1]し、全国大会で結果を公表していました。マスメディアは一部の中央省庁が期限までに回答しなかった点と公文書として扱う基準が「文書の内容によって決まる」といった点を強調したかったようです。ニュース原稿には枚方市の回答が取り上げられていました。

メール公開の条例未整備の自治体も

メールを行政文書として公開するための条例が整っていないとする自治体もあります。

大阪・枚方市は条例で情報公開の対象となる行政文書にメールなどの「電磁的記録」が含まれていないとしています。このため、現状では職員が組織的に使う内容のメールであっても行政文書として管理する対象にはなっていないということで、枚方市は今後条例の改正を検討しているということです。

メールは行政文書か 6割の自治体「内容によって判断」,日本放送協会(2017年9月2日)

NHK取材に回答したとおり、条例が改正されました。

このアンケートではメールの送信先、電子ファイルの保存場所によって公文書として扱うかどうかを質問しています。これは無知なマスメディアが騒いだ内容そのものです。自治体の場合は公文書の定義を条例で規定しているので、もし「公文書にあたる」か、「あたらないか」の二者択一を強制させられると、答えられないでしょう。このアンケートでは「その他」と回答していると思います。

統一されていない定義

アンケートの設問は、あまり良い問いとは思えません。

というのも、中央省庁については法律で「行政文書」の定義があるからです。これを踏まえた質問とは言えません。この定義に沿えば「内容によって判断」するしかないのですから。

(定義)

第二条  この法律において「行政機関」とは、次に掲げる機関をいう。

(略)

2  この法律において「行政文書」とは、行政機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書、図画及び電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られた記録をいう。以下同じ。)であって、当該行政機関の職員が組織的に用いるものとして、当該行政機関が保有しているものをいう。ただし、次に掲げるものを除く。

一  官報、白書、新聞、雑誌、書籍その他不特定多数の者に販売することを目的として発行されるもの

二  公文書等の管理に関する法律 (平成二十一年法律第六十六号)第二条第七項 に規定する特定歴史公文書等

三  政令で定める研究所その他の施設において、政令で定めるところにより、歴史的若しくは文化的な資料又は学術研究用の資料として特別の管理がされているもの(前号に掲げるものを除く。)

行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成十一年五月十四日法律第四十二号)

地方自治体については、各自治体の条例を調べればわかります。各自治体の施行している条例がホームページに掲載されているなら、それを参照すれば良いし、そうでなければ直接、請求すれば手に入るはず。後述のとおり、公文書の定義は各自治体によって異なることがわかります。

さて、枚方市がアンケートにどのように回答したのかは、全国大会に参加していないのでわかりませんが、改正(可決)前の条例を確認すれば想像できます。改正前の枚方市の条例を確認してみます。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 情報 実施機関が職務上作成し、又は取得した文書、図画及び写真(磁気テープ、マイクロフィルムその他これらに類するものから出力され、又は採録されたものを含む。)で、実施機関が管理しているもの(以下「公文書」という。)に記録されているものをいう。

枚方市情報公開条例,平成28年4月1日施行,平成9年12月15日 条例第23号

枚方市の条例は紙に印刷し、管理されていないと、メールや電子ファイルが公文書として扱われないようです。

同様に、他の自治体はどのように定義しているかを確認してみます。寝屋川市の条例を確認してみましょう。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

(2) 公文書 実施機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書、図画、写真、マイクロフィルム、磁気テープ、磁気ディスクその他これらに類するものであって、当該実施機関の職員が組織的に用いるものとして、実施機関が保有しているものをいう。ただし、次に掲げるものを除く

ア 実施機関が、市民の利用に供することを目的として管理しているもの

イ 官報、白書、新聞、雑誌、書籍その他不特定多数の者に販売することを目的として発行されているもの(アに掲げるものを除く。)

