木村議員のブログ[1]で初めて知ったのですが、市は市民や市内の事業者にアンケートを実施し、結果を公表[2]したようです。その内容は、今後の枚方市のまちづくりがどのように進められるかを伺い知れる興味深いものでした。
分析結果[3][5]では言及されなかった内容も含め、統計処理されたデータを資料としてすべて公表[4][6]されています。これを用いて深く掘り下げてみました。
高い定住意向を論じている点は、枚方市が他市と比べて転出超過が顕著なことからスルーしておきます。
○定住意向
・問15の定住意向についての設問では、「枚方市に住み続けたい」、「今は移る気はない」、「市内で他に移りたい」を合計すると84.1%、「市外へ移りたい」は3.9%となりました。このことから本市の定住意向は高く、市民より住みやすさが評価されていると考えられます。
「枚方市都市計画マスタープラン」の見直しおよび「枚方市立地適正化計画」の作成に関する市民アンケート調査 結果報告書,枚方市(平成28年3月)結果を見ていて、まちの良さがどのように定住の意向に影響を及ぼすかは、津田町が枚方市に編入される1955(昭和30)年10月15日より前の時代の名残を感じます。(当時の)枚方市と津田町で意見が二分しています。
便利なまちを求める理由として、中部地域と南部地域、中南部地域は、市内の移動のしやすさをあげています。特に、東部地域は店や病院の近さ、東部地域と中部地域は自家用車を持たなくてすむ環境を期待しています。北部地域の住民はすでにまちは便利だと認識し、住み続けたい意向がうかがえます。
便利なまちにこだわらない理由として、東部地域と中東部地域は、ごみごみした感じを嫌い、豊かな自然環境を求めています。中部地域は地域への愛着をあげています。北部地域と南西部地域は便利さよりも土地や建物の安さを重視していることがわかります。
アンケート結果から注力する地域を絞れそうですね。また「枚方市」をひとくちに語れず、住まい方に多様性があることもわかりました。これは枚方の魅力かな。
とても露骨に現れたデータは路線バスでした。バス会社はよくわかっていると思いますが…。
ほとんどの市民は、自宅から最寄りのバス停まで徒歩10分未満の距離のところに住んでいます。
ところが、すべての年代で半数近くがバスを月1回も利用していません。訂正されていませんが、選択肢「6.それ以下」とあるのは「月1回未満」の誤りでしょう。
ほぼ毎日バスを利用すると答えた割合の最も高い年代は20歳代でした。通勤や通学のために利用していると考えられます。退職後にあたる60歳代や70歳以上の年齢層は、月1〜3回程度の割合が若干高めで、たまの外出に利用されている向きはあるようです。
事業者アンケートから駅前に駐車場の整備やコミュニティバスの運行を求める意見が出ました。
路線バスは運行されていても機動性が高くないために市内の移動には使われず、自動車を使っているのでしょう。幹線道路は整備されていますが、それ以外の道路は道幅が狭いことや、渋滞などで環境が良くないと感じているようです。これらの不便な状況の改善に、駅前駐車場の整備やコミュニティバスの運行を望んでいるといえます。
路線バス事業者の声は京阪バス出身の八尾議員が代弁するでしょう。
木村議員がクローズアップしていたのが、地域管理に関する市民の否定的な回答の多さです。この地域管理とは、市の財政状況や建物の老朽化などを根拠に公共施設のあり方として、市の公園や花壇を地域住民が管理することをいいます。
年代別では否定的な回答の割合が高い順に40代、50代、30代でした。子育て世代は「自分がやるのはちょっと…」と考えているかもしれません。
性別では男性より女性で否定的な回答が高くなっています。男性の「(論理的な妥当性として)『するべきだ』論」に対し、女性の「結局ワタシがすることになるから嫌だ」という感じでしょうか。
居住地域別では中南部地域で否定的な回答の割合が4割を超えました。
これを例えば、従事すると報酬が得られるといった条件を付加して質問すれば結果が変わるのか、気になるところです。
飲食店の利用頻度を尋ねる設問から、若い年代ほど外食に頼る傾向が表れています。市内の飲食店と保健所がコラボしたヘルシーメニュー(2016年11月まで)は若者をターゲットにすると効果が得られそうです。
とはいっても、このアンケートは都市計画の担当部門が都市計画のために実施したものなので、結果を保健所が有効活用することはないでしょう。