小さなニュース 第5回

年始の挨拶が続き、ネタがなさそうだったのでお休みしようかと考えていたのですが、少しだけ新しい情報がありましたので、それをまとめておきます。

枚方市立美術館は新町に建設の方向性

【追記】2016年1月22日に公式発表がありました。筆者の記事を読む前に、全員協議会資料を読まれることをおすすめします。

2016年1月20日に、全員協議会が開催されました。各議員に配布された資料の表紙は、こんな感じになっているそうです。

おはようございます。今日は全員協議会が開催されます。 pic.twitter.com/aDjytJlLcw

— 木村亮太(きむらりょうた)@枚方市議会 (@kimura_ryota) 2016, 1月 20

「美術館及び総合文化施設の整備について」という案件名で議論されました。

そして、開催前に公表されていた発言者と発言順位は次の通りでした。

全員協議会発言順位(予定)
発言順位議員会派
1福留利光連合市民の会
2大塚光央連合市民の会
3手塚隆寛平和・自治・市民
4岩本優祐未来に責任・大阪維新の会
5千葉清司自由民主党議員団
6八尾善之民主市民議員団
7前田富枝自由民主党議員団
8堤幸子日本共産党議員団
9広瀬ひとみ日本共産党議員団
10上野尚子公明党議員団
11山口勤公明党議員団
12有山正信公明党議員団
13西田政充民主市民議員団
14堀井勝民主市民議員団

終了後、一部の議員がネット上にコメントを掲載しました。

市長が選挙の公約で白紙に戻し、建設が予定されている総合文化施設建設予定地に総合文化施設と合築ではなく建設する旨を寄附者と合意されたという報告。

(略)

議会での賛否はあったものの、議会で香里ケ丘中央公園に建設すること等[1][2]を条例で議決したその重みを市長はどのように考えておられるのか、また反対されている方は維持費が掛かるということを仰っていたのに総合文化施設に隣接しても維持費が掛かること等、多くの質疑がなされました。

全員協議会,枚方市議会議員 前田富枝【いつも晴天 微笑(ニコッと)~ひとりごと】(2016年1月20日)

前市長の強引な市政運営を批判し美術館整備を白紙に戻すと訴え当選した伏見市長。本日の枚方市議会全員協議会では、こっそり総合文化施設敷地内で美術館を整備する方針を寄付者に示し12月1日に内諾を得ていたことを報告。市長になってみれば、市政運営は強引でなかったと前言撤回。なんだそりゃ!?

— 枚方市会議員 広瀬ひとみ (@kokohaha) 2016, 1月 20

これらによりますと、市長は枚方市立美術館について、枚方市新町に建設しようとしている総合文化施設の敷地内に美術館を建設する方針を示し、2015年12月1日に寄付者と合意したことを議会に報告したようです[3]。美術館建設について議会で賛成した議員らは、自分たちのメンツが潰されたことに怒っています。

ただし、広瀬議員については少なくとも3つの勘違いをしている可能性があり、注意が必要です。1つ目は、ツイートに「美術館整備」と書かれていることです。伏見市長は「(香里ケ丘に)美術館を建設すること」を白紙撤回したのであって、「(新町に)美術館を整備すること」を白紙撤回していません。2つ目は「白紙撤回」と「美術館を作らないこと」が等価イコールだと思い込んでいることです。これについては、筆者が以前に広瀬議員と同じ会派の松岡議員が同じ勘違いをしていることを指摘しました。3つ目は、「こっそり」と決めたことを批判していることです。この件は、寄付が発端ですので寄付者の意向に沿うしかありません。ですから、議会より先に寄付者との合意がなければ公表できません。

【追記】大橋議員もコメントを掲載していました。途中で段落分けされなくなり、その後、再び段落に分けられた、おかしな投稿です。地名表記に誤りもあります。

(略)

ここでは細かいことは置いておきますが、その概要は、美術館について、香里ヶ丘[8]中央公園ではなく、新町にある総合文化施設予定用地の隣の土地に建てたい、というものでした。

(略)

これには、枚方には美術館が必要だと考える議員、財源や場所など条件付きで必要だと考える議員、基本的には必要ないと考える議員、どの立場の議員も驚いていたように思います。

というのも、市長の選挙公約では、美術館問題は白紙、を掲げられていたからであり、その解釈については、美術館は建てないというものが大勢であったからです。市長ご自身からも、選挙公約と行政の連続性を勘案してこういう結論で、という趣旨のご発言がありました。事実上の方針転換とも言え、かなりの驚きでした。

(略)

今後はこの提案も含めて慎重に議論していくことになりますが、市民の皆様や寄付者の方、関係者の方々が振り回されないように、責任ある議論をしていきたいと思います。まずはご報告です。

美術館問題で衝撃の提案,大橋ともひろオフィシャルブログ「ちっちゃいけど大橋!」(2016年1月20日)

白紙撤回の意味を勝手に「美術館を建設しない」と解釈しておいて、場所を変更して建設する方針が出てきたら「驚き」と反応する。めちゃくちゃです。市民が普段から市政をきちんと見ていないことを逆手に取って誤解させ、自分の主張に支持を集めようとしています。責任感ある行動をとると市民に約束し、偽りの誠意をアピールしています。大橋議員は実に汚い政治家です。この投稿で大橋議員が市民を振り回しています。

では、市長がなぜ「総合文化施設の敷地内に美術館を建設する」としたのか。その理由は、総合文化施設、美術館、福祉会館を枚方市新町に建設する予定だったからでしょう。公式の資料で確認できるものがあります。

○事務局 今、京阪の向こう側に旧国道1号があるんですけど、ラポールひらかたという建物があるのですが、あそこ自体が元々総合文化ホールと美術館と福祉会館の3つを建てる予定でして、財政的な問題があって、用地は買ったんですけど、福祉会館しか造っていませんので、残地の部分に今申し上げたホールの代替の総合文化施設というのを造って、こちらが更地になるという形になります。

