はじめに

これは、香里ケ丘中央公園(住所:大阪府枚方市香里ケ丘4丁目)に整備されかけた「枚方市立美術館」に関係する議案の「賛否の状況」、前市長を再選させないためのインターネット選挙活動サイト「いっぺん市長を変えてみよう!」や、結果的に再選阻止したことを報告する「市長が変わりました」を当時、運営していた筆者(枚方市民)による、枚方市政を追いかけるサイトです。

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目次

昔のコンテンツ

資料

市議が市から提供を受けた、一般向けに公表されていない文書をインターネット上に画像で掲載した場合に、その情報に誰もが素早くアプローチできるようにする目的で、文字情報に変換して掲載しています。

番外編


公約の進捗状況(2018年5月1日現在)

伏見市長は、選挙公約の進捗を再び市民に公開しました。

伏見市長の自己申告

なぜか内訳を表にまとめない

前回の報告に基づいて、筆者が進捗状況の内訳をインターネット上に示したにもかかわらず、今回の報告も内訳を示していません。まず、伏見市長が示した進捗状況をそのまま、前回の報告からどの程度の進展があったのかを把握できるよう、表1にまとめました。

表1.市長の報告に基づく公約の進捗の内訳
進捗前回今回
公約の数割合公約の数割合
達成1615.84%1716.83%
一部実施中3029.70%4241.58%
達成に向け進行中98.91%54.95%
検討中または保留2423.76%1615.84%
既存の取り組みを継続するまたは、現在の手法を改善するもの1918.81%1615.84%
公約の内容を変更して実施32.97%54.95%
101100.00%101100.00%

1年間で達成した公約は1つ⁈

伏見市長の自己申告をそのまま受け止めると、4年間の任期で100の公約を達成させようとしているなか、この1年間で1つの公約しか達成できていないことになります。よく確認してみると、「達成」したはずの公約が「検討中または保留」に逆戻りしているのを見つけました(表2)。

表2.進捗が逆行した公約
公約番号選挙公約実施状況または今後の方向性進捗
前回今回前回今回
11

市内の大学に協力を求め、学術・運動施設の共同使用を推進します。

各大学のグラウンドやホール、図書館等において市民利用が可能となるよう協力を頂いている。(利用可能施設は大学によって異なる。)

大阪国際大学の協力を得てグラウンドを使用していたが、平成29年1月末で終了した。

大学施設の使用については、ひらかた学園都市推進協議会を通じて、引き続き市内5大学との連携を図る。

大阪国際大学から枚方市に対して、枚方キャンパスを守口キャンパスへ統合すると知らされるまで、伏見市長が共同使用を推進するために市内の大学に協力を求めたことは一度もなかったのに「達成」したことにしていました。自分が仕事をした結果でないものを実績にしてはいけません。

筆者がツイートしたように、伏見市長が公約を「達成」したと自己申告したのは2つです。

2017年4月~2018年5月に選挙公約を達成したのは、防犯カメラの設置と不適当要求行為の公表(平成28年度なし)の2つでした。
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決意・政策|伏見たかし オフィシャルweb https://t.co/1ZxbKNufQr

— 枚方市政を追いかける!(仮) (@hirakatawatch) 2018年6月2日

実際には、過去に実績としてねつ造していた公約の1つがバレて、差し引き1つの公約を「達成」したことにしているのです。

筆者による精査

自己申告された「進捗」には客観性がありません。そこで、有権者がきちんと伏見市政を評価できるように、筆者がよりわかりやすい形式にまとめてみます。

方法

前回と今回の「実施状況または今後の方向性」を比較し、下記とおり分類し直しました。

なお、公約番号85について伏見市長の自己申告では2つに分割して進捗が示されていますが、筆者の精査では1つとして取り扱いました。

結果

全体の進捗を図1に示します。完了した施策は全体の約3割しかありません。具体的なアクションがあったもの、なかったものも約3割ずつあります。

図1.選挙公約の進捗

まだ全体の半分以上の公約を完了させられていません。任期は1年以上ありますが、実質的には残り1年で完了させなければならない公約が完了させた公約の数を上回っています。

