小さなニュース 第16回

市長がテレビ番組に出演

原田伸郎のこの街ええなぁ」で、枚方市が紹介されました。放送されたのは地上波の放送局ではなくて、ケーブルテレビ局です。番組制作にテーク・ワンが関わっているので、「ここが知りたい枚方市」のようにダサくはありません。

【広報課員のつぶやき】市駅前でeo光チャンネル「原田伸郎のこの街ええなあ」の撮影が行われました!写真は原田さんが軽妙なトークで、ひこぼしくん、くらわんこ、ひらにゃんこから枚方の魅力を尋ねているところ。9月21日OAです! pic.twitter.com/RvkLFJJTxW

— こちら、枚方市です! (@hirakata_city) 2016年8月24日

正しくは「原田伸郎のこの街ええな」「原田さんが…ひこぼしくん、くらわんこ、ひらにゃんこ枚方の魅力を尋ねているところ」です。市長も出演していますが、スケジュールには掲載されていません。収録日はつぶやいた2016年8月24日より前ではないかと思います。

【広報課員のつぶやき】枚方の魅力を紹介したeo光チャンネル「原田伸郎のこの街ええなあ」が今日から放送開始!T-SITEなどの駅前スポットや一押しグルメなど、盛りだくさんの内容です。インターネットでも視聴可能!ぜひご覧ください。https://t.co/uNmKDKAbbk pic.twitter.com/bfr7d1iBEl

— こちら、枚方市です! (@hirakata_city) 2016年9月21日

権利関係などの都合で、動画は早いうちに削除されるような気がします。動画の視聴、拡散はお早めに。

どこかで取り上げようと考えていたのですが、4月と10月の大阪府下市町村の待機児童数が公表されていて、データを見ていると4月のゼロは簡単でも、10月のゼロを達成するのは難しい特性があるようです。そのことについて市長は認識しているようで、4月のゼロは達成したけれど、通年で待機児童の解消に取り組む意欲を示していました。あと、市長はベッドタウンからの脱却を考えていないということは確認できました。

筆者の個人的な感想です。BGMとして使われていた曲と枚方市の街並みや店舗内部の映像とのミスマッチ、伏見市長がひらかたパークの園長(岡田准一さん)を枚方市が選んだかのような言い回し(市長はその認識ではないと思いますが)をしていたことが気になりました。

伏見市長就任から1年

選挙期間中は枚方市外の人から注目を浴びていました。所信表明だけは多くの市民が注目していましたが、表明が終わるとすぐに関心は薄れ、就任から1年が経過するということさえ気づいていないのではないかという気がしています。2016年9月1日の定例記者会見では、記者から市長就任から1年に関する質問は出なかったのでしょうか。自己評価で100満点中、何点をつけたとか…。

安定運営路線

市長選挙では松井大阪府知事、前大阪市長の橋下氏の応援もあり、伏見市長として初めての議会(所信表明に対する各派代表質問)では自由民主党議員団、日本共産党議員団、公明党議員団が喧嘩腰で挑みました。特に日本共産党議員団は好戦的でしたが、伏見市長は安定運営に努めようとする姿勢を見せたためにバトルへ持ち込むことができず、不満をあらわにして残念そうでした。

まず身を切った

市長給与2割カットと退職金ゼロを達成しました。

実は、これより先に人事院勧告があり、それに基づく市長給与の改定が行われています。ただ、この勧告の内容が給与の増額だったために、条例の改正の討論では一部の議員らが反発、議案に反対していました。これらの議員は、きっと人事院勧告の内容が減額であれば、すんなり条例の改正に賛成するだろうと筆者は推測していて、冷ややかに受け止めています。一方、退職金カットは、すんなり成立しました。法律(公職選挙法など)との関係上、任期満了までの「時限立法」のようにしています(特別措置条例)。

不思議なことに、市民への痛みを前提とする市長給与のカットに当初、反対していた一部会派は給与カットの条例の議決に賛成しています。その理由は、市民に説明していません。

議会は2012(平成24)年3月から議員報酬を6パーセント減額、議員定数を2人削減していることを根拠に据え置きするという結論に至っています。

議会と議論せず

就任直後まで、市長は議会との「徹底」議論していく姿勢を表明していました。ところが、いわゆる維新色の強いテーマを議題に議員が質問すると、市長は自らの考えの説明をするのみで、議員の提案との違いを説明するようなことはありませんでした。

若い世代の定義

就任直後まで、市長は20〜30代の転出超過をクローズアップしていました。しかし、市長が選任した広報アドバイザーが、40〜60代が主に利用しているとされるFacebookユーザーへのアプローチを助言していました。