第2回枚方市総合計画審議会 第1部会(2014年10月17日)

これは、前市長時代に「美術館問題」が起こる前に開催された、枚方市総合計画審議会での事務局(政策企画部企画課)の発言として残されています。

広瀬議員のツイートにある「市長になってみれば、市政運営は強引でなかったと前言撤回」は誰が何について、どの部分を撤回したのか、正確に把握する必要があるでしょう。広瀬議員に文章力はありませんから、議事録の公開を待たずして、このフレーズをそのまま受け止めるのは危険です。

現時点では次のように課題が整理できるでしょう。

【追記】残念ながら、伏見市長のブログも誤植があります。職員のチェックが入らないところでは、こうなってしまうようで。

香里ヶ丘[8]中央公園における市民から建物寄附により整備を進める美術館については、1年以上にわたり工事着手ができていない状況にありました。このことから、白紙に戻すことを申し入れ、寄附者と新たな方向性を見出すための協議を進めており、その進捗状況について報告するものです。また、美術館整備の方向性の検討に伴い、総合文化施設の整備内容の見直しの可能性について合わせて報告するものです。

市立美術館について,ふしみめも(2016年01月20日)

[1] 2014年3月26日開催の枚方市議会平成26年第1回定例会(第6日)議案第142号「負担付き寄附(美術館の建物)の収受について」。

[2] 2014年9月26日開催の枚方市議会平成26年第3回定例会(第6日)議案第26号「枚方市立美術館条例について」。

[3] 議事録が公開されていないため、正確な情報とは言えません。

[8] 【追記】原文ママ。正しくは「香里ケ丘」。

枚方市の成人式について調べてみた

枚方市のいわゆる「成人式」について、例年のように同じような疑問や思い込みを持つ人がいるように感じましたので、まとめることにしました。成人の日が1月にあることで、開催される年度と開催される年が一致しないことや、役所は和暦を使うために、話がややこしくなっています。ほかの市区町村の人から、枚方市はひらかたパークで実施されていると思い込まれているので、はっきりさせておこうと思います。

いわゆる「成人式」について、経過や枚方市役所としての公式な見解が分かるものがありましたので、引用します。ちなみに、イベントは昭和23年度から実施されていますので、枚方市制の始まった昭和22年度(1948年1月)には、成人式や新成人を祝うイベントは実施されなかったと考えられます。実施回数と枚方市制の経過年数が一致しないのも、ややこしさのひとつです。

●平成2年度までは、枚方市民会館大ホールで実施。(午前・午後の2回で実施)

●平成3〜5年度は松下電器体育館で実施。(午前1回で実施)

●平成6年度に再度、市民会館大ホールで実施。(午前・午後の2回で実施)

※いづれも[4]多数の新成人が集まることによる通行の問題、交通渋滞や周辺住宅地からの苦情により会場を移している。

●平成8年度は、ひらかたパークで実施。(午前1回で実施)

※新成人には概ね好評だったものの、会場が一杯で式典に参加できないという声や、周辺住民等からマナーの悪さの苦情が寄せられていた。

●平成18年度に、ひらかたパーク側の運営上の理由で会場が使用できなくなったことを受け、家族や地域の方など、市民全体で新成人を祝福し、また身近で意義のある成人祭とすることを目的として、中学校区毎の「地域分散方式(市立中学校19校の体育館)」で実施することになった。

事業仕分け会議録,成人祭「はたちのつどい」事業,平成22年9月5日第2会場(2011年3月29日)

現時点で公開されている情報をまとめると、以下のとおりです。

枚方市の新成人を祝うイベントの実施実績
開催年度開催年参加者(人)対象者(名)参加率(%)開催場所
第1回

第??回[5]
昭和23年度

??年度[5]
1949

19??[5]
[6][6]
第??回[5]

第??回
??年度[5]

平成2年度
19??[5]

1991
市民会館大ホール
第??回

第??回
平成3年度

平成5年度
1992

1994
松下電器体育館
第??回平成6年度1995市民会館大ホール
第??回平成7年度1996
第??回

第55回
平成8年度

平成15年度
1997

2004
ひらかたパーク
第56回平成16年度20053485490071.1
第57回平成17年度2006[6]
第58回平成18年度2007各市立中学校体育館
第59回平成19年度2008[6]68.7
第60回平成20年度200931404492[7]69.9
第61回平成21年度20103040425671.4
第62回平成22年度20113026425671.1
第63回平成23年度20122941413171.2
第64回平成24年度20133032424971.4
第65回平成25年度20142853419468.0
第66回平成26年度20153089441370.0
第67回平成27年度20162888421568.5

昭和23年度を第1回目の「成人式」とすると、平成27年度が67回目の成人祭にはあたりません。どこかで一度、中止していないと計算が合いません。イベントを中止するほどの出来事として、昭和天皇の崩御が考えられると思うのですが、裏を取れませんでした。

[4] 原文ママ。正しくは「いずれも」。

[5] 事業仕分けの会議録には「松下電器体育館や昭和46年に完成いたしました市民会館大ホールを使用して、長年一か所で実施しておりました。」とあり、枚方市市民会館総合管理運営業務委託仕様書(平成24年2月)に大ホールの竣工日が「昭和46年1月14日」と記載されています。昭和46年の成人の日は1月15日だったことから、昭和45年度もしくは昭和46年度から市民会館大ホールで実施されていた可能性があります。

[6] 現在、公式ホームページに情報は掲載されていません。

[7] 現在、対象者の人数が公式ホームページに掲載されていないため、参加者の人数と参加率をもとに計算しました。

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