考察

さて、初回の進捗報告では、選挙期間中に訴えなかった政策を選挙公約に加える「水増し」が行われていました。今回の進捗表にも不審な点があります。

疑惑①:“前回のデータを流用していない”

今回の表を作成するにあたっては、まず前回の表を流用しようと考えるのが自然でしょう。想定される手順は、前回の表のコピーを作り、そこから「実施状況または今後の方向性」と「進捗」の列に記載していた内容を書き換えるという作業です。最後に、作成日付を変更すれば終わります。基本的には、他に変更しなければならない箇所はありません。

ところが今回の進捗表はそのようになっていません。19の「選挙公約」の文章が、前回と一致していないことがわかりました。もちろん、前回の公表後に判明した誤字脱字のたぐいが修正されているのは問題ではありません。しかし、そうではない不一致(表3)があります。

表3.不審な「選挙公約」の不一致
公約番号選挙公約不一致箇所
前回今回
14

すべての小・中学校の通学路に防犯カメラを設置し、子どもたちの安全を確保します。

すべての小中学校の通学路に防犯カメラを設置し、子どもたちの安全を確保します。

中黒を削除。

23

不当要求、不正請求には、コンプライアンス委員会を設置し、その記録の公開を義務付けます。

不当要求、不正請求には、コンプライアンス委員会を設置し、その記録の公開を義務付けします。

「義務付け」と「ます」の間に「し」を挿入。

24

市役所に対する口利きについては、すべて文書化し、公開を義務付けます。

市役所に関する口利きについては、すべて文書化し、公開を義務付けします。

「対する」を「関する」に変更。

「義務付け」と「ます」の間に「し」を挿入。

33

商店街の空店舗を活用したインキュベーションセンターの設置など、中小企業の支援制度を充実します。 また、街巡り隊や店舗(空き店舗、にぎわい亭)の情報発信にも力を入れます。

商店街の空店舗を活用したインキュベーションセンターの設置など、中小企業の支援制度を充実します。また、街巡り隊や店舗(空き店舗、にぎわい亭)の情報発信にも力を入れます。

丸カッコを半角文字から全角文字に変更。

37

農林業従事者とNPOが協働し都市部に住む市民の農林事業参加の仕組みづくりをおこないます。

農林業従事者とNPOが協働し都市部に住む市民の農林事業参加の仕組みづくりをおこないます。

「NPO」を半角文字から全角文字に変更。

52

第2子以降の保育料を無料にします。

第2子以降の保育料を無料にします。

「2」を全角文字から半角文字に変更。

54

特別保育事業を拡充します。(駅ナカ保育所、24時間保育、日曜保育、病児・病後保育)

特別保育事業を拡充します。(駅ナカ保育所、24時間保育・日曜保育、病児・病後保育)

読点を中黒に変更。

59

電気自動車・エコカー、カーシェアリングなどの普及を促進し、環境未来都市づくりを進めます。

電気自動車・エコカー・カーシェアリングなどの普及を促進し、環境未来都市づくりを進めます。

読点を中黒に変更。

61

省エネルギー対策として、LEDの利用促進を図ります。

省エネルギー対策として、LEDの利用促進を図ります。

「LED」を全角文字から半角文字に変更。

62

空家が解消されるよう仕組みづくりを検討します。

空家が解消される仕組みづくりを検討します。

「解消される」と「仕組み」の間の「よう」を削除。

71

民間活力を利用し、放置自転車ゼロやルール無視の迷惑自転車ゼロを目指します。

民間活力を活用し、放置自転車ゼロやルール無視の迷惑自転車ゼロを目指します。

「利用」を「活用」に変更。

77

1クラス35人以下の少人数学級編制を現行の小学校4年生までから6年生にまで拡充するとともに、小学校3年生までについては30人以下の学級編成を実施します。

1クラス35人以下の少人数学級編制を現行の小学校4年生までから6年生まで拡充するとともに、小学校3年生までについては30人以下の学級編制を実施します。

「6年生」と「まで」の間の「に」を削除。

特に、公約番号37はNPOは半角文字から全角文字に変わっているのに対し、公約番号61はLEDが全角文字から半角文字に変わっているのは不自然です。表記揺れを修正するのであれば、半角文字もしくは全角文字に統一されていなければなりません。