寝屋川市情報公開条例,平成28年4月1日施行,平成9年5月23日 条例第9号

寝屋川市の場合は、メールや電子ファイルを公文書として取り扱っています。余談ですが、マーカーを入れているように広報誌などは公文書として扱われません。この部分は枚方市と取り扱いが異なります。

交野市はどのように取り扱っているのでしょうか。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

(2) 公文書 実施機関又はその職員が職務上作成し、又は取得した文書、図画、写真、マイクロフィルム、磁気テープ及び磁気ディスクその他これらに類するものであって、実施機関又はその職員が職務上組織的に用いるものとして管理しているものをいう。

交野市情報公開条例,平成28年4月1日施行,平成10年10月5日 条例第21号

交野市も、メールや電子ファイルを公文書として扱うほか、寝屋川市のように広報誌などを情報公開の対象から除いていません。

アンケートを実施するなら、まず法令を調査してから設問を検討したほうが良かったのではないでしょうか。全国市民オンブズマン連絡会議のアンケート結果から、問題点を浮き彫りにすることはできていないように思います。

よって、以下の全国大会で宣言された内容は少しずれている気がします。現役の国家公務員や地方公務員が宣言を読んだら、改善すべき点は別のところにあるという考えを持っているのではないでしょうか。

1 国・自治体に対し、公用サーバーで保存されている電子情報はもちろん、公用パソコンに保有されている電子情報はすべて組織共用文書とさせること

2 国・自治体に対し、電子情報の適正かつ明確な管理のルールを確立させること

3 国・自治体に対し、違法・不当を要件としない行政への働きかけを記録する制度を作らせること

4 地方議会に対し、政務活動費の領収書の原本提出ならびに、領収書だけでなく全活動関係文書のネット公開をさせること

5 住民自治の基礎となる町内会の民主化・会計透明化に向けて全国の情報を共有していくこと

大会宣言,第24回全国市民オンブズマン和歌山大会参加者一同(2017年9月3日)

[1] 「メール」「パソコン内文書」の公文書性アンケート 御協力のお願い,全国市民オンブズマン連絡会議(2017年6月29日)

理事者による説明

一括議題のうち、個人情報保護条例については特定個人情報保護条例の内容を吸い取ってよいかを議会に諮っています。この議題についてはスルーされています。

◯福留利光議長 日程第29、議案第39号枚方市個人情報保護条例の全部改正について及び日程第34、議案第40号枚方市情報公開条例の全部改正についてを議題とします。理事者から提案理由の説明を求めます。〓〓総務部長。

◯総務部長 ただいま一括上程をいただきました議案第39号枚方市個人情報保護条例の全部改正についておよび議案第40号枚方市情報公開条例の全部改正についてご説明を申し上げます。

恐れ入りますが議案書の328ページをお開き願います。

国におきましては、平成27年10月に社会保障税番号制度、いわゆるマイナンバー制度が導入をされ、その後、個人情報の適正な取扱いを確保しつつ、多様なサービスの提供の促進を図るため、個人情報の保護に関する法律及び行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律の改正がなされております。

この社会状況の変化に対応するため、今般、枚方市個人情報保護条例及び枚方市情報公開条例につきまして、本市制度の独自性を維持しつつ、個人情報の定義や電磁的記録の取り扱いなど国制度の合理的な部分を取り入れることによりまして、本市の個人情報保護制度、情報公開制度の更なる充実を図りますとともに、枚方市特定個人情報保護条例に規定します事項を枚方市個人情報保護条例に取り込み、一本化することにより、条例体型をよりわかりやすくするため、両条例を大幅に整備いたしたく、提案させていただくものでございます。

それでは、まず議案第39号枚方市個人情報保護条例の全部改正につきまして、提案理由をご説明申し上げます。

本件につきましては、枚方市個人情報保護条例の全部を改正することにつきまして、地方自治法第96条第1項第1号の規定により、議会の議決をお願いするものでございます。

まず329ページをご覧下さい。

第1章 総則には、第1条に本条例の目的、第2条に用語の定義、330ページに参りまして、第3条に適用上の注意に関する3条の規定を設けております。

329ページの第2条第2項では、個人情報保護制度の根幹となります個人情報の定義を詳細に規定しなおしております。

また330ページの第2条第5項におきましては、その取扱いに特段の配慮しますいわゆるセンシティブ情報に関しまして、法に詳細に規定されております要配慮個人情報の定義規定と合わせることで、その範囲の明確化を図っております。

