わかりやすい財政収支の表現方法の提案

モデルケースは時代遅れ

広報ひらかた平成28年10月号(No.1238)に平成27(2015)年度決算の概要が掲載されています。市民に財政状況をわかりやすく示す工夫として、年収400万円の家庭の家計に例えています。これがイマイチで、わかりやすくなっていませんし、かえってわかりにくくなっています。時代に合わないモデルケースを、いまだに使い続けています。

1人あたりいくら?

そこで、2015年4月1日の枚方市の人口(40万6281人)、生産年齢人口(24万8651人)を用いて、一人当たりに換算しました。小数点以下は四捨五入しています。この意図は、人口が市民サービスの受益者、生産年齢人口は納税者とみなして換算しようとしたものです。この方法なら、市民1人につき、どれくらいの負担をしたか、どれくらいのお金が消費されているか、どれくらいの借金を抱えているかとして、理解しやすいでしょう。

表1.人口1人あたりの決算額(単位:円)
歳入額歳出額翌年度繰越額実質収支(前年度実質収支)
一般会計332,983327,7965254,6624,534
特別会計国民健康保険129,696132,2400-2,545-3,989
土地取得2,3762,376000
財産区1,0871,0620250
介護保険70,03468,15301,8812,118
後期高齢者医療12,52612,4070119106
母子父子寡婦福祉資金貸付金16239012385
収益的収入収益的支出純利益(前年度純利益)
企業会計水道事業17,25014,3712,8783,569
病院事業20,22621,924-1,698-7,479
下水道事業32,39125,7416,6506,043
表2.生産年齢人口1人あたりの決算額(単位:円)
歳入額歳出額翌年度繰越額実質収支(前年度実質収支)
一般会計544,075535,5998587,6177,408
特別会計国民健康保険211,915216,0730-4,158-6,517
土地取得3,8823,882000
財産区1,7761,7350410
介護保険114,431111,35903,0733,460
後期高齢者医療20,46720,2730194174
母子父子寡婦福祉資金貸付金264640200140
収益的収入収益的支出純利益(前年度純利益)
企業会計水道事業2818523,4824,7035,831
病院事業33,04935,822-2,774-12,220
下水道事業52,92542,05810,8669,874

国保と病院が赤字

「一般会計実質収支19億円の黒字」と説明されてもわかりませんが、人口1人あたりで約4662円の黒字、生産年齢人口1人あたり約7617円の黒字と説明されたら、いかがでしょうか。

国保は、人口1人あたり約2545円、生産年齢人口1人あたり約4158円の赤字です。市立ひらかた病院は、人口1人あたり約1698円、生産年齢人口1人あたり約2774円の赤字です。国保の赤字額は病院の約1.5倍でした。

収支が黒字であれば、国民健康保険料を引き下げられるかもしれませんが、枚方市は収納率が悪いので実態は赤字です。だったら、国民健康保険料の引き下げを請願できるわけがないでしょ、と筆者は思うのですが、しつこく案の提出を繰り返している会派があります。

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