京田辺市にごみの広域処理施設が建設されます

京都府京田辺市の環境衛生センターかんえん(住所:京都府京田辺市田辺ボケ谷58)の敷地内に、枚方市と京田辺市で共同のごみの広域処理施設が建設されます。

経緯

位置関係

マーカーをクリックもしくはタップすると、施設の名称が表示されます。

施設ができるとどうなるか

枚方市は現在、穂谷川清掃工場第3プラントと東部清掃工場の2つの施設でごみを処理しています。今後、穂谷川清掃工場第3プラントを休止させて、甘南備園に建設される広域処理施設と東部清掃工場の2つの施設でごみの処理をしていく予定です。

京田辺市は現在、甘南備園で単独でごみを処理しています。今後、この施設を休止させるとともに、同じ敷地内に建設される広域処理施設で、ごみ処理をしていく予定です。

なぜ広域処理か

[1] ごみ処理施設整備基本構想(案),京田辺市(p.94)

[2] ごみ処理施設整備基本構想(案),京田辺市(p.90)

[3]廃棄物処理整備計画,環境省

経過と今後の予定

これまでの経過と今後の予定は、おおよそ次のようになっています。

※1 京田辺市の単独処理施設の休止、廃止時期は決定されていませんが、隣接地に建設予定の広域処理施設が稼働すると、これに替わるため、2023年に休止されるものと仮定して表記しています。

※2 東部清掃工場で稼働中のごみ焼却場、甘南備園に建設予定の広域処理施設の休止、廃止時期は決定されていませんが、ここでは稼働年数を35年と仮定して表記しています。

※3 東部清掃工場で将来建設予定の広域処理施設の完成、休止、廃止時期は決定されていませんが、ここでは稼働年数を35年と仮定して表記しています。

この施設で処理されるごみは、枚方市では「一般ごみ」と呼んでいるごみ、京田辺市では「燃やすごみ」と呼んでいるごみのことです。

枚方市と京田辺市は、それぞれ審議会の結果をふまえて同時期(2014年11月4日〜2014年12月3日)に個別にパブリック・コメントを実施し、原案通りの基本構想で進められています。[4][5]

[4]ごみ処理施設整備基本構想(案)のパブリックコメントについて(結果公表),枚方市

[5]「ごみ処理施設整備基本構想(案)」に対するパブリックコメントの結果,京田辺市

枚方市議会での議論

会議録検索システムで見つかった発言は、次のとおりでした。

発言者会議名
竹内脩市長平成26年第1回定例会(第2日)
鍜治谷知宏議員平成26年第1回定例会(第3日)
広瀬ひとみ議員平成26年第1回定例会(第4日)
大塚光央議員平成26年第4回定例会(第2日)
大地正広議員平成26年第4回定例会(第5日)
大地正広議員平成27年6月定例月議会(第5日)

運搬車両の増加対策についての質問はありましたが、これから決める事柄が多いことや、今回の建設予定地が京田辺市内だったこともあって質問の数は少なく、滞りなく議事が進められているようです。地元説明会(氷室校区地域)も実施されたようです。

枚方市議会議員のコメント

広瀬議員はブログで次のようにコメントをしています。

京田辺市の甘南備園(清掃工場)と枚方の東部清掃工場は目と鼻の先にあり、車だとわずか1〜2分の距離にあり、まとめてしまえばどうかという意見はわからなくもありません

ただ、京田辺市さんにとっては3倍の規模の清掃工場を整備する事になります。また、東部にしても京田辺市さんのごみを引き受けるというだけでなく、穂谷川の後継施設を東部で20年、30年先にしろ引き受けるという話です。最新の設備は環境負荷も低減されてはいますし、技術も進み人口減少でごみの総量も減るとは思いますが…

審議会でも住民の合意を大切に進めてほしいとの意見が出されておりましたが、両市の市民に丁寧に説明し、意見も伺いながら丁寧にすすめていただきたいと、この間の議会でも求めてきたところです。審議会の議論、資料などHPでも公開していただいておりますが、最近の枚方市はとかく方針ありき、スケジュール優先なので、そうはならないように進めて頂きたいと思います。

ごみ処理基本構想(案)への意見募集が始まります…京田辺市との広域処理を提案,子育ても老後も安心の枚方を!(2014年11月2日)

両市によって、各自治体が個別に処理施設を建設するより、一緒に処理施設を建設すれば、より高度な処理のできる設備を建設できるため、環境により配慮できる施設ができるという、スケール・メリットがきちんと示されています。それなのに「まとめたらどうかという意見は分からなくもない」と、感覚だけで納得して言ってしまうのはいかがなものでしょうか。しかも「距離が近いからまとめてしまえ」だなんて、両市の資料のどこにも書かれていません。「ごみ処理の広域化」の意味を理解しているとも思えないように感じます。個人的な感覚だけで政治的な判断をしないでいただきたいです。

次に、気になっている表現は「技術も進み人口減少でごみの総量も減るとは思いますが…。」の部分です。最後まできちんと述べず、何を心配しているのか、問題にしているのか明らかにしないで、読み手に何らかの懸念材料があるかのような印象だけを与えています。指摘できないのなら言う必要はありません。このような、いやらしい印象操作にしかならないコメントはやめてもらいたいです。