また第2条第6項におきましては、利用や提供が制限され、あるいは自己情報の開示等の請求の対象となります個人情報を明確にするため、新たに法と同様に保有個人情報という定義規定を設けております。

なお、今回の情報公開条例の改正に伴いまして、公文書の範囲を見直しており、自己情報の開示等の請求の対象となります個人情報に、新たに電磁的記録を加えております。

第2章 実施機関等における個人情報の取り扱いには7条の規定を設けております。

331ページをご覧ください。

第4条は個人情報の保有の制限等に関する規定であり、第3項におきまして、新たに利用目的の達成に必要な範囲を超えて個人情報を保有してはならない旨を規定しております。

第5条は個人情報を取得するときの利用目的及び取得目的の明示、第6条は保有個人情報の正確性の確保及び安全確保の措置、第7条は個人情報の取扱いに係る従事者の責務に関する規定でございます。

第8条は個人情報の収集の制限に関する規定でございます。

332ページをご覧ください。

第3項におきまして、要配慮個人情報の収集につきましては、これまで通り原則禁止としておりますが、国等の要配慮個人情報の取り扱いとの整合を図るため、本人の同意がある場合などにはその収集ができることとしております。

第9条は保有個人情報の利用の制限に関する規定であり、今回、新たに第2項第3号に起きまして、本人の同意に代わる法定代理人の同意について明記をしております。

333ページをご覧ください。

第10条は保有個人情報等の提供の制限に関する規定であり、これまで本市では法令等に個人情報の提供に関する規定がある場合においても、本人の権利利益を不当に侵害するおそれがあると認めるときは、当該個人情報を提供しない取り扱いをしてきており、今回、新たに第3項但し書きにおきまして、その取扱いの明確化を図っております。

第3章 個人情報の適正管理には3条の規定を設けております。

第11条は個人情報ファイルの保有等に関する規定であり、今回、個人情報ファイルとして届出を要する事項といたしまして、新たに要配慮個人情報の経常的な提出先の名称、電子計算機による情報処理の有無を追記しております。なお、これは個人情報の電子計算組織による書類の手続きの見直しに対応して行うものでございます。

334ページをご覧ください。

第12条は委託先等の監督に関する規定であり、第2項におきまして、これまでの特定個人情報の取り扱いを踏まえ、本市からの事務等を受託するものすべてに対し、当該事務等を他の者に委託する場合における監督を義務付けております。

第13条は電子計算機の接続の禁止に関する規定であり、これまでは本市の電子計算機を他のものの電子計算機と通信回線により結合する時は、すべて事前に審議会への諮問が必要となっておりましたが、電子計算機による事務処理が通例となっている現状を踏まえ、今後は保有個人情報を随時に取得しうる形態での他のものとの電子計算機の接続に限り、審議会への事前の諮問を要することを変更するものでございます。

第4章 保有個人情報の開示等には14条の規定を設けております。

第14条は保有個人情報の開示請求権に関する規定であり、335ページの第3項におきまして、今回、新たに、死者に関する保有個人情報を開示請求できるものを規定することにより、その請求権者の明確化を図っております。

第15条は保有個人情報の開示義務に関する規定であり、非開示情報の明確化を図るため、法の規定を参照して、第1項第1号から第9号までにおいて、非開示情報を詳細に規定するようにしております。なおこの規定方法の見直しにより、非開示情報の範囲が広がることはございません。