このほか、前回の表になかった脱字が、なぜか新たに今回の表に出てきています。前回のデータを流用すれば、このようなミスは生じません。

表4.不審な「選挙公約」の脱字
公約番号選挙公約不一致箇所
前回今回
92

大阪府が誘致を目指す2025年の万博を枚方に誘致します。

大阪府が誘致を目指す2025年の万博を枚方に誘致します

新たな脱字(句点の欠落)。

100

香里ケ丘中央公園の美術館整備計画を白紙に戻します。併せて香里ヶ丘図書館のあり方も含め対話を通じた形で解決します。

香里ケ丘中央公園の美術館計画を白紙に戻します。併せて香里ケ丘図書館のあり方も含め対話を通じた形で解決します。

新たな脱字(「整備」の欠落)。誤字が修正された(「ヶ」を「ケ」)。

またホームページには、電子ファイルとしても公開されています。その内容を確認すると、作成者が伏見市長から参事級の職員(市長公室参事兼次長)の名前に変わっているほか、タイトルのフォントも変わっています。

以上の不審な点を考察すると、今回の表を作成する際に前回の表を流用せず、いちから作成したと結論づけることができます。このように、市長や側近が非効率な事務作業をしているようでは、「効率的・効果的な」市政運営は期待できませんね。

疑惑②:“選挙公約の書き換え”

財務省の職員が公文書を決裁後に一部を削除したことが世論の関心を集めています。伏見市長も選挙公約を書き換えています(表5)。

トーンダウン(公約番号2)

この時期に及んでも財源を確保できていないために、子ども医療費、多子世帯の保育料などの重点施策を実施できていません。文字を1つだけ変えれると、バレることなくトーンダウンできるので、これらの「公約を守っていない」と指摘されなくなると考えたのではないでしょうか。

「教員」を「教育」に(公約番号90)

憶測ですが、教職員からの反発から逃げるために語句を書き換えたのではないでしょうか。

例えば、伏見市長は中学校の給食を全員喫食に切り替えようとしていますが、「新たな仕事(給食指導)を増やさないでほしい」とか、「親が作らないなら自分で弁当を作るべきだ」、「各学校・学年の喫食率を示した表で学校にプレッシャーをかけるな」など、教職員は施策に異論を持っています。このような現場の声に納得のできる説明をしていません。ということは、何かあったのかもしれません。

表5.「選挙公約」の書き換え
公約番号選挙公約不一致箇所
2017(平成29)年4月1日2018(平成30)年5月1日
2

副市長を3人体制とし、重点施策の早期実施に向け、市役所が一丸となって取り組みを進めます。

副市長を3人体制とし、重点施策の早期実現に向け、市役所が一丸となって取り組みを進めます。

「実施」を「実現」に書き換え。

90

教員の質の向上、質のムラをなくすため、研修を強化します。

教育の質の向上、質のムラをなくすため、研修を強化します。

「教員」を「教育」に書き換え。

市民の審判へ

2019年9月22日に任期満了を迎える伏見市長は、再選を目指す意向だという情報があります。いずれにせよ、2019年度は骨格予算しか組めません。伏見市長が組める当初予算は事実上、2018(平成30)年度で最後です(成立済み)。今後は、達成できた「選挙公約」と未達成の数、特に市民が期待した施策がどのようになったかなどについて注目していくつもりです。

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