「京田辺市さんにとっては3倍の規模の清掃工場」を建設することに何か懸念しているようですが、特段の問題があるとは思えません。費用の面では両市のごみの量をベースにあんぶんして負担する予定ですし、環境面でも基準は満たされるようにしていくのは当然で、甘南備園も東部清掃工場も両市の市境付近にありますから、やはり広瀬議員が何を言おうとしているのか、まったく理解できません。もちろん、いわゆる「迷惑施設」ですから、近隣の市民が「う〜ん…」と言うのは理解できます。しかし、地方議員が丁寧に議論が進んでいる話について具体的な問題点を何ら指摘することなく、何か問題があるかのように主張するのは、おかしいと思います。

広瀬議員には、具体的かつ客観的な指摘をすることを求めます。

京田辺市議会での議論

会議録の検索システムが正しく機能しないようなので、手作業で発言を拾い上げました。漏れのある可能性があります。

会議名質問者会派名
平成24年6月定例会(第2回)一般質問次田典子議員無会派
平成25年3月定例会(第1回)一般質問塩貝建夫議員日本共産党京田辺市議会議員団
平成25年9月定例会(第3回)一般質問次田典子議員無会派
平成25年9月定例会(第3回)一般質問岡本茂樹議員一新会
平成26年3月定例会(第1回)代表質問岡本亮一議員日本共産党京田辺市議会議員団
平成26年3月定例会(第1回)代表質問喜多進議員自民・新栄会
平成26年3月定例会(第1回)一般質問次田典子議員無会派
平成26年9月定例会(第3回)一般質問次田典子議員無会派
平成26年9月定例会(第3回)一般質問塩貝建夫議員日本共産党京田辺市議会議員団
平成26年12月定例会(第4回)一般質問岡本茂樹議員一新会
平成26年12月定例会(第4回)一般質問塩貝建夫議員日本共産党京田辺市議会議員団
平成27年3月定例会(第1回)一般質問米澤修司議員民主党議員団
平成27年3月定例会(第1回)一般質問次田典子議員無会派
平成27年6月定例会(第2回)代表質問青木綱次郎議員日本共産党京田辺市議会議員団

質問の数は多いですが、市の説明を理解できない一部の議員が、質問を繰り返しているくらいで、議論の内容に多様性はなく、紛糾している様子ではなさそうです。

京田辺市は広域処理に決めた根拠として、広域処理は議会の提案と賛同があることや単独処理と比較してメリットがあること、今回の建設場所については甘南備園のほうが穂谷川清掃工場第3プラントより2年早く稼働しているため甘南備園に建設すると答弁しています。これ以外に求められる説明があるようには思えませんし、きちんと京田辺市は検討していると思います。

京田辺市議会議員のコメント

青木綱次郎議員(日本共産党京田辺市議会議員団)はブログで次のようにコメントしています。

これまで市当局は、甘南備園の建てかえに対する基本姿勢は「単独処理を基本に考え、広域化も視野に入れる」というもので、この間の議会答弁でも繰り返してきました。それが今回の「基本構想(案)では180度転換したことになります。しかも打ち出された方針は、今後7、80年先にまで及ぶまちづくりにもかかわる「広域化」です。

これだけ大きな影響を与える「基本構想(案)」で、しかも膨大な資料もあるものだけに、パブリックコメントの実施は当然ですが、それだけにとどめず市民説明会の丁寧な開催をはじめ、全市民的な合意形成の努力をもっとしていくべきだと思います。

ちなみにこの「基本構想(案)」では、現在は「燃やすゴミ」として紙類などと同様に収集、焼却してきたプラスチック容器等のゴミを、分別収集に移行する方針も打ち出されています。この点も身近な生活にかかわる問題ですから、なおさら丁寧な説明をしていくべきではないでしょうか。

ゴミ焼却場広域化へ踏み込んだ基本構想案,青木こうじろうブログ~身近なことからコツコツと(2014年11月04日)

広域化も視野にあったのですから、広域処理で進めようと決めたからといって、180度転換したとは言えません。京田辺市にとっては、建て替えのようなイメージと、ごみの処理量が増加するくらいですから、強い反対運動が起きるとは思えません。ですから、「全市民的な合意形成」の必要性や、(近隣住民への説明のほかに)さらに何か「丁寧な説明」をする必要性はないと思います。そして、どれだけ説明してもらったところで、住民にとっては近くにないほうが良い施設であることには変わりないのですから。

次の広域処理施設は枚方市に

これから建設される甘南備園の広域処理施設が老朽化すると、枚方市が次の施設を建設しなければなりません。その場所が東部清掃工場(住所:大阪府枚方市大字尊延寺2949番)の敷地内に決まっています。

1963年にできた穂谷川清掃工場は当時、どのようにして場所が決まったかのかが今となっては分からないそうです。ただ、現在の穂谷川清掃工場の敷地内での、新たなごみ処理場の建設は難しくなっていて[6]、枚方市は建設可能な場所が東部清掃工場の敷地内だと説明しています。

[6] 枚方市ごみ処理施設整備基本構想(案)【本編】,枚方市(p.69)

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