336ページの第16条は、開示請求に係る保有個人情報に非開示情報が含まれている場合の部分開示に関する規定でございます。

337ページの第17条は新たに設ける規定であり、開示請求に係る保有個人情報に非開示情報が含まれている場合においても、個人の権利利益を保護するため特に必要があると認めるときは開示をすることができるという裁量的開示について規定をしております。

第18条は保有個人情報の存否に関する情報に関する規定であり、今回新たに児童虐待や配偶者からの暴力に関する情報など、その情報を保有しているかどうかを明らかにするだけで第三者の権利利益が侵害される恐れがある情報につきましては、その権利利益の保護の観点から開示請求に係る情報の存否を明らかにしないで、その開示請求を拒否することができる、いわゆる存否応答拒否についての規定を設けるものでございます。

以下、第19条では自己に係る保有個人情報の訂正請求権に関し、第20条では実施機関の保有個人情報の訂正義務に関し、第21条では自己に係る保有個人情報の利用停止請求権に関し、338ページに参りまして、第22条では保有個人情報の利用提出と義務に関し、それぞれ規定をしております。

第23条は自己に係る保有個人情報の開示等請求の手続きに関する規定でございます。開示等請求の手続きにつきましてはこれまでと同様となっておりますが、第4項におきまして、新たに開示等請求において不備があった場合などに対応するため、補正に関する規定を設けております。

339ページに参りまして、第24条では開示等請求に対する決定及び通知に関し、340ページに参りまして、第25条では開示請求に係る第三者保護に関する手続きに関し、それぞれ規定をしております。

第26条は保有個人情報の開示等の実施に関する規定であり、今回新たに第2項第2号におきまして、電磁的記録に記録されている保有個人情報の開示の方法についても規定をしております。

341ページをご覧ください。

第27条は手数料等に関する規定であり、開示等についての手数料は無料とし、また公文書の写しの作成及び送付につきましては、実費の負担を要することとしておりますが、これらはこれまでと同様の取り扱いとなってございます。

なお、今回新たにこれまでの特定個人情報の取り扱いを踏まえ、経済的困難その他特別な理由がある場合には減免できることを規定しております。

第5章 救済手続きには28条の審議員による審議手続きに関する適用除外と、第29条の審査会への諮問等の2条の規定を設けております。

342ページをご覧ください。

第6章 雑則には、第30条に他の実施機関に対する市長の助言、第31条に出資法人への要請、第32条に本条例の運用状況の公表、第33条に他の制度との調整、第34条に事業者に対する指導勧告等、第35条に委任に関する6条の規定を設けております。

第7章 罰則におきましては、第36条から第41条までの規定を設けてございますが、罰則規定の内容につきましては現行の条例と同様となっております。

最後に附則でございますが、第1項はこの条例は公布の日から施行することを定めるものでございます。但し個人情報ファイルの届出等につきましては、その整理などに一定の準備期間が必要でありますことから平成29年12月1日から、委託先等に関する義務付け及び監督義務の拡充につきましては契約の期間等を考慮をいたしまして平成30年4月1日から施行することとしております。

附則第2項は今回、特定個人情報に関する規定を本条例に統合することとしましたことから、枚方市特定個人情報保護条例を廃止するものございます。

附則第3項から第9項までの規定は、今回の条例改正に伴います経過措置に関する規定であり、そのうち附則第7項は、今回新たに開示等の請求の対象となります電磁的記録につきまして、その整理などに一定の準備期間が必要でありますことから、平成30年3月31日までは開示等の請求の対象とならないことを規定するものでございます。

また附則第10項は、今回の条例改正に伴いまして文言の整理が必要になりました枚方市附属機関条例を改正するものでございます。

以上、簡単な説明ではございますが議案第39号の提案理由とさせていただきます。宜しくご紹介頂きます様お願い申し上げます。

平成29年9月定例月議会(2017年9月7日)