市民の痛み(財源確保のための行財政改革)は

「痛み」の定義は、優先度の低い事業をやめることだと述べていましたが、筆者は現時点で優先度の低い事業を廃止したという情報に接していません。

一時ストップできた美術館問題

枚方市立美術館建設の問題は白紙に戻すことが、市長の公約でした。そういう意味では達成しています。

筆者はマスコミの報道や議会報からの噂を一部把握していますが、2016年4月の全員協議会の会議録が公開されていないため、これより後の話は会議録の公開まで静かに待つことにしています。

子育て施策:第2子以降の保育料

就任直後に職員から、第2子以降の保育料の無料化が財政的に困難であるとの報告を受け、断念しています。これについては、一部議員がお金が足りないことを理解せず、しつこく要望するという見苦しい光景がありました。

その後、国の支援が見込まれて情勢が変化し、第2子の保育料を半額にする目標を打ち出しています。

子育て施策:駅ナカ・駅前保育

駅ナカには設置されませんが、小規模保育として北部支所、旧枚方区検察庁跡地に保育所が設置されます。

子育て施策:保育所・保育園と幼稚園の連携

待機児童の問題解消のために、平成28(2016)年の機構改革で組織を変更しています。

防犯カメラ増設

市長選挙と近い時期に寝屋川市で発生した殺人事件を受けて、伏見市長は防犯カメラの設置に言及していました。市内企業の寄付もあり、あちらこちらに防犯カメラが設置されています。市民アンケート調査では、市民の約半数が防犯カメラの存在を知っているものの、公表されている厳格な運用ルールなどを知らず(というか知ろうとしていない)、カメラが設置されていることへの不安の声もありました。

市長の倫理条例成立

選挙戦のための公約といった感じの条例ですが、成立しました。前市長との差別化を図るためだったと考えられますが、もう彼は選挙用ホームページを設置している業者との契約を更新せず、選挙後の日経ビジネスのインタビューでの発言の趣旨とは異なる行動をしている(枚方市政との関わっていない)ものとみられていて、この公約は目玉ではなくなっています。

くらわんか花火大会の復活

市長は議会に「打ち上げ花火をあげて転入者を増やすなどと、選挙で訴えるのは市民に対していかがなものか」と批判されて以降、花火大会に言及しなくなりました。Light up OSAKAは2018年の復活を表明しています。

メリハリ、本気はどこに

伏見市長は、就任直後のメディアのインタビューでは「前市長のすべてを否定しないが、力を注ぐところでメリハリをつけたい」と述べていました。また、2015年末のインタビューでは「どこでもやっているけれど枚方市は本気だというところで差をつけたい」と述べていました。

残念ながら、力を注ぐところは他の市町村より本気だと見せつけられているわけでも、それ以外の部分を縮減させているわけでもありません。財源を確保できないので仕方ない面もありますが、市長の言う行財政改革が具現化されていないのに注力できるはずがありません。他の市町村より本気の施策を打てられていないのは当然でしょう。

“言うこと”と“すること”のギャップ

耳にタコができるほど市長は「スピード感」と言いますが、市長が人口減少に危機感を感じて行動に移していると客観的に判断できるものがありません。

行政職員としての市長の公平性といいながら、美術館問題では整備を要望している校区コミュニティとの面会と整備に反対している集団との面会のバランスが悪いと議員から批判されていました。

前述のように、転出の多い年齢層が20〜30代と認識しているにもかかわらず、若年世代へのアプローチをするはずが、主に40代以上の年齢層が利用するSNSにアプローチしてしまっています。

ノー・プラン

美術館建設の問題で初めて寄付者との交渉を行った際、市長が白紙撤回の考えを伝えると、寄付者に「案を示してほしい」と言われました。

別海町長の葬儀に参列した際、酪農後継者のパートナーの募集してほしいと依頼された一方、枚方市側からは何も依頼するものを用意していませんでした。

情報の公開・発信に課題

オープンひらかたでは、協働によるまちづくりの一環として市民への情報公開をしていますが、市長が選任したアドバイザーが何をしているのか見えないと議会から指摘を受けて、ホームページに掲載するという経過もありました。

市長への提言は、プライバシー侵害のおそれがないと考えられる部分でも具体的な場所を隠蔽していて、「協働」とは程遠い状況です。情報は公開されているものの、まちづくりにつなげていこうとする意思があるとは感じられません。

スケジュールには友好都市への出張を記載していましたが、市民に内容をきちんと報告していません(FMひらかたの番組出演で少し触れていた程度)。また、何度か「市内視察」や「市内企業視察」と記載していましたが、どこに行ったのかわかりません。

当選後も更新されていた市長のブログは2016年1月20日を最後に更新されなくなっています。

総評

商社マンや市議会議員、府議会議員としての経験があり、歴代の枚方市長の仕事も見ていたはずですが、顔を出したイベントのスピーチが下手で、参加した市民は誰も聞いていなかったことがあったり、市長が「戦略会議」と銘打った会議で「戦略」と言える内容を議論していなかったりというように、組織の運営も市民へのプレゼンスも下手です。近隣都市や友好都市などへの出張においては、市長の「外交」的な側面が垣間見えません。こういうことからすると、能力的な限界もあるように思います(でも、枚方のために立ち上がってくれたのだとは思っていますよ)。