議論されたのは、情報公開条例を改正する議案のみでした。例によって、理事者による説明が続けられています。

市がNHK取材に回答した通り、電子データを公文書に含める説明をしています。

◯総務部長 続きまして議案第40号枚方市情報公開条例の全部改正につきまして提案理由をご説明申し上げます。

議案書の345ページをお開き願います。

本件につきましては、枚方市情報公開条例の全部を改正することにつきまして、地方自治法第96条第1項第1号の規定により、議会の議決をお願いするものでございます。

346ページをご覧ください。

第1章 総則には、第1条に本条例の目的、第2条に用語の定義、第3条に実施機関の責務に関する3条の規定を設けており、第二条におきましては、公文書に電磁的記録を加えることにより情報公開の対象を拡大しております。

第2章 保有情報の公開には10条の規定を設けております。

第4条は保有情報の公開請求権等に関する規定であり、第1項におきまして、公開請求権者はこれまで通り市内に住所を有する者などと規定しますとともに、第2項におきまして代理人による請求を明記し、第3項におきまして、第1項の規定による請求権を有しない者からの公開の申し出につきましても公開に務める旨、これまで通りの規定をしております。

第5条は保有情報の公開義務に関する規定であり、非公開情報を除き保有情報を公開しなければならないとの義務規定に改めますとともに、非公開情報の明確化を図るため、法の規定を参照して、第1号から第7号までにおいて非公開情報を詳細に規定するようにしております。なお規定方法の見直しにより、非公開情報の範囲が広がることはございません。

348ページの第6条は、公開請求に係る保有情報に非公開情報が含まれている場合の部分公開に関する規定でございます。

349ページをご覧ください。

第7条は新たに設ける規定であり、公開請求に係る保有情報に非公開情報が含まれている場合におきまして、公益上特に必要があると認めるときは公開をすることができるという裁量的効果について規定をしております。

第8条は保有情報の存否に関する情報に係る規定であり、今回、新たに児童虐待や配偶者からの暴力に関する情報など、その情報を保有しているかどうかを明らかにするだけで第三者の権利利益が侵害されるおそれがある情報につきましては、その権利利益の保護の観点から公開請求に係る情報の存否を明らかに明らかにしないでその公開請求を拒否することができる、いわゆる存否応答拒否についての規定を設けるものでございます。

第9条は保有情報の公開請求の手続きに関する規定でございます。公開請求の手続きにつきましてはこれまでと同様となっておりますが、第4項におきましては新たに公開請求において不備があった場合などに対応するため、補正に関する規定を設けております。

第10条は公開請求に対する決定及び通知に関し、350ページに参りまして、第11条では公開請求に係る第三者保護に関する手続きに関し、それぞれ規定をしております。

第12条は保有情報の公開の実施に関する規定であり、今回新たに第2項第2号におきまして、電磁的記録に記録されている保有情報の公開の方法について規定をしております。

351ページをご覧ください。

第13条は手数料等に関する規定であり、公開請求についての手数料は無料とし、公開申し出についての手数料は1件300円としております。また公文書の写しの作成及び送付につきましては実費の負担を要することしておりますが、これらはこれまでと同様の取り扱いとなっております。

第3章 救済手続きには第14条の審議員による審議手続きに関する適用除外と、第15条の審査会への諮問等の2条の規定を設けております。

352ページをご覧ください。

第4章 情報の公開の総合的な推進には、第16条として情報の公開の総合的な推進に係る努力義務を規定しております。

第5章 雑則には第17条に他の実施機関に対する市長の調整、第18条に出資法人への要請、第19条に指定管理者の情報公開、第20条に本条例の運用状況の公表、第21条に他の制度との調整、第22条に検索資料等の作成、第23条に委任に関する7条の規定を設けております。

最後に附則でございますが、第1項はこの条例は公布の日から施行することを定めるものでございます。

第2項から第4項までは、今回の条例改正に伴います経過措置に関する規定であり、このうち第2項は、今回新たに公開請求の対象となります電磁的記録につきまして、その整理などに一定の準備時間が必要でありますことから、平成30年3月31日までは公開請求の対象とならないことを規定するものでございます。

また、附則第5項から第7項までの規定は今回の条例改正に伴いまして文言の整理が必要になりました条例を改正するものでございます。

以上、簡単な説明ではございますが、議案第40号の提案理由とさせていただきます。よろしくご審議の上、御可決いただきますようお願い申し上げます。

平成29年9月定例月議会(2017年9月7日)

「整理など」のための「準備期間」が設けられています。2018年3月31日までは、電子ファイルの公開請求ができません。この「整理など」について、どのような作業をいうのか気になりますが、議論されたのでしょうか。

質疑

一括議案のうち、情報公開条例の全部改正に関する質問だけ行われました。

まず、堀井議員が質問しました。この発言は、ある枚方市民が枚方市に建物付きの美術館を寄付を申し出て、別の市民が寄付者と市長との交渉記録を枚方市に情報公開請求したところ、黒塗りで公開された件のことだと思われます。

発言の内容を聞いていると、情報公開条例の改正とは直接の関係がありません。こういう内容は、代表質問や一般質問で行われるべきものです。何十年も議員を務めていながら、適切な議論の場を意識せずに発言するのは、いかがなものかと思います。

◯福留利光議長 これから質疑に入ります。質疑はありませんか。堀井議員。

◯堀井勝議員 ただいま上程されました議案第40号枚方市情報公開条例の全部改正について質問をさせていただきます。

これまでの条例を全部改正され、新たな条例として制定されようとするもので、従前の条例とはその上限が相当変わっていることと、これまで紙媒体に限っていたものが今後はコンピューターに入ってるデータとか、また会議の録音テープデータと言った、その電磁的な記録も情報公開の対象とされるなど、その場合が大変、大きく変わった点だと思っています。私はあの平成28年の市政運営方針に対する各派代表質問のおいて、主権者市民が本市の情報公開請求をされたところ、一応、文章と思われるわけですけれども、真っ黒に塗られた紙媒体が出てきた。いわゆる通称、のり弁と言われるやつですね。こういうものを手にされたことを捕まえて、この条例の目的とする市政に関する市民の知る権利を保証し、市政に対する市民の理解と信頼を深めるといった観点から、これを大きな問題である。したって非公開条例の範囲を縮小していただきたいという旨の要望をしておきました。今回の条例改正は全部改正であるにも関わらず、肝心要の非公開とする部分は変わっていないように思うんです。その主な理由についてお尋ねいたします。

また、今回の条例でも情報公開の請求から公開までの期間は、従前と同様、請求の日から起算して15日というようにされています。この時間をもっと短縮できないものか、あわせてお尋ねをいたします。

◯総務部長 情報公開条例の2点のご質問にお答えいたします。

まず非公開情報につきましては、新条例の第5条において規定させていただいておりまして、その明確化を図るため、国の行政機関の保有する情報の公開に関する法律の規定を参照しまして、第1号から第7号までに詳細に規定するようにさせていただきました。

非公開情報の範囲自体は、情報公開条例の目的でございます市政に関する市民の知る権利を保証する観点から、これまでの条例におきましても非公開情報の範囲を最小限にとどめるよう規定してきており、今回も同様に規定をさせて頂いたものでございます。

次に、情報公開の請求から公開までの期間につきましては、これは通常の事務処理を行う中で必要な日数であり、国も同様の期間を設定しているところでございます。しかし、これまでから条例規定の日数以内で公開ができる場合には、その期限を待たずに公開もしてきており、今後も速やかな公開に努めて参りたいと、このように考えております。

◯堀井勝議員 ただいま部長の答弁では、非公開条例の範囲を最小限にとどめ、今回も同様に規定したもの、いうように答弁をいただきました。

市長は平成27年10月の所信表明において、情報公開条例の理念に基づき、予算や重要施策について、その意思形成過程からの情報を公開する、また平成28年度の市政運営方針において、総合計画に基づく実行計画や予算の検討課題における情報を公開し、市民や市民団体との情報の共有化を進めますと述べられています。しかしながら、この間の議会への情報の公開、また情報の提供といった点を考えてみますと、どのようなプロセスを経てこの事業が進んできたのかといったことを示されずにですね、また重要な情報を正確に示されないまま結論だけを出されて私たちに判断をさせるといったことが多々見受けられています。