それに、スケジュールを見ていて思うことは、枚方市内のイベントへの顔出しを減らして、じっくり時間をかけて施策を検討しつつ、メディアの発信を充実させて、フットワークを軽く市外への出張を増やしたほうが、(与野党関係なく)魅力ある枚方市に近づくのではないか、ということです。誰も聞いてくれないスピーチを練るのに時間を割くより、イベントの顔出しに移動時間を割くより、しっかりとした施策の実現に時間と労力を割くほうが、市長の思い描いているであろうことに近づくと思います。

今月の市長への提言

平成28年8月末の回答(市の考え方)に不備は見当たりませんでした。

2016年台風第16号の対応

幸いにも枚方市内に被害がなかったので、指摘をしても説得力はありませんが、いくつか問題がありました。

被害、避難者なし

大阪府がまとめた情報によりますと、枚方市内で被害や自主避難などを含む避難者の報告はありませんでした。枚方市と同様に、大阪市、豊中市、吹田市、摂津市、高石市、東大阪市、豊能町でも自主避難をした人はいなかったようです。

誤った表記

市のホームページでは気象庁の気象警報を「発令」と表現していましたが、この表記は間違っています。正しくは「発表」です。ちなみに、発表していた警報を引っ込めることを「解除」と呼びます。後で述べますが、情報収集体制の「解除」は誤りで、正しくは「廃止」です。

「発令」という言葉は、何らかの強制力を持つ場合に限って用います。例えば、避難準備情報や避難勧告に「発令」を使うことはふさわしくありませんが、警戒区域を設定することもできる避難指示に「発令」はふさわしいといえます。

暴風域にかからない「予測」に言及すべきか?

日本列島に上陸した当日、市はホームページに次の文を掲載しました。気象庁は「予測」とは表現しないはず。

枚方市への台風の最接近時刻は20日午後4時頃を予測しており、暴風域にはかからないと予測されています。なお、平均風速10~15m程度、最大瞬間風速15〜20m程度です。

台風16号の接近について - 枚方市ホームページ(2016年9月20日)

枚方のアメダスは風速25メートル以上の風を観測しませんでしたが、気象庁が発表した午後3時の推定では、枚方市域が暴風域にかかっているとしか思えません。筆者は枚方市が掲載した出所不明の「暴風域にかからない」予想と実測や推定との一致に関心があるわけではなく、市民の生命、財産を守る使命を担う役所が市民に大した台風ではないと認知させようとするのは、いかがなものかと思っています。

謎の体制を設置せざるを得なかった理由は?

大阪府下の市町村は大阪府のO-DISと呼ばれる防災情報システムに災害情報を登録することになっています。枚方市は災害への対応や手順などを「枚方市地域防災計画」の中で定めています。同様に各市町村で定めているため、体制の名称や設置基準などの詳細はバラバラです。

ところが、枚方市は2016年9月20日午前6時に「情報収集体制」を設置したことを登録しました。この「情報収集体制」は計画に定められたものではありません(「情報収集体制」は計画に定義されています)。気象庁の気象警報とあわせて、枚方市の対応を整理すると表のような経過でした。

表.枚方市の対応(2016年台風第16号)
時刻枚方市の対応と気象庁発表
午前4時58分気象庁が大雨警報・洪水警報を発表
午前6時枚方市が謎の「情報収集体制」を設置
午前6時18分気象庁が暴風警報を発表
時刻不明枚方市が情報収集体制を設置か?
午後4時37分気象庁が洪水・暴風警報を解除
午後5時15分枚方市が情報収集体制を廃止
午後7時45分気象庁が大雨警報を解除

「情報収集体制」は入力ミスとは考えにくく、むしろ何らかの意図を持って「前」と表記したのではないかと考えています。計画に定められている「情報収集体制」は午後5時15分に「解除」した(計画には「廃止」と表現されていますが)と市のホームページに掲載されていましたが、情報収集体制の設置をした時刻は市のホームページに掲載されることはありませんでした。情報収集体制の設置は気象庁による大雨・洪水・暴風警報の発表を受けて行われているような表現だったため、何らかの理由によって午前6時の時点では情報収集体制を設置できなかったのではないかと考えています。

計画には次のように定められています。これを読んで、計画に定めのない「情報収集体制」を設置し、情報収集体制を設置した時刻の公表をごまかさなければならない事情を推測することはできませんでした。

情報収集体制の設置

(1)設置基準

気象情報等により災害発生のおそれがあり、市民安全部長が必要と認めたとき

枚方市地域防災計画,平成27年3月

今回は、住民にとにかく避難してもらうために、大洗町長が職員に法令に定めのない「緊急避難命令」を使用して防災無線で呼びかけるよう指示した例のような切迫した状況ではなかったはずです。

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