今回、情報公開条例全部改正されるにも関わらず、肝心要の非公開範囲ですね、縮小されていない、これを仏を作って魂を入れずと言ったことではないかというに思います。私は民主主義の根幹をなすものは情報公開であり、情報提供だと思います。情報公開に対する市長の姿勢次第で本市の民主主義は一層発展するものと思いますので、情報公開に対する市長の想いをお示しをいただきたいと思います。

◯伏見隆市長 堀井議員からの質問にお答えいたします。

情報公開条例に規定する市政に関する市民の知る権利を保証し、市政に対する市民の理解と信頼を深め、市民参加を促進することを目的として、市長に就任以来、公文書の公開や各市議会の開催状況の公表などの施策を積極的に進めてまいりました。今後も情報公開制度に対する市民の信頼を高めていくため、制度の目的をしっかりと踏まえた上で非公開の範囲など適性な条例運用を行ってまいります。

◯堀井勝議員 最後要望にとどめておきたいと思いますが、ただいま市長から最もそのそつない答弁をいただきました。しかし、もっと積極的に進めてもらいたいなというように思います。私はこの条例の全部改正のこの時期こそ、非公開の範囲をできるだけ縮小することで、主権者市民の知る権利を保証し、本市の民主主義を一層発展させるべき、最高の機会だと考えておりましたが、私の思いが通じることが出来ずに大変残念でございます。しかし媒体が拡大されることを一定、評価するとともに、今後もことあるたびに肝心要の非公開の範囲を縮小して頂きますように強く要望を申し上げて私の質問を終わります。

平成29年9月定例月議会(2017年9月7日)

仮に、この質問が代表質問や一般質問の場においてなされているとしても、交渉の内容は非公開の扱いをするものですから、公開請求をしても、内容は公開されませんし、今回の条例改正後も対応は変わらないでしょう。

続いて、松岡議員が質問しました。意味から考えると「学校規模等適正化審議会の答申に関する説明会」ではないかと思います。しかし、条例を改正する議案の質問としては適切です。

◯福留利光議長 他に質問はございませんか。松岡議員。

◯松岡ちひろ議員 議案第40号枚方市情報公開条例の全部改正について質問を行います。

今回の条例改正の主な内容のひとつは保有情報、つまり公文書とする中に電磁的記録が追加されたことです。録音をした音声データも電磁的記録にとして扱われるようですが、そこでお伺いしたいのは公文書とはどういったものを指すのかということです。条例案では実施機関の職員が職務上作成し、職員が組織的に用いるものとして実施機関が保有しているものとされています。職務中に録音をしていることが明らかなものについては公文書と考えて良いのか、また公文書となる会議などの録音データと紙媒体の会議録などはそれぞれで保存年限が異なるということはあるのか、さらに第13条 公開についての手数料の定めがありますが、その定めには13条の1 公開の請求、手数料は無料、2 公開の申し出1件につき300円とありますが、この違いについて、また、さらに手数料の違いについてもお尋ねをいたします。

◯総務部長 会議録等を作成するために録音したデータにつきましても、職員が職務上作成し、組織的に用いるものとして保有しているものは公文書にあたるものと考えております。

また、保存年限につきましては電磁的記録であるか紙媒体であるかにかかわらず、その公文書の性質や目的に応じ、それぞれ定めることが必要であることから、データと紙媒体とでは保存年限は異なるものと考えております。それから手数料につきましてですけれども、情報公開制度につきましては、対象としましては市内在住の市民を対象にするものでございまして、それ以外の方については公開の申し出と言う形になります。そういいった場合には300円の手数料をいただいているということでございます。

◯松岡ちひろ議員 ありがとうございます。

続いてなんですけれども、以前に学校統廃合に伴う住民説明会では、枚方市から議事録作成のため録音をするとされ、質疑が行われたのですが、出来上がった議事録は要点筆記録であったために、これでは詳細の内容がわからない、これは議事録ではないと議事録作成を求めたものの、結局は要点録作成後、データは消去したとされ、今もあの時の詳細な内容は分からないままとなりました。これでは同じことが繰り返されるおそれがあるのではないでしょうか。また原則的には、説明会や会議などを録音したデータと、それをもとに作られた紙媒体の会議録がある場合は、その内容は同じであると思われますが、そうすると想定データと紙媒体の保存年限は同じになるべきと考えますが、見解をお尋ねいたします。

◯総務部長 録音データは紙媒体の会議録を作成するための一時的な記録でございまして、最終確定版である紙媒体の会議録とはその目的が異なりますことから、一時的な保存にとどめることが適切であるというふうに考えております。なお、録音データを含みます電磁的記録の保存年限につきましては、その性格等に応じた適切な保存年限を設定するよう、条例の施行までに十分検討して参りたいというふうに考えております。

◯松岡ちひろ議員 つまり、保存年限を定めるときには、音声データは一時的な保存と考えておられるようですが、しかしその是非については今後の検討もあるということです。期待したいと思います。音声データの保存のあり方については、いま枚方市は要点録も会議録という名前を使われます。要点録作成となれば一時的保存では詳細な中身の確認ができません。

私の手元には島根県議会が文教厚生委員会の会議録作成後に、音声データを消去し、文書不存在決定を出したことで、異議申し立てが行われ情報公開審査会で審査をした答申書があります。ここには、はっきりと録音データは会議録の作成の基礎なるデータであり、一定期間の保管が必要となる公文書であって、録音データの廃棄の手続きについては検討することと答申で示されています。これは島根だけではありません。同種の指摘が各市の情報公開審査会で行われています。今後、規則で定める保存年限については、こうした全国状況なども踏まえて定めるべきです。電磁的記録を対象とすることはかねてから求めてきたことでありますが、その取り扱いが一時的となってしまっては、電磁的記録から紙媒体の議事録を作成した際に、適切に記録されているのかこの検証ができません。適切な保存期間を定めるよう求めておきます。

平成29年9月定例月議会(2017年9月7日)

説明会での質疑を要点としてまとめた後で、録音を削除したことを重大と松岡議員は考えているようです。その指摘自体に批判すべき点はありませんが、説明会で行われた質疑と要点との間にどのような齟齬があったのでしょうか。そこを指摘しないことには議論が進まず、市も検討のしようがないでしょう。

松岡議員は録音と文書を照らし合わせ(松岡議員は「検証」と発言)たいようですが、例えば、どの部分を恣意的に編集されたかを具体的には指摘しなければなりません。それがないまま「録音を消したのは問題だ」と言っても、ただの言いがかりにしか聞こえません。詰めの甘い問題提起で、議員の仕事として不十分です。

採決

いずれの議案も可決されました。

◯福留利光議長 他に質疑はございませんか。これをもって質疑を終結します。

お諮りします。ただいま議題となっています議案第39号及び第40号については委員会の付託を省略したいと思います。これに御異議ありませんか。(「異議なし」と呼ぶ者あり)御異議なしと認めます。よって本2件については委員会の付託を省略することに決しました。

これから討論に入ります。討論はありませんか。討論なしと認めます。

これから議案第39号及び第40号の2件を一括して採決します。本2件は原案のとおり決することに御異議ありませんか。(「異議なし」と呼ぶ者あり)ご異議なしと認めます。よって本2件は原案通り可決されました。

平成29年9月定例月議会(2017年9月7日)
↑見出しへジャンプ

* 会議録が公開されていないため、発言内容は筆者による文字起こしによるものです。過不足や聞き間違いなどを含む場合があります。

inserted by FC2 system